中梅楼の生活やしきたりを覚え始めた頃、とうとう久乃にも娼妓営業の鑑札が下り、「若汐」という源氏名を貰う。初見せは九重が後見人として名乗りをあげ、自分のなじみ客の中でも上客ばかりを揃えお座敷を段取りし、若汐の初見せを盛り上げようとした。
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しかし、若汐は初めての床に恐れをなして逃げ出してしまう。許可なく店を飛び出すことは「足抜け(脱走)」とみなされ重罪。追いかけられ捕らえられる若汐。
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捕らえられ抵抗する若汐に「君、こっちだ!」と川を挟んだところに居た救世軍の青年が叫ぶ。(救世軍は、主に娼妓の自由廃業運動を展開していた)
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川向こうの声に気づく若汐。
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飛び込み逃げようとする若汐、それを助けようと飛び込む青年、阻止して捕らえようとする中梅楼の男衆。
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しかし捕まり布団部屋で折檻され閉じ込められる若汐だった。そこへ、恥をかかされ顔を潰されたと憤慨する九重が布団部屋に入ってきた。
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「わけがわからなくなって」と逃げ出した言い訳をする若汐。「あんたに、ここで生きていく手管を教えてあげる」と九重は簀巻きにされた若汐の縄をとく。。
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☆「私が今からあんたにする事と同じ事を私にもしてごらん」☆
またも九重のはからいで、若汐の初見せは上客がついた。若汐も逃げ出さず受け入れた。(「ふのり」を客に見えない場所に用意して)
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春も終わりに近づいたある日、九重は若汐に先輩として教えるべきことを教え終わり、借金の清算をして吉原を去った。
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一方、九重に続く二番手の花魁、吉里は、自身も惚れ込んでいる馴染み客の株屋の野口から株で大損をしてしまい多額の借金を背負ってしまったと聞かされる。
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菊川は食事中に「古着を実家に送ってる。貧乏だからこんなもんでも大喜びさ。私ら馬や牛と変わらない」などと毒づく。そこへ野口の借金の事で機嫌が悪い吉里が入ってきて菊川を殴りつけた。
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ある日、店に同郷の(元彼?)ゆうきちが客としてやって来た。懐かしさと嬉しさで「うち、辛い!」と号泣する若汐に、ゆうきちは「一緒に逃げよう、朝鮮に行こう!」と誘う。
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先輩女郎で親しくしてきた菊川が「稼ぎが悪い」と品川の遊郭に移されることになった。若汐となっても「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合う仲だっただけに寂しさは抑えられない。そして、稼げなければ自分も同じようになると身につまされた。
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ある夜、若汐に指名客が入る。先代の急死で古島財閥の若き当主となった伸輔だった。「なんでそんなお方が若汐を知ってるんだ?」と首をかしげる女将たち。「なんでも、前に会った事があるそうですよ。」「?」確かに2人は一度前に会っていた。伸輔は、初見せで逃げ出した若汐を助けようとした救世軍の青年だった。
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驚きを隠せない若汐。そんな若汐を労わるように「君は寝なさい」と抱こうとはせず休ませてくれた伸輔。
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花魁を総揚げ(貸し切り)し、大盤振る舞いした伸輔。中梅楼の面々は女将を筆頭に「若さん」、「若さん」と大喜び。それが面白くないのは吉里だ。野口が借金で首が回らないという噂が流れていて、すでに中梅楼の中では上客扱いされなくなってきたからだ。
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うだるような暑さが続く夏。伸輔という上客がついた若汐だったが検査で妊娠を告げられる。
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