「あんた、いったい今までどんな風に生きてきたのよ…」
けん
「ここ、噛んで~!」「男が欲しい~!」のたうち回る姿はもう正気ではない。小花は狂気の中、叫びながら死んでいった。
けん
小花が死に、伸輔と決別してから1年後、冬。紫は偶然、中梅楼と目と鼻の先にある最下層の廓で、客と喧嘩している女郎・菊川を見つける。が、声をかけぬまま新たな上客・坪坂とその場をあとにした。
けん
まったく姿を見せなくなった伸輔が唐突に中梅楼を訪れた。親に勘当され手切れ金として渡された2千円という大金を紫の好きに使っていいと言う。「これで借金を返済し、自由の身となるのもいい」と言う伸輔に意外な言葉が返ってきた。
けん
「この金で花魁道中を復活させる!」この吉原で大輪の花を咲かせる、これが紫の目標であり、「娼婦に成り下がった」と言った伸輔への意地であった。
けん
伸輔からもらった2千円を使い、春、花魁道中が行われた。
けん
花魁道中のあと、2千円を好きに使えと言ったきり行方がわからなくなっていた伸輔が、菊川を見かけた廓に居ると聞いた紫は飛び出していく。
けん
廓を覗こうとすると、そこには菊川が待ちかまえていた。「ここには若さんなんて人はいない!ただの信さんて客がいるだけさ。あんたは床の間にキレイな花を咲かせたんだ、それで十分じゃないのかい?」会わせてくれない菊川に、「私が心底惚れたのは若さんだけ。意地張ったけど惚れたのは若さんだけ!」
けん
「今更、あれがホントこれが嘘って言ってなんになんのさ!あんたは吉原の嘘で練り上げられたお人形さ!あんたに淫売のホントなんてわかってたまるかってんだい!あんたの気休めのために酷いことをしようとしてんのはどっちなんだい!」そして、もう伸輔には妹分のお花という恋女房がいると告げます。「あんたは100年に一度の幸せモンだってね。ここには幸せモンには用はないんだよ!」ただ立ちつくすしかできない紫だった。
けん
月日が流れ、紫は馴染み客の坪坂と一緒になることにし、吉原を去る事となった。ちょうど2人を乗せた人力車が吉原を出ようとした頃、お春が倒した火が原因で吉原中が炎上する。背中越しに火事を見た紫は人力車を降りる。行くなとの願いをこめて肩を掴む坪坂。
けん
紫は坪坂の制止を振り切り吉原へ駆け出す。
けん
紫は、心の底から愛した男、中梅楼、全てが灰になるのをただ見つめていた。
けん
花魁道中
わたし推し!
金の無心に来た元亭主の浮気相手。最初は追い返そうとするが・・・
けん
「畜生!なんで私はいっつも皆の踏み台にされなきゃなんないんだよ!お父もお母もあいつらも、どこまで私に痛い思いさせりゃ気が済むんだよ!どこまで重しかけりゃ気が済むんだよ!」新聞紙にかき集めた小銭を包む菊川。
けん
稼ぎが悪いと品川に住み替えになったが、そこの客に身請けされ所帯を持つと幸せそうな笑顔を見せた菊川。幸せは長く続かず、亭主に若い女と浮気されて離婚し、最下層の長屋女郎にまで身を落としました。
元亭主が怪我で働けなくなった、と浮気相手が図々しくも廓に金の無心にやってきた時のシーン。
「帰れ!」と、どやしつけたあと、その浮気相手の後姿を見て「ちょっと待ってな!」。
畳の下に隠した小銭を渡してやろうと畳を持ち上げますが、畳が落ちて腕を挟んでしまいます。
その時、いつも強気で明るく、廓のみんなを盛り立てていた菊川が初めて泣き言を言い涙します。
美しすぎるレズシーンや艶やかな花魁道中、衝撃的な死に様など、見どころ盛りだくさんの「吉原炎上」ですが、私的にはこの菊ちゃんの血反吐を吐くような、搾り出すような叫びが1番印象的でした。