平成5年、大西鐡之祐は、早稲田大学監督:益子俊治の要請でコーチになった。
試合前のロッカールームで、大西は人目もはばからず涙を流した。
それをみた選手は感激し、テンションを上げた。
アヤ夫人はいう。
「家にいてもときどき目が宙をさまよっていましたね。
私は、アッ、ラグビーのこと考えているなと感じて話しかけないようにしましたよ。
益子さんには、寝ているときに思いついたことを伝えるために毎朝7時に電話していました。
それだって6時に電話しようとする大西を、普通の人はまだ寝ている時間よと言って私が遅らせたんですから・・・」
(大西アヤ)
「最近70歳を超えてやっとラグビーを一観衆として見る心境になってきました。
習慣とは恐ろしいもので、大学チームの試合なら、早稲田の相手としてどうだろうと思って見るし、高校以下のチームの試合だと、スクラムトライとキック攻撃ばかりの試合ぶりで将来の日本ラグビーのためにはよいのかと思い、社会人の試合を見ては、なぜここまでしかうまくならないのかと思ってしまうのです。
長い間観衆の前で試合をしてきて感ずるのは、チームはその試合が重要であればあるほど真剣に青春の全てを賭けて闘っているのです。
観衆の人たちも入場料を払った以上自由に行動されてよいのです。
しかしゲームをスポイルすることだけは慎んでもらいたいと思うのです。
ラグビーでは対抗戦の相手とは年に1回しか試合しません。
ですからこれにすべてを賭けている選手たちに一生の思い出となるような声援を送ってやってほしいのです。
そして各国にはその観衆の独自のマナーがあるように、日本独特のチームの応援と一体となった観衆的マナーが将来できあがってくることを期待したいと思います。
ただ僕が現在の立場で皆さんにおすすめすることができることは、まず好きなチームをつくることです。
そしてそのチームの監督になったつもりで、このチームを優勝させるにはどうやればよいかを考える。
はじめはわからなくても素人なりにだんだん面白くなってきます。
そのチームが振るわなくて、コーチや監督は何しとるんだと思うようになれば楽しさは倍増される。
好きなチームが出場して、俺ならこうするなと考えていると、監督、選手がそれをやってのける。
いいぞ次はこれだと思うと、今度はそれをやって勝つ。
こうなってくるとたまったものではありません。
観衆がラグビーの醍醐味を味わう早道はこれだと思っているのです。
少しラグビーを見て研究すればこんなことくらいは解ってきます。
ぜひ好きなチームを選んで、毎年そのチームと勝負を共にしてラグビーの醍醐味を味わっていただければと思います。」
平成7年、大西鐡之祐は、胸部大動脈瘤により死去。
享年79。
大西鐡之祐 むかし²ラグビーの神様は、知と理を縦糸に、情熱と愛を横糸に、真っ赤な桜のジャージを織り上げました。
「どんな人でも夢を持たない人間はいない。 夢は人間を前進させ、幸福にする。 唯、夢がその人を幸福にするかしないかは、その人の夢の実現に対する永続的な努力と情熱にかかっている。」
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