大映ドラマ
芥川隆行さん、来宮良子さんの「この物語は・・・」のセリフで始まり、主人公の波乱万丈な人生が描かれた大映ドラマ。
1960年代には「人間の條件」「図々しい奴」「東京警備指令 ザ・ガードマン」が製作され、1970年代に入ると「おくさまは18歳」や山口百恵さん主演の「赤いシリーズ」が大ヒット。
そして、最盛期だった1980年代には「噂の刑事トミーとマツ」から始まり、「スチュワーデス物語」「不良少女とよばれて」「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」「少女に何が起ったか」など、次から次へとヒット作品を生み出しました。
そんな大映ドラマの常連として名前が上がる俳優といえば、松村雄基さんや伊藤かずえさんが代表的ですが、メインキャストである彼らを脇からがっちり支える名俳優たちの存在も実に大きなものでした。
梅宮辰夫

本名:梅宮 辰雄
生年月日:1938年3月11日
没年月日:2019年12月12日(81歳没)
出身地:満洲国 浜江省ハルビン市(現:中国黒竜江省ハルビン市)
身長:174cm
血液型:A型
大映ドラマ出演作品
・夜明けの刑事
・新・夜明けの刑事
・明日の刑事
・スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜
・スタア誕生
・このこ誰の子?
・ザ・スクールコップ
・スクールウォーズ2
・ララバイ刑事
・赤い迷宮
・カミング・ホーム
70年代には「夜明けの刑事」シリーズに出演され、アウトローな刑事課長として活躍された梅宮辰夫さん。
80年代に入ると「スタア誕生」で堀ちえみさん演じる主人公の父親、「このこ誰の子?」では保阪尚輝さん演じる朝比奈拓也が通うボクシングジムのトレーナーなど、若手キャストの頼るべき人物として存在感を発揮しました。
そして、梅宮辰夫さんの大映ドラマ出演作の中で最も思い出深いのが「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」です。
梅宮辰夫さんは、ドラマの舞台となった川浜高校のラグビー部員である森田光男(宮田恭男さん)の義兄であり、和田アキ子さん演じる光男の姉・夕子の夫、下田大三郎として出演。
夕子と共に中華料理店「新楽」を営むマスターでもありました。
梅宮辰夫さんご自身料理上手で知られていましたし、鍋振りもとても様になっていました。
松村雄基さん演じる大木大助が「川浜一のワル」と呼ばれていたのに対して、大三郎がかつて呼ばれていたのは「関東一のワル」!
ワルはワルでもレベルが違います!
不良生徒の屈折した気持ちを理解することもできる度量の深さもまたカッコイイ大三郎でした。
梅宮辰夫さんが逝去されたのは2019年のこと。
奇しくもラグビー日本代表チームが史上初のベスト8入りをして盛り上がった年となりました。
坂上二郎

本名:坂上二郎
生年月日:1934年4月16日
没年月日:2011年3月10日(76歳没)
出身地:鹿児島県鹿児島市
身長:160cm
血液型:AB型
大映ドラマ出演作品
・夜明けの刑事
・新・夜明けの刑事
・明日の刑事
・図ぶとい奴・危険な賭け
・スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜
・スタア誕生
・天使のアッパーカット
・ザ・スクールコップ
1966年に萩本欽一さんと結成した「コント55号」でコメディアンとして一世を風靡した他、俳優としても人気を誇った坂上二郎さん。
ドラマ初主演となったのが「夜明けの刑事」でした。
坂上二郎さん演じるベテラン刑事・鈴木勇が、個性豊かな刑事たちと共に事件を解決していくストーリーで、1974年10月~1977年3月まで2年半に渡って放送されました。
さらに、「夜明けの刑事」が終わったすぐ翌週から「新・夜明けの刑事」、「明日の刑事」と続き、5年もの間に渡って放送された「夜明けの刑事」シリーズ。
シリーズ合計で、なんと221話続いた大ヒット作品となりました。
80年代には、「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」で目立ちたがり屋で自己中心的な性格ながらも憎めないキャラクターの内田玄治役で出演。
また「スタア誕生」では、元役者という肩書を持つ喫茶店のマスター・二宮吾一役として出演し、女優志望の主人公を陰ながら支える優しいおじ様を演じられていました。
下川辰平

本名:下川辰典
生年月日:1928年12月11日
没年月日:2004年3月25日(75歳没)
出身地:福岡県福岡市
身長:164cm
血液型:AB型
大映ドラマ出演作品
・赤い運命
・スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜
・ポニーテールはふり向かない
・スタア誕生
・プロゴルファー祈子
・おんな風林火山
「太陽にほえろ!」の長さん役で多くのファンから親しまれてきた下川辰平さん。
大映ドラマでは「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」に、校長先生役として第1話から出演。
荒廃しきった川浜高校を何とか立て直すべく奮闘。
教師にも生徒にも上から押さえつけるような物言いなどは決してせず、みんなに対して公平に接することのできる人格者という役どころでした。
そして、「スタア誕生」では主人公・加賀順子(堀ちえみさん)の育ての親である河田善之助として出演。
吹雪の夜、行き倒れになっていた母親とまだ赤ん坊だった娘を救い、母亡きあと妻と共に自分の娘としてます。
その後、実の父親が名乗り出て、娘の順子は17年間過ごした長野を離れ実父と共に上京していきますが、生まれながらに体の弱い順子がトラブルに見舞われるたびに東京に出向いて守る、優しく愛情深いお父さんでした。
その他、「ポニーテールはふり向かない」や「プロゴルファー祈子」でも、若者を陰ながら見守り応援する優しい人柄の役が多かったですね。
名古屋章

本名:名古屋章
生年月日:1930年12月8日
没年月日:2003年6月24日(72歳没)
出身地:東京府東京市麹町区(現:東京都千代田区九段)
身長:170cm
血液型:AB型
大映ドラマ出演作品
・東京警備指令 ザ・ガードマン
・夜明けの刑事
・秘密のデカちゃん
・だんなさまは18歳
・婦警さんは魔女
・高校聖夫婦
・不良少女と呼ばれて
・スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜
・乳姉妹
・花嫁衣裳は誰が着る
・このこ誰の子?
・ザ・スクールコップ
1965年放送の「東京警備指令 ザ・ガードマン」から大映ドラマに出演され、警察官、少年院の園長、校長先生、教会の牧師さん、そして時には優しいお父さん役と、実に様々な役柄を演じて私たちを楽しませてくれた名古屋章さん。
「秘密のデカちゃん」では、警察署長の旭日奈大造役で出演。
主人公で旭日奈の部下である日暮庄助(石立鉄男さん)に、19歳年下の新人婦警・祥子(大場久美子)との結婚を報告され大パニック!ひたすら隠すように命じるも、バレやしないかと自身がいつもドキドキ冷や冷やしているコミカルな署長さんでした。
そして「不良少女と呼ばれて」では、女子少年院「相模愛育女子学園」の園長である丹波秀介を熱演。
犯罪を犯した院生に「人生やり直しができる」と諭し、何とか自分に自信をつけさせようと様々な工夫を試みる、院生たちのお父さん的存在の丹波園長。
実は自身も元不良で、不良組織のリーダー・西村朝男(松村雄基さん)とは一戦交えるシーンも。
さらに「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」では、勉学第一の堅物の校長・岩佐邦靖として出演されています。
「スポーツなど一文の得にもならない」と言って、試験の出来が悪い部活は容赦なく活動停止にし、生徒のみならず教師からも恐れられる存在。
ですが、その真意は「学歴社会を批判するのは容易いが負ければ負け犬の遠吠えにしかならない。だから世の中を勝ちぬく術を身に着けてほしい」という岩佐校長なりの愛情でした。
歳を重ねれば重ねるほど理解できる深い言葉ですよね。
大映ドラマにおける名古屋章さんは、やはり度量が深いお父さん的存在という印象が強いですね。
大映ドラマ今でも見られる?

10代の少年少女たちの波乱万丈な人生を描いた作品が多かった大映ドラマ。
松村雄基さん、伊藤かずえさん、鶴見辰吾さん、比企理恵さんといった若手常連メンバーの他、堀ちえみさんやいとうまい子さんなどのアイドル女優がヒロインとして出演されていました。
そして、その若手キャストたちをガッチリ支えていたのが、梅宮辰夫さん、坂上二郎さん、下川辰平さん、名古屋章さん他、多くのベテラン俳優の皆さんでした。
「今ではもう見られない・・・」と思われがちですが、作品によっては動画配信サービスで配信されていたり、地方局で再放送されていることもあります。
もし見られる機会があったら是非見てみてはいかがでしょうか?
一度見始めたら止まらなくなってしまうかも。