「準備OK!
ハッピー・ニュー・イヤー」
の声で「リードボーカル」部分の録音が開始。
前半グループ、後半グループに分かれて行われ、まず前半グループの
ライオネル・リッチー
スティービー・ワンダー
ポール・サイモン
ケニー・ロジャース
ジェイムズ・イングラム
ティナ・ターナー
ビリー・ジョエル
ダイアナ・ロス
ディオンヌ・ワーウィック
ウィリー・ネルソン
アル・ジャロウ
ブルース・スプリングスティーン
ケニー・ロギンス
スティーヴ・ペリー
ダリル・ホール(「ダリル・ホール&ジョン・オーツ」)
がスタンバイ。
マイケル・ジャクソン
ヒューイ・ルイス
シンディ・ローパー
キム・カーンズ
ボブ・ディラン
はスタジオ隅の床に座って見学。
コーラス部分の録音同様、レコーディングパートごとに録られ、何度もやり直しが行われた。
クインシー・ジョーンズは、自分が立つ指揮台を中心にU字型に配列されたマイクをみて
「こんなやり方は、ガソリンをまきながら地獄を走り抜けるみたいなもんだったよ。
誰かのおしゃべりとか外の雑音とか、笑い声だったり床がきしむ音ですら、すべてを台無しにしかねないんだからね」
と思っていた。
ライオネル・リッチーが
「自分の番が来たら前に出てくてください。
ここで(マイクの前で)ソロを歌う。
すると次の人が割り込んでくる。
デュエットのときは、この位置で(マイクから少し離れた位置で)
後ろに下がって歌ったら誰が歌っているのかわからないから、とにかく自分の番が来たら思い切り前に出るんだ。
目印よりもずっと前に出て、マイクに寄るんだ」
と説明。
音楽が流れ、1人目のライオネル・リッチーが、
「There comes a time(時が来た)・・・」
と歌ったとき、クインシー・ジョーンズは大きく手を叩いてストップ。
「ちょっと待て!
雑音を入れるな!
録音中だぞ!!」
とスタッフに激怒。
一気に緊迫した空気にスティービー・ワンダーは笑顔で
「クインシー、怒るなって」
ライオネル・リッチーも表情を崩して、その肩に寄りかかった。
そうしている間にTAKE2が始まり、スティービー・ワンダーはマイクに笑い声入らないように口を押えた。
0:00、
シンセサイザーによるイントロの音楽が流れる。
0:26
ライオネル・リッチーが先陣を切る。
「There comes a time when we heed a certain call
(時が来た、私たちがその声に耳を傾ける時が)」
0:31
スティービー・ワンダーがマイクに近づき、ライオネル・リッチーと2人で
「When the world must come together as one
(世界がひとつにならなければいけない時が)」
とコーラス。
そしてソロで
「There are people dying
(命を落としている人たちがいる」
0:41
160㎝のポール・サイモンが引継ぎ、
「Oh and it's time to lend a hand to life
(そして今こそ命に手を貸す時だ)」
183㎝、白地に青の「USA for Africa」のトレーナーを着たケニー・ロジャースが現れ、2人で
「The greatest gift of all
(何よりも偉大な授かりものに)」
ライオネル・リッチーが手を伸ばしてキューを出すとケニー・ロジャースのソロが開始、
「We can't go on pretending day by day
(誤魔化しながら日々を過ごすことはできない)」
0:59、
ジェームス・イングラムが
「That someone, somewhere will soon make a change
(誰かがどこかでもうすぐ変化を起こしてくれるのだと)」
最初、ジェームス・イングラムは緊張で声が出ず、音も外し、歌い終わると笑い声を殺してケニー・ロジャースに抱きついた。
1:06、
オスライオンのような髪形をしたティナ・ターナーが迫力のある声で、
「We are all a part of God's great big family
(私たちはみな神の素晴らしい大きな家族の一員)」
1:13、
ヒゲ面のビリー・ジョエルが、
「And the truth, you know
(そして真実はわかってるだろう)」
ティナ・ターナー&ビリー・ジョエルで
「Love is all we need
(私たちに必要なのは愛だけ)」
1:19、
すでにレコーディングされたマイケル・ジャクソンの声が流れ、
「We are the world, we are the children
(私たちは世界、私たちは(神の)子供)
We are the ones who make a brighter day
(私たちこそがより明るい日をつくる者たち)
So let's start giving
(だから与えることを始めよう)」
1:32、
マイケル・ジャクソンとのつき合いは16年以上というダイアナ・ロスが、
「There's a choice we're making
(私たちがこれからする選択がある)
We're saving our own lives
(私たちは自分たち自身の命を救おうとしている)」
1:37、
再びすでにレコーディングされたマイケル・ジャクソンの声で
「It's true we'll make a better day
(その通り、私たちがより良い日をつくる
Just you and me
(君と私こそが)」
1:48、
ディオンヌ・ワーウィックが
「Send them your heart
(彼らに気持ちを送ろう)
so they'll know that someone cares
(そうすれば誰かが気にかけていることを彼らも知ることができる)」
1:55、
ディオンヌ・ワーウィック&ダン・エクロイドで
「And their lives will be stronger and free
(そうすれば彼らの命はより強く自由になる)」
2:00、
ダン・エクロイドがソロで
「As God has shown us by turning stone to bread」
(神が石をパンに変えて私たちに示してくれたように)
2:07、
USA for Africaのスウェットと黒い革ジャンを着たアル・ジャロウが
「So we all must lend a helping hand
(だから私たちは支援の手を貸さなければならない)」
2:12、
ブルース・スプリングスティーンが目をつむりながら
「We are the world, we are the children
(私たちは世界、私たちは(神の)子供)」
2:19、
ケニー・ロギンスが
「We are the ones who make a brighter day
(私たちこそが、より明るい日をつくる者たち)
So let's start giving
(だから与えることを始めよう)」
2:26、
スティーブ・ペリーが
「There's a choice we're making
(私たちがこれからする選択がある)
We're saving our own lives
(私たちは自分たち自身の命を救おうとしている)」
2:33、
ダリル・ホールが
「It's true we'll make a better day
(その通り、私たちがより良い日をつくる)
Just you and me
(君と私こそが)」
前半グループの録音は数TAKEで終了。
コントロールルームからOKが出ると、歓声と拍手が起こり、ティナ・ターナーは
「フィッシュバーガー!フィッシュバーガーが食べたい」
とおどけた。
スタジオの床に座って待機していた後半グループ、
マイケル・ジャクソン
ヒューイ・ルイス
シンディ・ローパー
キム・カーンズ
が立ち上がり、キム・カーンズは、感心した様子で
「すごいリレーコーラスね!」
といいながら位置についた。
2:40、
まずマイケル・ジャクソンが、
「When you're down and out, there seems no hope at all
(君が打ちひしがれた時、希望など全くないように思えるだろう)」
と歌った後、ヒューイルイスが気合を入れて口を開けた瞬間、音楽がストップ。
気合を入れてスタンバイしていたヒューイ・ルイスは、持っていた楽譜を落としてよろけ、シンディ・ローパーは
「真打登場だからもったいぶってるのよ」
といってなぐさめた。
2:46、
ヒューイ・ルイスが拳を握りながら、
「But if you just believe, there's no way we can fall
(でも君がひたすらに強い気持ちを持てば、私たちが負けることはあり得ない)」
2:51、
「WaWaWa」
シンディ・ローパーが体でリズムをとりながらマイクの前に躍り出て
「Let us realize, oh, that a change can only come
(みんな理解しよう、変化が訪れるのは)」
2:59、
キム・カーンズがハスキーボイスで
「When we ・・・・」
とワンフレーズを絞り出し、
3:02、
ヒューイ・ルイス&キム・カーンズで
「Stand together as one
(私たちがひとつに団結した時だけなのだと)」
シンディ・ローパーは、
「アイヤイヤヤイヤ}
と魂の叫び。
1回目のTAKEの後、コントロールルームが
「ノイズが入る」
と指摘し、
「どうも犯人はブレスレットのようだけど・・・・」
するとシンディ・ローパーが
「OH!
私?
ごめんなさい」
スタジオ大爆笑の中、シンディ・ローパーはジャラジャラとイヤリングやネックレスを外した。
5回目のテイクの後、シンディー・ローパーが
「私、まだ音してる?」
すると後ろからみていたスティーヴ・ペリーが社会科見学している小学生のように挙手し、
「Q(クインシー・ジョーンズ)、聞いてよ。
彼女の歌にちょうど合っているよ。
まるで会話しているようだ。
素晴らしい」
7度目のテイクは良い出来で、部屋には自然と拍手が起こった。