猿岩石のヒッチハイク旅 アジア終了!ヨーロッパ突入!!ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリア!!!

猿岩石のヒッチハイク旅 アジア終了!ヨーロッパ突入!!ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリア!!!

アジアは、香港、中国、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー、インド、ネパール、パキスタン、イラン、トルコ。ヨーロッパは、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリア、ドイツ、フランス、そしてゴールのイギリスまで。野宿、絶食当たり前。推定移動距離3万5000km。推定到達期間6ヵ月。「香港-ロンドン ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」旅。


140日目、8月30日、トラックは首都ブカレストを後にし、国道を10時間、480㎞を走り続け、ピテシティをはるかに越え、ルーマニア第2の都市、クルージュまで連れていってくれた。
『さようなら』
「サンキュー、気をつけて」
「ありがとう、バイバイ」
運転手と別れたとき、すでに夜。
暗い中、すぐに野宿ポイント探しを開始。
しばらく歩くとガソリンスタンドがあり、その壁を使ってつくられた倉庫のような小屋を発見。
「おっ、ここ寝れるな」
「ちょっと聞いてみる?」
有吉はガソリンスタンドの店員に近づき
「エクスキューズ・ミー。
あー、あそこで、」
といいながら小屋を指さし
「あの、あそこで、ちょっと寝てもいいかな」
と両手を合わせてホッペの横にもっていき、体を横に傾けて「お眠」のジェスチャー。
『ンッ?』
店員はうなりながら、手をホッペの横にもっていき、有吉からみて鏡にうつったように体を横に傾け、それから手で「どうぞ」のジェスチャー。
「サンキュー」
「助かった」
2人は、屋根つきで野宿できることが決まって喜んだ。
しかし気温は10℃。
小屋といってもガソリンスタンドの大きな壁に小さな屋根と側壁をつけただけで、正面はフルオープン。
全身を外気にさらされ
「ウ~サブゥ」
「あ~寒い」
寒さで震えていると、さっきの店員が近づいてきて、再びお眠のジェスチャーをしながら
『うちに泊まる?』
それを聞いて森脇は
「ダァ、ダァ、ダァ」
(「はい」は、ルーマニア語で「da」という)
店員の家に連れていってもらうと、ご両親にも暖かく迎え入れられ、温かいスープをごちそうになった。
「あー、おいしい!」
「あー、温ったまるわ」
2人は、人の心と食べ物、さらにブルガリアの農家で入って以来、12日ぶりのお風呂でも温まった。

翌日、141日目、8月31日、ガソリンスタンドの店員の車で約3時間、クルージョから150km、国境の街、オラデアに到着。
店員に
『この通りなら(ハンガリーの)ブダペストへ行く車がたくさん通りますよ』
と教わった2人はて、ヒッチハイク開始。
するとわずか30分でワンボックスカーが停まってくれた。
「ノーマネー、OK?」
運転手は空を指さして
『金なんかもらったら神様に叱られるよ』
明るい運転手は、ブタペストに帰る途中のハンガリー人。
30分で国境に到着すると、車に乗ったまま国境ゲートを車に乗ったまま通過し、14ヵ国目、ハンガリーに入国。
さらに国境から4時間走って首都、ブタペストに到着。
「いい人、つかまえたね。
またコーヒーおごってもらっちゃったよ」
(森脇)
「(ビザ代)160ドルの国 ハンガリー」
(有吉)

ハンガリーの面積は93000m²で日本の1/4。
「ヨーロッパの真珠」といわれ、訪れた人を魅了する国。
首都、ブタペストは、パリにも勝るとも劣らない街並みが広がり、夜はドナウ川を古いヨーロッパの街並みのほのかな明かりで照らし「ヨーロッパの夜景」と呼ばれる。
日本同様、温泉大国で、国内に80の源泉がある
ヘーヴィーズ湖は、最大水深38m、47000m²という規格外の大きさの天然の泳げる温泉湖。
常に地下から温水が湧き出ているので30時間ほどですべての水が入れ替わり、夏場は33度、冬場でも26度を下回らない。
ブタペストのセーチェーニ温泉は、ヨーロッパ最大規模を誇り、広い敷地内にいくつもの風呂があり、半身浴をしながらチェスをチェスをしながら入れたり、流れる温泉があったり、アミューズメント施設のような雰囲気。
ヨーロッパではかなり物価が安いことも旅行者にはうれしいポイント。
世界3大珍味の1つ、フォアグラが100g、200円程度で購入できる。
ワインの名産国としても有名だが、特に「トカイワイン」は、ブドウの果皮をカビに感染させることで糖度を上げる貴腐ワインで独特の甘さととろみが特徴。
中でも「トカイ・アスー」は世界3大貴腐ワインの1つ。
フォアグラをバターで焼いてトカイワインを飲めばサイコーである。

野宿する場所を探して歩いていると以前、ブルガリアからルーマニアに入ったときに渡ったドナウ川に遭遇。
その時と同じように橋を渡ると公園を発見した。
そこにあるベンチをみて、2人は
「あー、これはいいわ」
「これはベスト3に入るんじゃないか」
と高評価。
ちなみに野宿に最適なベンチとは

・横幅がある
・長さがある
・腰掛け部分が平ら
・腰掛けと背もたれとの間にすきまがあって、寝たときに腕が入る

しかし夜になって雨が降り出したため、ベスト3に入るベンチをあきらめ、雨をしのげる場所を探した。
そして地下道を発見。
「わあー、いかにもで怖いなあ」
有吉は危険な気配を感じたが、雨風がしのげるため、ここで寝ることに。
しかし不安でなかなか寝つけない。
「あー、眠れないなー」
(森脇)
すると
『おい、誰かいるぞ』
という声がして男が2人が近づいてきた。
「ヤベェーッ」
(有吉)
「ワルそうだな」
(森脇)
この一見、怖そうな2人組は、実は優しい地元の人間。
『ここは危険ですよ』
『彼らをここで放っておく訳にはいかないよ』
といって猿岩石を安全な場所で寝かせるために移動。
そして連れていかれたのは船。
男性たちは船会社の社員で、船は知り合いのもので、そのオーナーにかけあって船室に泊めてもらえるようにしてくれた。

翌朝、昨夜の男の1人が来てくれたので、有吉は
「あのー、Thid Ship、Good Sleep」
とお礼をいい、甘えついでに
「でも仕事ないです」
と告白。
男は会社に電話して相談し
『OK』
そのまま2人は会社の人事担当と引き合わされ
『仕事は明日の朝から』
といわれた。
さらに人事担当者は、別の船に確保した部屋に2人を連れていき、
『明日の7時ね』
といって去っていった。
2人はキレイで大きな船室、ベンチの5倍は幅があるベッド、そして素早くスキのない仕事っぷりに
「すごいな」
と感動した。
翌朝7時、人事担当者が迎えに来てくれ、ついていくとドナウ川の観光船。
船はお客さんを乗せて7時半に出航。
エストラゴンという観光地へ向かう船の中で、2人の仕事はビュッフェで食器洗い。
13時、目的地、エストラゴン大聖堂があるエストラゴンに到着。
高さ100m、直径53.5m、ハンガリー最大のドームを持つエストラゴン大聖堂は、ハンガリーカトリックの総本山。
聖母マリアの昇天」は、13.5m×6mで1枚のキャンバス地に描かれた祭壇画としては世界最大といわれている。
客が降りると船は従業員の食事の時間。
「うん、うまい」
昼食が終わると客席、通路、甲板、トイレまで3時間にわたって船内を清掃。
17時、再び客を乗せてエストラゴンから出航。
21時、ブダペストに帰航。
客が降りた後、掃除と後片付け。
22時、仕事終了し、寝床である船室に戻った。
そんな日々が6日間が続いた。

7日目の朝、いつものように出勤しようとすると人事担当者がやって来ていった。
『グッドニュースがあります。
君たちは無料でビエナ(ウィーン)に行けます』
事情を知った人事担当者が会社と交渉し、2人をオーストリア行きの船にタダで乗れるように手配してくれたのである。
『今日ですよ』
「トゥデイ?」
その船は2時間後に出航するという。
まず会社にいってアルバイト代、2人で12000フォリントを受け取った。
そして船着き場に移動。
「サンキュー」
『元気で』
人事担当者にお礼をいってから船に乗船。
出入国の手続きはあったが、オーストリアはビザが必要ないため、アルバイト代をまるまる抱えたまま意気揚々、乗船。
ブタペストを出航した高速艇は70km/hでドナウ川をぐグングン上っていったいった。
タダ乗りで席がない2人は、6時間、甲板で寒風にさらされ続けながら300kmを移動。
途中で雨にも遭ったが、日本人観光客に紙袋をもらい、開けてみるとリンゴとワインが入っているといううれしいハプニングもあった。

こうして149日目、9月8日、15ヵ国目となるオーストリアの首都、ウィーンに到着。
オーストリアといえば、アーノルド・シュワルツェネッガーの出身国。
北にドイツとチェコ、西にリヒテンシュタインとスイス、南にイタリアとスロベニア、東にハンガリーとスロバキアと隣接し、某国と名前は似ているがカンガルーはいない。
首都は音楽と芸術の都、ウィーン。
1278年にスイスの貴族、ハプスブルク家がウィーンに移ってきたことで発展。
ハプスブルク家は650年間、オーストリアを治め続けたが、ウィーンは貴族文化の影響を受けて独自の文化を形成。
ステンドグラス、木彫りの聖母子像、祭壇、礼拝堂、いたるところに芸術的で精巧な細工が施されたゴシップ様式の大聖堂「シュテファン大聖堂」には地元の信者が朝から祈りを捧げる。
この聖堂がある「ウィーン歴史地区」は世界遺産。
ウィーン国立歌劇場は、スカラ座、メトロポリタン歌劇場と並ぶ世界3大オペラ座で、年間300日以上、オペラやバレエが上演されている。
かつてベートーベンやモーツァルトも暮らした街の人口は186万人。
「リング」と呼ばれる環状の大通りに囲まれた旧市街を中心に中世の面影を残す美しい街並みが広がる。
地下鉄や路面電車、バスなど交通インフラも整備され、2019年には過去7年連続1位だったメルボルンを抜いて「世界で最も住みたい都市ランキング」で1位になった。
猿岩石は、そんなウィーンで、まず野宿ポイントを探し、ドナウ川のほとりの公園で寝ることを決めた。

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