石井和義の流儀 月給11万円の指導員は突如クーデターを起こした

石井和義の流儀 月給11万円の指導員は突如クーデターを起こした

「アマチュアは勝利にこだわる。当たり前の事です。アマチュア競技は参加料を払って、競技大会に加わり、勝ち負けを競い、栄光の証としてトロフィーや賞状を授与される。勝利のために努力精進する過程において肉体と精神を鍛える それがオリンピック精神であります。しかし、プロ精神は違います。お客様を感動させ満足させて、いかに勝つか、いかに負けるかです。それが銭が稼げるプロ、プロは稼いでなんぼです」


1999年10月5日、K-1GP開幕戦で佐竹雅昭は武蔵と対戦した。
武蔵の本名は、森昭生。
リングネームを決めるとき、「(北斗の拳の)ケンシロウ」案があがったが、佐竹が「武蔵」を提案し採用された。
しかも佐竹雅昭「武蔵」案は、「むさし」ではなく「たけぞう」だった。
武蔵は、空手家としてバックボーンが少なく、むしろキックボクサーとしてのアイデンティティが高い。
両者は精神性を含めてファイトスタイルに差異があった。
1R、佐竹はパンチで武蔵をダウンさせた。
しかし3R終了後の判定は、3-0で武蔵を勝利者とした。
佐竹は納得がいかず、リングサイドにいた石井館長に抗議した。
実際、多くのK-1選手も疑問を感じた判定だった。
1度、控室に戻った佐竹だったが、やはり納得がいかず、改めて石井館長に抗議しにいった。
「あの判定はどういうことですか?」
「そんなことはどうでもええねん」
佐竹は唖然とした。
結局、その後も、話し合いにならず
「じゃあ、辞めさせてもらいます」
佐竹はそういって部屋を出た。
数日後、記者会見が開かれ、石井館長と佐竹の和解、そして佐竹のK-1一時撤退と正道会館を休会することが発表された。

アンディ・フグ 急死

アンディ・フグと角田信明は仲がよかった。
アンディ・フグは自分の子供が生まれたとき、角田信朗に名前を考えてくれと頼み、自身の娘は「ユリア(友里亜)」、息子は「ケンシロウ(賢士郎)」とマンガ「北斗の拳」からかんたんに名付けた角田信明は、空手の稽古で気合を入れるときに
「セイヤ!」
と発することから「Seiya」という名前を提案した。
毎年6月にはスイスで「K-1 Fight Night」が行われ、その度に角田信朗はアンディ・フグのプールつきの豪邸に招待された。
遊んでいるとき、セイヤが友里亜にパンチと蹴りを出すのをみてアンディ・フグがいないときにセイヤのホッペをつねった。
「コラ!
お父ちゃんが強いからって調子に乗るなよ。
だいたいプールや子供部屋とか贅沢やねん。
こっちは借家住まいやねんぞ」
2000年8月24日、朝の走り込みを終え大阪の四天王寺の家に帰った角田信朗に電話が入った。
「落ち着いて聞いてください。
アンディが今病院にいます」
「えっ?
ケガでもしたんですか?」
「いえ、白血病です。
今もう危篤状態です。
すぐに来てください」
角田信朗はすぐに新幹線に飛び乗った。
「何が白血病じゃ。
アンディ、アホかお前」
遅い新幹線に歯ぎしりした。
東京駅から日本医科大学付属病院へ着いた角田信朗は8階まで階段を一気に駆け上がった。
石井和義が待っていた。
「館長、一体どういうことですか?!」
「行こうか」
石井和義は諭すように静かにいった。
病室には「武道聖矢」という名札がかかっていた。
たくさんの人に囲まれたベッドの上でアンディ・フグは横たわっていた。
鼻や口にたくさんの管が入り意識はなかった。
「お前、何やってんねん」
ベッドの横のモニターには150近い心拍数が示されていた。
150という心拍数は短距離を全力疾走するときの数値である。

その病名は「AML(急性前骨髄球性白血病、Acute Myeloid Leukemia)」だった。
血液中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞がある。
これらは骨髄にある造血幹細胞から増殖、分化してつくられる。
急性骨髄性白血病は、このような血液をつくる過程の未熟な血液細胞である骨髄芽球に何らかの遺伝子異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増殖することで発症する。
アンディ・フグの場合、まず全身の免疫機能が低下し、肺の中がカビだらけになり自発呼吸が困難になった。
血液を凝固させる成分が壊死しているため主血があっても止まらない状態で、後頭部には大量の主血があった。
アンディ・フグは前日の深夜から高熱を発し、いつ息を引き取ってもおかしくない危篤状態が続いていたが病魔と戦い続けていた。
しかし医師によると生還の見込みはないという。
角田信朗は思った。
「こいつ戦っとるなあ。
史上最強の敵と必死で戦っとるなあ。
ちょっと休んだらええのに。
カラテスピリッツやいうて。
よっしゃ、思う存分戦えや
今度はどんなことがあっても絶対に止めんからな」
過去にマイク・ベルナルドに滅多打ちにされるアンディ・フグをみてレフリーをしていた角田信朗が試合を止めたことがあった。
周囲からは止めるのが遅いといわれた。
あれだけの強打を受け続けながら最後まで膝をつくことを拒否したアンディ・フグとレフリーでありながら、その姿をみてファイターの誇りを傷つけることをためらった角田信朗だった。
16時、「アンディ・フグ危篤」の報道が流れ病院に関係者が続々と訪れた。
17時半、一旦身内以外は外に出た。
18時、医師に呼ばれ再び病室に入るとモニターの心拍数は40まで低下していた。
「アンディ!アンディ!
お前何やってるんだよ。
もう1回チャンピオンになるって俺に約束したじゃないかよ。
アンディ!」
(平仲信明)
「アンディ、お前、まだまだやらんとあかんことがいっぱいあるやろうが」
(石井和義)
「アンディ、アンディ」
「アンディ、ネバーギブアップ」
「アンディ、カラテスピリッツ」
全員がアンディに語りかけた。
「ピーッ」
心電図の波が消え直線となり電子音が響いた。
角田信朗は叫んだ。
「アホか、アンディ。
何しとるんじゃ。
レフリーがやめいうまで勝手に休んだらあかんのじゃ」
するとなんの蘇生措置も施していないのにアンディの心臓は自力で鼓動を始めた。
「よっしゃよっしゃ。
そういうことや!
アンディやればできるやないか」
しかしすぐにその鼓動は弱まっていった。
「あかん!あかん!
アンディ、立ってみい。
コラァー」
いったいどこにそんな力が残っているのか。
アンディ・フグの心臓は3度止まって、人々の声に応えるように再び動き出した。
4度目の停止したとき、戦いを続行させようとする角田信朗を医師が止めた。
「もう休ませてあげましょう」
アンディは最後まであきらめずに戦い続ようとした。
レフリーの角田信朗もその戦いを止めなかった。
セコンドの平仲信明もタオルを投げなかった。
壮絶な戦いはドクターストップで幕を閉じた。
2000年8月24日18時21分、35歳の鉄人は伝説の男となった。

逮捕

2002年、角田信朗はNHK朝の連続ドラマ「まんてん」で、映画「マルサの女」の宮本信子と共演していたが、皮肉にも同年12月、株式会社ケイワンが法人税法違反の容疑で強制捜査を受けた。
2002年12月27日、石井和義は、法人税法違反の容疑で在宅起訴された。
2003年2月3日、石井和義は、証拠隠滅教唆容疑で逮捕された。
2003年5月22日、保釈金4,000万円を支払い保釈。
2004年1月14日、脱税と証拠隠滅教唆について東京地方裁判所は懲役1年10か月の実刑判決を下した。
石井和義を欠いた「K-1」は、イベントプロデューサー:谷川貞治、競技統括プロデューサー:角田信朗の新体制で動き出した。
そしてボブ・サップがK-1デビュー。
アーネスト・ホーストを2度も倒した上、そのキャラクターは大人気となった。
谷川貞治はボブ・サップと総合格闘技でも大活躍していたK-1ファイター、ミルコ・クロコップの対戦を企画。
様々な話題を提供してくれたが、石井和義ほどのインパクトやセンスはなくK-1人気は陰りを帯びた。
2007年6月11日、石井和義は静岡刑務所に収監。
2008年8月7日、模範囚であったため刑期が短縮され出所。
石井和義は、何をも恐れず顧みず、とにかく突っ走り続けた。

「失敗恐れたらあかん!
頑張って失敗してもエエよ!
失敗恐れ何もやらんかった人より100倍偉い!
男やったら、やったれ!」

「すべては自分の成長の肥やしやで!
一番てっぺん目指してかかって行け!
負けて元々、勝ったらラッキー!
生まれて来た時は裸やからね、無くなっても食べていける。
一生懸命やったら、見る人は見てるよ!
負けても必ず応援してくれる」

「仕事にお金はケチるな!使え!
夢を実現するには、お金がいる。
まず全員がぶち当たる大きな壁!
でも心配いらない、なんとかなる!!
諦めなければ、必ずなんとかなる!!!
孫さんの事業だって最初は借金2兆円からスタートしてる。担保無しで借りた、大ボラ吹きである。
携帯電話事業スタートのボーダフォン買収金額2兆円を、LBOレバレッジ バイ アウトと借金で調達してる。
その孫さん相手にホラを吹き、夢を語る世間知らずの私も大ボラ吹きだったが・・・
とにかく、お金なんて有るところから持って来れば良い。
自分で持って来れないなら、得意な人物を活用したらいい」

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