『ガンプラり歩き旅』その65 ~番外編 ゆけ! ゆけ! 勇者! ライディーン!~

『ガンプラり歩き旅』その65 ~番外編 ゆけ! ゆけ! 勇者! ライディーン!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は『ガンダム』の富野由悠季監督のロボットアニメ初監督作品『勇者ライディーン』(1975年)の、バンダイ製の当時のプラモデルや近年のキットを紹介していきます!


先ほど「ゴッドバードに変形するギミックを捨てた」と称したベストメカコレクション版ライディーンだが、むしろ「ゴッドバード変形以外のギミック」に関しては、放映当時版模型も、大ヒットしたポピーの超合金もオミットしたギミックを数々用意している。
まずはパッケージにも描かれているゴッドゴーガン。この弓矢の発射ポーズを再現するために、当時のガンプラではまだまだ取り入れられることは殆どなかった「差し替え手首」が左右一つずつ導入されているのが驚きだ。

右手のゴッドブロックこそ、ゴッドブレイカーとゴッドブーメランの、三択組立固定選択式だが(むしろ、その三つの中から選択できる仕様というのも画期的だった)、ゴッドゴーガンの矢は別パーツで用意されていて、左手の弓の方は可動式で、収納状態と展開状態に自在に開閉できる。

弓部分が開閉ギミック付きの左腕

ポリキャップが使用されていないとはいえ、この精度、ギミック、プレイバリューのライディーンプラモが、この時期ベストメカコレクションで300円で発売されていたこと自体が、バンダイがいかに「ガンプラだけのメーカーではないか」を証明している。
筆者は今回、『勇者ライディーン』のイメージ再現画像において、主役のライディーンは後述するメカニックコレクション版を使ってしまったが、純粋にキットのクオリティとバランスで考えるならば、こちらのベストメカコレクション版を、徹底的に細部塗装して使うべきだったかもしれないと悔やんでいる。

ゴッドゴーガンポーズもびしっと決まる、まさにベストメカなライディーン

このキットは、現代でもたまに再販がかかるので、ライディーンがお好きな人であればぜひに、とお勧めしたい出来である。

ライディーン メカコレクション 2002年6月 1944円

「20年前の感動を、最新技術で!」とばかりに、ベストメカコレクション版のパッケージを忠実に模倣したデザイン。気概は認めるが……

えっとですね……。
いきなりここから口調が変わるのもなんなんですけどもですね。
大河さん、シミルボンとミドルエッジの連載のために、掛け値なくここ一年半で200体のアニメメカロボプラモを作ったっていう、自慢じゃないけど「やっちまった」感があるわけですが……。
そうするとですね。古いものだと70年代のアンティークプラモデルから、新しいものだと最新のバンダイの究極系キットまで、食玩からプレミアキットまで、まぁ隅から隅まで毎日プラモを作り続けてきたわけですよ。
そうなるとね、もちろん中には「こいつは傑作だ!」「これは隠れた名作キットだ!」って惚れ惚れするプラモデルに出くわすこともあるんですが、一方で「これは……。メーカーの気合も頑張りも新境地開拓への意欲も分かるんだけど……。コレは客から金とって売ったらアカンやつや……」としかリアクション出来ない、超地雷系のキットとも出くわしてしまうわけです。

完成した、メカニックコレクションライディーン

そんな「超地雷系キット」。これまでの連載に登場したキットでいうなら、1/144 RGガンダム、これでしょう。組み立てるのがめんどいわ、上手くパーツがはまらないわ、完成したそばからぽろぽろパーツが零れ落ちるわ、写真撮るためにポーズ付けてるとぽろぽろパーツが零れ落ちるわ、本当にね、もう一度アレを組み立てろと言われたら、僕は1万円は要求しますね(せこいがキット代は別途計算で)。
だけどね。

よくあるネットのネタで「ふっふっふ。奴などは我々から見れば、まだまだ雑魚の一人よ」っていうのがあるけど、それじゃないけど、上には上がいてね
どうせこの連載では紹介しないからここで書くけど、バンダイが一時期「気の迷い」でシリーズ化していた、HGABシリーズ。『聖戦士ダンバイン』(1983年)のオーラバトラーをHGでキット化するシリーズね。アレね「はまらない。可動しない。可動させると次の瞬間割れる」ABS樹脂製関節と、今でも謎の「曲げさせない、組ませない、表面処理させない、塗装させない」ラバー素材パーツのおかげでね、どれもこれも糞キットなんですよ。

まだね、シリーズ後半で、慌てて仕様改善したビアレスなんてまだマシな方でね。
シリーズ序盤で出された、おそらくダンバインファンなら待ち焦がれていただろうズワァースなんてね。
「似てない」「立たない」「関節が曲がらない」「立たない」「シールが貼れない」「立たない」「ラバー素材の手なので剣が握れない」「曲げたはずの関節が戻ってくる」「立たない」っていう、一体バンダイ社内で何が起きたのか。新手の内部テロじゃないのかっていうぐらい、哀しい出来になっちゃったわけですよ。

ライディーンのサイドビューとバックビュー。パーツ色分けとシール補完で、ほぼ塗装は不要な仕様

例えば、ABS樹脂製部品のデメリットっていうのは、筆者はこれまでもガンプラのHGUC解説なんかで何度も訴えてきたんだけれども、一時期バンダイ内部には、カルト宗教なみの「ABS至上主義教徒」が実権を握っていた時期があるんじゃないかって疑いもあるぐらいで、その「ABS樹脂のダメなところを凝縮して出来た骨格フレーム」に「過去、パトレイバーシリーズとかHGABとかで、徹底的に不評しか買ってこなかったはずのラバー素材パーツ」を被せて、つまりHGABのダメなところだけ特攻野郎Aチーム化させて、スーパーロボットシリーズの決定版模型を作ろうとして、致命的地雷版模型が仕上がったのが、今回紹介するメカニックコレクションのライディーン(シリーズの他のは知らん)なのである。

ポーズつけてる瞬間「だけ」を見ているとカッコいいように見えるが、騙されてはいけない

このキット。
先ほども書いたが、志だけは高い。
バンダイのガンプラの下地を作り上げたベストメカコレクションを、現代の最新の技術とマテリアルで、20年の歳月を経た最新版で市場に送り出そうという気概も買おう(まぁ半分以上は、スパロボで70年代のロボットを知ったユーザー向けだったのだろうが)。
その気概を丸々現したかのように、このキットのパッケージは、20年前のベストメカコレクション版ライディーンのパッケージを、忠実にリメイクしている(アニメ研究家の氷川竜介氏等も、パッケージへの参考意見を述べたらしい)。
ところが、そこで用いる「最新の技術とマテリアル」が、こともあろうにABS樹脂フレームとラバー素材という、最悪の地雷新技術到来の地獄絵図商品爆誕への一本道だったのである。

上半身。油断していると、すぐにフェイスガードパーツが狭まってきて、ゴッドバードに変形しようとしてくるので気が気で無い

とりあえず、罵詈雑言だけ並べたてても仕方がないので、具体的な批判に入りたいと思う。
まずこのキット。内部フレームがABS樹脂製で、ネジ止めで組み立てていくのだが、ネジ系がネジ穴にあってない上に、上半身の腕保持フレームなんて、2か所同時にネジ止めしないと、片方のネジがポロリとこぼれる、の連続で、ストレスが溜まること半端じゃない。
しかも、その上半身腕保持フレームが、どんなにギッチギチにネジをしめようとも、肝心の肩のボールジョイント関節がユルユルで、結果保持力がゼロに等しい。

開脚角度はまぁこんなものか(これだったら腰パーツがプラのままでも問題なかったんじゃ……)

脚の前後可動。膝はまぁ、ゴッドバードに変形するし……

下半身の方は、パンツというかブルマみたいなの(色も紺だし)がラバー素材なのだが、それで脚の可動範囲が向上したかといえば、開脚、前後ともに大したサプライズはないわけで……。逆に言えばラバーってゴムのことだから、脚を前に踏み出して、ラバーパンツのおかげで大きく足を動かせたとしても、ゴムの弾力で放っておくと足が元の位置に戻されてしまうとかが普通に起きてしまうレベル。これなら別に、腰パーツプラのままでもいいじゃんとしか言えない。

今回のライディーンの腰の回転可動。精一杯でここまで……だと?

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