離合集散を繰り返したハードロックの雄ディープパープル、真のオーナーはロードか、あるいはブラックモアか?

離合集散を繰り返したハードロックの雄ディープパープル、真のオーナーはロードか、あるいはブラックモアか?

ロッカーはとかく個性が強いもの。離合集散を繰り返し、集まり散じてはまた舞い戻り、ほぼ半世紀の間に、9期も歴史を積み重ねてきたロックバンドは、そう多くはない。 中心軸には、常にキーボードのジョン・ロードが座っていた。しかしそのロードは亡くなってしまった。新しいメンバーで2016年にも来日公演を果している。その中には古希を迎えたギランやグローバーの姿も..。


何と9回にわたるグループの改変

第1期 デビュー

若き頃のディープ・パープル 

諸説があるが1968年がディープ・パープルを名乗る創立年で第一期とされる。メンバーは、キーボードのジョン・ロード、リード・ギターのリッチ―・ブラックモア、ドラムスのイアン・ペイスの不動のトリオに加え、ベースのニック・シルバー、ボーカルのロッド・エバンスの5人。当初のサウンドは、ジョン・ロードやリッチ―・ブラックモアの影響も強く、クラシックを土台にし、ジャズの要素も含んだサイケデリックなロックを追及した。
1968年5月のデビュー曲は、ハッシュ(邦題は紫の世界)で、シングルカットしたハッシュは、いきなり全英4位をランクされる。
しかし続く2作目の「『詩人タリエシンの世界」、続く3作目「素晴らしきアート・ロックの世界」(いずれも邦題)がリリースされる中、バンド内の路線対立が激しくなる。
一方でこのころ、これまで契約したレコード会社である米テトラグラマトン・レコードが倒産。これによってディープ・パープルはアメリカでのレコードの発売元を失ったが、幸いなことに1969年暮れにワーナー・ブラザーズ・レコードと契約を結ぶことが出きた。
当時のディープ・パープルのサウンドは、ジャズとクラシックを基調にした長い即興演奏、いわば、プログレッシブ・ロックに近い音楽性を醸し出した。

第二期 ディープ・パープルの黄金期

ブラックモアのハードロック路線への転換

ハードロックのヒット作=イン・ロック

ヒットを不動のものに

1969年に始まる第二期が、これまで試行錯誤してきたディープ・パープルのサウンドが、本格的なハードロックに定まったといえるだろう。メンバーは、ジョン・ロード、リッチー・ブラックモア、イアン・ペイスの不動の3人に、ロジャー・グローヴァー(ベース)とイアン・ギラン(ボーカル)を加えた5人構成のバンドとなる。
ただ、ロードの音楽世界観である、「クラシックとの協調路線」を追求した結果、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとの協調アルバムがリリースされたが、これは人気投票で9位が精一杯。
そこでかねてよりブラックモアがハードロック路線を提唱する。次のアルバムは試しに、当時飛ぶ鳥落とす勢いのあったレッド・ツェッペリンに対抗する「ハードロック路線」のアルバムを、というブラックモアの意見が大勢を占めたが、それでもクラッシク強調路線にロードがこだわったが、当面1枚をはロック路線で、というところで話は落ち着き、アルバム「ディープ・パープル・イン・ロック」をリリース。シングルカットも「ブラックナイト」をだしたところ、全英チャート4位、シングルで2位を獲得するに至った。

ファイヤー・ボール

ハードロック2作目=ファイア・ボールから絶頂のマシンヘッドへ

このランキングに、バンドの創始者ともいえるロードといえどもバンドの方針に逆らえなくなり、しばらくはハードロック路線に邁進、リッチー・ブラックモア中心の作・編曲となる。
そこで大ヒットしたアルバムが「ファイヤーボール」で、これは全英一位に上りつめる。
ファイヤーボールは、詰まったスケジュールと条件的に厳しい環境で録音をしたおかげで、ブラックモアは相当不満だった。そこで次回作は欧州はスイスの湖畔で録音することとなりディープパープル最大の話題作=「マシン・ヘッド」が誕生させることとなる。
このアルバムは、後述するが、変わったエピソードのおかげで、1969年のクリスマス直前に、宿泊ホテルの一角で録音することを余儀なくされる。しかしこの不思議な録音条件が微妙な緊張感を生み、このアルバムから続々シングル・ヒットも誕生し、アルバムも1970年初に米欧日と発売され大ヒットにつながる。

最大の話題作にしてヒット作のマシンヘッド

これは歌詞を読めば有名なエピソードの全貌が分かる。デイープ・パープルより先にスイスに来ていたフランク・ザッパのグループが湖畔のカジノでコンサートを開いていたが、その最中に観客の誰かが照明弾を天井を打ち抜き、大火事になった。
空には炎、湖の水面には煙、という非常にシュールな現象を対岸で観ていたグループが、あたかも実況中継のように歌詞を書き作曲、そしてギターキッズなら誰でも弾いたことのあるブラックモアのあのリフ。
そこで生まれたのが「スモーク・アンド・ザ・ウォーター」。
状況が分かるので、歌詞の和訳を観てみましょう。

Smoke On The Water: スモーク・オン・ザ・ウォーターの歌詞

俺たち全員、モントルーにやってきた ジュネーブ湖畔さ
移動スタジオでレコードを録音するんだが 俺たちにはほとんど時間はなかった
というのも、フランク・ザッパとザ・マザーズ連中が 一番良い場所をとってコンサートしていたのさ
どこかのバカが照明弾をぶっぱなしたのさ ホテルは燃えちまった 水面には煙、空には炎

カジノホテルは全部燃えちまった そりゃぁすげぇ音で崩れたさ
ファンキー・クロードが駆けまわって 子供を表に連れ出した それで全部おジャンさ
俺たちは別の場所を探さなきゃならなかったよ だがスイスでの時間はもうなくなったのさ
俺たちはレースで負けたような気分さ  水面には煙、空には炎

俺たちの終点はグランド・ホテルだった そこは冷たく、むき出しで空っぽだった
だがローリング・ストーンズの機材車がすぐ外で待ってる状態だ そこで俺たちゃロックを作り出したのさ
いくつかの赤色光 といくつかの古いベッドで

俺たちが汗水流す場所が出来たってわけさ 俺たちがこれから何を得ようがこれだけは云える、あのことは決して忘れない 水面には煙、空には炎

ライブ・イン・ジャパン

日本のコンサート会場も超満員

1972年には、大阪フェスティバルホールと武道館でのライブ盤が当初日本限定でリリースされこれも大ヒット。全米チャートでプラチナディスクを獲得する。
筆者も実は、ディープ・パープルの県立公会堂でのライブを聴きに行って、興奮した同級生がステージに上がり、場外へ強制連行されるほど盛り上がりはすごかった。

紫の肖像

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