【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

シーソー投法と呼ばれたダイナミックな投球フォーム。広島ファンならずとも、真似しようとしたプロ野球ファンは多かったのではないでしょうか。ストレート真っ向勝負が多かったことから、奪三振も被本塁打も多かった投手で、広島の躍進に大いに貢献したエースです。そんな池谷公二郎投手の記録を振り返ります。


初優勝に貢献した先発3本柱!

池谷公二郎は、1952年生まれの静岡県静岡市出身。静岡商から社会人野球を経験し、1972年にドラフト1位指名広島東洋カープに入団します。(実際の入団は1973年オフ)



1974年、プロ1年目から即戦力として起用されると、翌1975年には、先発3本柱(外木場、佐伯、池谷)の一人として活躍するようになります。130試合中、3人が先発したのはなんと112試合。外木場40試合、佐伯36試合、池谷36試合で、中2〜3日が当たり前の過酷なローテーションでした。しかも、3人で挙げた勝ち星が53勝!3人とも15勝以上で勝ち越し、チームの初優勝に大いに貢献しました。



先発3本柱の成績は次の通りです。



外木場 20勝13敗 防御率2.95

佐伯 15勝10敗 防御率2.90

池谷 18勝11敗 防御率3.32




ただ、池谷は、18勝も挙げて優勝に貢献しながら、タイトル、各賞いずれも獲得できませんでした。一方、外木場は、最多勝利のタイトル獲得に加え、沢村賞、最優秀投手、ベストナインで表彰。僅差で逃した池谷は悔しい思いをしましたが、実はこの頃、沢村賞が何かも知らなかった、と高橋慶彦のYouTubeチャンネルで告白しています。

沢村賞、最多勝利を獲得!

前年の悔しい思いから、奮起したのが1976年外木場に次ぐ2番手エースとしてローテーションの一角を担います。しかし、その気持ちとは裏腹に開幕から打線に捕まり、4月7日ヤクルト戦、4月11日巨人戦、4月17日巨人戦と3連敗。4月25日ヤクルト戦は4回KOで負けはつかなかったものの、4戦終わっての成績は0勝3敗、防御率8.36と惨憺たる結果に。ようやく初勝利を挙げたのは、4月28日中日戦の完封勝利でした。



そこから調子を上げ、6月は6連勝。特に6月後半は中2〜3日で先発・リリーフで登板し、全試合で勝利を収めました。7月に入っても勝ち続け、オールスター前、前半戦を終わっての池谷の成績は、なんと12勝4敗1セーブ 防御率2.54。のちに最多勝争いの相手となる、巨人の小林繁は11勝4敗 防御率3.18と僅差でした。この時点では無論、池谷が沢村賞の最有力候補です。

後半戦も好調で、8月8日巨人戦を終わっての成績は、16勝5敗1セーブ 防御率2.53。ところが、このあとから全く勝てなくなります。リリーフに回り、セーブは2度記録したものの、8月14日中日戦から9月19日阪神戦までなんと8連敗。一気に16勝13敗3セーブまで成績を落とします。



古葉監督の起用も過酷で、たとえば、9月5日阪神戦のリリーフ登板後、中1日で9月7日中日戦に先発登板し、3失点完投負け。また、先発登板が決まっていた9月27日大洋戦の前日に、急遽リリーフ登板し敗戦投手に。しかし、翌日の先発登板で1失点完投勝利を収めています。



最終的に広島はリーグ3位。池谷の最終成績、タイトル獲得・表彰は次の通りです。



勝敗:20勝15敗3セーブ(リーグ最多勝利)

先発登板数:36試合(リーグ最多)

完投:18試合(リーグ最多)

完封:3試合(リーグ最多)

投球回数:290 1/3回(リーグ最多)

被安打:271安打(リーグ最多)

奪三振:207三振(リーグ最多)




最多勝利

沢村賞

ベストナイン

最優秀投手




この年も36試合に先発登板し、被安打も奪三振もリーグ最多。そして、念願の沢村賞を受賞しました。正に、前年に外木場が獲得したタイトル・賞を、1976年は池谷がすべて獲得したわけです。

被本塁打のシーズン歴代最多記録を達成!

1977年、チームは大洋と最下位争いをするほどに低迷し、池谷は二桁勝利を記録するも、11勝16敗5セーブと大きく負け越します。176奪三振はリーグ最多でしたが、48被本塁打、131自責点もリーグ最多。特に、48被本塁打は日本のプロ野球シーズン歴代最多記録で、2023年9月時点でまだ破られていません。



高橋慶彦のYouTubeチャンネルでも話しているように、池谷は、2ストライクまで追い込むと、さらにストレートで勝負したい性分だったようで、実際に高めのストレート勝負が多く、その結果として、三振もホームランも多くなったようです。また、狭い広島市民球場がホームグラウンドだったことも、被本塁打数の記録を作った遠因でしょう。



しかし、プロ野球ファンにとっては、打者との真っ向勝負を存分に楽しませてくれる数少ない投手でした。

2年連続日本一にも貢献

1978年は成績を戻し、13勝7敗。チームもAクラスに返り咲きます。そして、1979年〜1980年広島の黄金期で、2年連続で日本一を達成しました。



池谷も先発ローテーションの一角として活躍し、1979年は12勝8敗1980年は9勝6敗ながら防御率は3.30。チームのV2に大いに貢献しました。日本シリーズでは、1979年の第3戦で1勝を挙げています。



翌1981年も二桁勝利を挙げますが、以後は肩の負傷などから調子を落とし、1985年、古葉監督の勇退とともに自らも引退しています。



池谷の通算成績は、実働12年で、103勝84敗10セーブ 防御率4.13でした。

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