ミッツ・マングローブ  修平くんだった時代  徳光家の呪い  宿命の慶應義塾 覚醒と解放

ミッツ・マングローブ 修平くんだった時代 徳光家の呪い 宿命の慶應義塾 覚醒と解放

高身長、高学歴、アサーティブネス、オネエ、「これでハーフだったら完璧だったのにね」という超レアハイブリッド。「男は男らしく、女は女らしく」から「自分らしく」に変わっていった時代の先駆け。その幼少期から学生時代にズームイン!



「1人ごっこ遊び」も「死ぬほどやった」という。
ベーシックな「中森明菜ごっこ」や「竹内まりあごっこ」
そしてピアノ先生のマンションにいったときに行う「エレベーターガールごっこ」など数分のストーリー。
はたまた自転車を使って何時間もかけてやる「電車モノ」まであった。
電車モノは、近所の道や家々を鉄道や駅に見立て、路線図や時刻表を作成。
「あの家は門構えが立派だから急行停車駅」
「あそこの空き地はターミナル駅」
などと決め
「臨時特急、ここから先は〇〇線に入ります。
お乗り間違えのないよう、今1度ご確認ください」
と車内や駅アナウンスを入れながら自転車をこいだ。
また自分の中に生き続けている架空の人物たちを何年、何十年と育んでいく「人生ごっこ」というのもあった。
例えば、日本人として初めてウインブルドン決勝に進むもナブラチロワに惨敗した女子プロテニスプレーヤーは、その後、世界トップ4に登り詰め、93年に全豪と全仏、96年に念願のウインブルドンを制するという大快挙を成し遂げた。
その他、英国王室に嫁いだ国際線CAや女子フィギュアスケーターの人生もごっこした。

こうしたごっこ遊びは、現実に集約されていった。
ミッツ・マングローブいわく
「人生はごっこ遊び」
であり、
「女装も根本的にごっこ遊びと同じ」
だといい、実際、女装家が集まると、自然とごっこ遊びが始まってしまうという。
「そんなことばかりして生きてきた人たちの集まりだから、説明なしですんなりその世界に入れるの。
各々がひっそりと温めてきたカードを出し合っているようなもので、みんな次から次に出てくる。
マツコさんの中にいたフィギュアスケーターは、自分で構成したプログラムまで残ってるそうだからね。
1度は現役を引退したものの、トリノオリンピックを見据えて復帰を考えたらしく、ある晩、電話がかかってきた。
『実は内緒にしてたんだけど、私、トリノ目指そうかと思って』って。
みんなしてそんなことばっかりいってるの。
だけどマツコさんいわく私のごっこ遊びは設定が厚かましいらしい」

小4のとき、「キャプテン翼」によって空前のサッカーブームが、
「吹き荒れてしまい」
休み時間もサッカー一択、体育の授業で教師が
「今日はサッカーです」
というとお祭り騒ぎとなった。
それまで野球を含め、バスケットボール、水泳、すべてのスポーツに対し
「できないことはないが、あえてやらない」
というスタンスをとっていたが、サッカーは、その独特のノリと運動量に、まったくついていけず、初の「やらない」のではなく、「やれない」「できない」スポーツとなった。
サッカーは、
「普通男子としての最初の挫折」
「普通の男子になれないという最初の象徴」
と人生の大きな敗北ポイントとなったが、大人になると意外な変化が起こった。
「私ね、サッカーやってたという男は、それだけで無条件に好きになっちゃう節がある。
男をみるときって性や恋愛の対象として意識するのと同時に、同性同士として張り合おうとする気持ちが、いまもまだしっかりとあるんだよね。
負けてたまるか的な。
だからサッカーをやっていた男というのはハナから張り合う気持ちを持たずにすむし、自分ができなかったことを成し得た人としておのずと基礎点が高いの」

同じく小4のとき、ショパンコンクール(5年おきにショパンの命日の前後に開催される国際音楽コンクール)で、ソ連の19歳、スタニスラフ・ブーニンが優勝すると、母親と共に熱狂し、1日中、家でショパンをかけ、来日コンサートにもいった。
「だからフィギュアスケートで麻央ちゃんや羽生くんがショパンの練習曲で滑っていると、思わず懐かしくなって古い楽譜を引っ張り出してきては家で弾いているの」
音楽は「狂ったように」聴いていたが、映画はほとんど無関心。
しかし日曜洋画劇場で、モーツァルトの人生を描いた映画「アマデウス」が放送されるとビデオが擦り切れるくらい繰り返して観た。
「音楽家としてモーツァルトはもちろんだけど、核になっているのは父と息子の話なんだよね。
私、あの手の父-息子モノにめっぽう弱いの。
「北の国」しかり。
父親と肩を並べるとか、父の家業を継ぐ的な話はピンとこないけど、伝えきれない関係の中で葛藤や残像を抱えながらお互い騙し騙し生きていくみたいな父親との距離感が、ゲイにとっては1番堪えるし、ありがたい気がするの。
父親と息子ってある程度の年齢になると酒を酌み交わしたりするじゃない?
そういうの多分死ぬまでないと思うから。
オカマって罪作りな生き物だなとつくづく思う」

学校では、男子だけでなく女子ともよく交流し、特に女子の中でも1番華やかな「Aグループ女子」とチェッカーズやおニャン子クラブの話で盛り上がった。
そんな男女の壁を超越した存在だったため、クラスの誰が誰を好きなのか、ほぼ把握。
男子に女子の情報を与えたり、バレンタインのとき女子に頼まれて
「チョコなんていらねえよ」
とテレる男子を力づくで引っ張ってきたりした。
そうやって最初は、さりげなくお膳立てする程度だったが、やがてドンドン仕切り出し、
「告白するときは私を通してするように」
とお達しを出すに至り
「お見合いババア」
といわれた。

高学年になると男女の性差が顕著になり、性への意識も高まっていっていった。
「そうなると中途半端な私に『なんかおかしいぞ?』という目が向けれるようになってくるんだよね
女子とも普通に仲良くしていられること自体が普通の男子ではないってことになるから」
誰かが
「徳光が変だ」
的なことをいったり、ときには
「おい、オカマ」
などといったりするとクラスに
(いっていいのか)
(ついに解禁か)
というようなムードが漂った。
そんなとき、
「オカマネタでからかわれるなどプライドが許さない」
「オカマで人生がつまずくことなどあり得ない、あってはならない」
というミッツ・マングローブは、
「そいつら」
を威圧して事態を収束させた。

小5になると中学受験の準備が始まった。
徳光家に
「受験をする?しない?」
「受験したい、したくない」
という発想はなく
「大きくなったら、お父さんやお爺ちゃんのように慶応(慶応義塾)にいく」
が決定事項で、ミッツ・マングローブも
「いかないとこの家の子じゃないんだろうな」
と思い込んでいた。
福沢諭吉によって創設され、「独立自尊」という教育理念を掲げる慶應義塾に入るチャンスは、中学、高校、大学と3回あったが、
「中学で入っちゃえば、そのまま大学までいけるから楽になれるな」
と思っていた。
その中等部に入るためには

1次試験 ・・・5科目の筆記テスト
2次試験 ・・・体育実技テスト、保護者同伴の面接

に合格しなければならない。
その偏差値は、なんと70。
この超難関を突破するため、ミッツ・マングローブは、Nバッグを持って日能研に通い始めた。
そこはわかりやすい競争社会で、性別など関係なく志す方向が同じだったので、居心地がよく楽しかった。

日能研は、毎週日曜に行われる塾内テストと年数回の全国公開模試の結果でクラスが決められる。
ミッツ・マングローブが通っていたところでは、普通クラス4クラス、上位クラスが2クラス、さらにその上に選抜クラス2クラスがあった。
この選抜クラスは、「栄冠1組」「栄冠2組」と呼ばれ、ミッツ・マングローブは、最初から栄冠1組、通称「栄1」に入れた。
そして超ハイレベルの競争を強いられた。
毎週の塾内テストといっても、それは全国共通テスト。
4教科合わせて500点満点で、400点を超えれば全国で100位以内、教室で10位以内に入ることができる。
だから
「まずは400点」
を目標にして勉強し、日曜日になると母親に
「頑張って400点とってらっしゃい」
といって送り出され、テストに挑んだ。
「だけどあんなに賢かった修平くんでも400点超えは難しく、母親の機嫌が悪くなるのが、いつも憂鬱だった。
でもクラス全体が、そんなプレッシャーをいっしょに抱えながら顔を合わせているわけでしょ。
そりゃ仲良くなるよね」

夏休みは「夏期講習」があって、30日間かけてミッチリ勉強。
「講習終盤になると成績が上がらない組と、ドンドン上がる組に分かれて、私は前者。
上位10人に入るよう子たちのようなポテンシャルもなければ、そこまで自分を追い込む根性がないことも薄々わかっていたんだよね」
そこで最後のテストのとき、成績が上がらない組をまとめてクーデーターを画策。
残り10分くらいになったところで先頭を切って
「終わった」
と大きな声でいった。
その後、成績が上がらない組が次々とテスト終えていき、教室のあちこちで解放感に浸った。
そうすることで学級を崩壊させることを狙ったのである。
中にはまだ問題を解いている人の答案を堂々とのぞいたりして、教室の弛緩を誘った。
残り5分くらいになって、テスト監督をしていたアルバイト大学生から報告を受けた先生が入ってきた。
ミッツ・マングローブは、思い切り頭を殴られた上、そして退室させられ
「お前らの答案は一切採点しない」
といわれた。


「頑張ったのになあ」
虚しさと恥ずかしさでガックリしながら電車に乗った。
家に着き扉を開けると、
「お帰り!
ひと夏よく頑張ったね。
お疲れ様」
母親に笑顔で労われると堰を切ったように涙があふれてきた。
「何よ、何よ。
どうしたの?」
ビックリする母親に嗚咽しながらすべて話した。
するとあんなに優しかった母親は、一瞬で鬼の表情に変わり
「もう知らない。
やめちゃいなさい。
2度と顔もみたくない」
といい捨て、どこかへ行ってしまった。

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