長谷川和彦という監督を知っていますか?!

長谷川和彦という監督を知っていますか?!

僅か2本の監督作のみで伝説的映画監督と化している長谷川和彦。それは何故か?言うまでもなく70年代に制作されたこの2作品があまりにも素晴らしいからにほかなりません。未だ熱烈な支持者を持っているのもそのためです。


公開当初から評価の高かったで「青春の殺人者」ではありますが、一般的には徐々に評価されていったように思います。それはひとつに配給がATGだからですね。良質な作品を生み出しているATGとはいえ、やはり規模が小さい。仕方のないこととはいえ、なかなか浸透しないです。
その点、監督2作目となる「太陽を盗んだ男」は豪華です。なんせ東宝ですからね、沢田研二と菅原文太のダブル主演ときたもんだ。
上映館も全国157館。さすが東宝です。
そしてさすが東宝なのが製作費。実に3億7000万円。「青春の殺人者」とは雲泥の差ですね。最終的には3億9千万円だったそうですが、それでもスタート時から1億7000万円足りないと言われていたそうですよ。

監督:長谷川和彦
脚本:長谷川和彦、レナード・シュレイダー
原作:レナード・シュレイダー
製作:山本又一朗
製作総指揮:伊地智啓
出演者:沢田研二、菅原文太
音楽	作曲:井上堯之、編曲:星勝
撮影:鈴木達夫
編集:鈴木晄
製作会社:キティ・フィルム
配給:東宝
公開:1979年10月6日
上映時間:147分

太陽を盗んだ男

1979年度キネマ旬報 日本映画ベスト・テン第2位。同読者選出日本映画では第1位。
1979年度毎日映画コンクール監督賞。
1979年度報知映画賞 作品賞、主演男優賞(沢田研二)。
映画芸術誌ベストテン第3位。
第1回ヨコハマ映画祭 作品賞、監督賞。
第3回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞(菅原文太)とまぁ、様々な賞を獲得し、「青春の殺人者」同様高い評価を獲得しました。

が、鳴り物入りで封切られたものの、なんと制作会社は再起不能なのではないかと言われるほどに興行的には成功しませんでした。
それでも公開後口づてに評判が広まり、今日では更に評価を高めている作品です。
近年でも2009年度キネマ旬報 オールタイムベスト映画遺産200(日本映画篇)で第7位。しかも2018年のキネマ旬報<1970年代日本映画ベスト・テン>では堂々の第1位に輝いています。
更には2020年、英国映画協会選出による1925~2019年の優れた日本映画95本にも選ばれました。

立て続けに優れた作品を作り上げたにも関わらず「太陽を盗んだ男」以降、長谷川和彦は映画をまったく撮っていません。理由は諸説あるようですが残念としか言いようがありませんね。
その代わりと言ってはなんですが、映画製作や後進の育成など裏方として映画業界を支えてくれています。
映画関係者のみならず、多くの文化人などからリスペクトされている長谷川和彦。なんとかまた映画を撮ってもらいたい!というのは、ファンの高望みなんでしょうかねぇ。

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