1993年 ヴィジュアル系黄金時代のヴィジュアルベストアルバム!(後編)

1993年 ヴィジュアル系黄金時代のヴィジュアルベストアルバム!(後編)

ヴィジュアル系黄金時代である1993年。 様々なスタイルを模索し、ひしめき合うこの怒涛の年のヴィジュアルシーンは宝の宝庫! X JAPANを筆頭にBUCK-TICKやLUNA SEAも大活躍! インディーズシーンも盛り上がりを見せ、黒夢やL'Arc-en-Cielと言った次世代を担うバンドもシーンを盛り上げていました。 そんな1993年にリリースされた作品の中から珠玉のベストアルバムの後半をご紹介していきます!


Gilles de Rais / Gilles de Rais

"妖美・華麗なゴシックサウンド"と標榜する1st「DAMNED PICTURES」。
1stでのGilles de Raisは、ZOA/ASYLUMなどのトランス系を彷彿とさせるスタイルを魅せてくれました。
その後、エクスタシーレコードに移籍しリリースした伝説の名盤「殺意」。
こちらでは、黒服系王道サウンドを踏襲しながらも、ヴォーカリストJOEのパンクスタイルと、
ギタリストJACKのHR/HMギタリスト然としたスタイルが化学反応したことにより、
Gilles de Rais独自のサウンドを確立しました。
殺意マスク・殺意腕章・血糊包帯、80年代アンダーグラウンドシーンのパンクバンドのような危険な空気。
黒服系王道スタイルが加わったヴィジュアルは、「殺意」サウンドをさらに強烈なインパクトを産み出しました。
そして「殺意」は爆発的なセールスを記録し、勢いに乗ったGilles de Raisは集大成といえる
アルバム「BECAUSE」をはさみメジャー進出しました。
本作はそのGilles de Raisが1993年6月18日にリリースしたメジャーデビューアルバムとなります。
LAでレコーディングされ、あのジョー・バレシを迎えて製作されています。
そういった事が要因となのか、「殺意」でみせた危うい香りは薄まり、LAらしい乾いた感触となっています。
基本的には「殺意」で確立したスタイルの延長線上にあります。
しかし、DEAD ENDを彷彿とさせるアプローチや、LUNA SEAのPRECIOUS/WISH/STAY的な位置付けのナンバーも収録。
また、ヴィジュアルも耽美的でエレガントなイメージを打ち出しており、ブレイクを意識が伺える。
しかし、これは外部からの提案で本人達は不本意だったとの事。
「殺意」時代の彼らを求めるファンは少なくないが、このアルバムは上述した「殺意」との対比などどうでもよくなるくらい名曲揃いの名盤です。
スターリンやウィラードをフェイバリットに挙げるJOEのパンキッシュなヴォーカル。
テクニカルに弾き倒すJACKのギター。
ソリッドかつ安定感のあるリズム隊。
音楽性を変化させようともGilles de Raisのサウンドは問答無用でかっこいい!
隠れた名盤であり、これが"イマジネーションパンク"と言わしめる1枚です。

黒夢 / 亡骸を...

DEAD END/ASYLUM/ZOA/G-Schmitt/Sadie Sads/ガスタンクなどをフェイバリットに挙げる清春と人時。
44MAGNUM/D'ERLANGERなどをフェイバリットに挙げる臣。
相反するかのように見える互いの要素は化学反応を起こし、他に類を見ないダークかつハードなサウンド。
そして、グロテスクな世界観を特徴とする黒夢独自のスタイルを生み出しました。
当時の主流に迎合する事を嫌ったこの「よりダークでよりコア」な彼らのスタイル。
これはヴィジュアル系シーンに絶大なインパクトを与え、"名古屋系"と"コテ系"という2大派生ジャンルへと発展していきました。

王道を塗り替え、瞬く間にスターダムにのぼりつめた黒夢。
そんな彼らが「中絶」「生きていた中絶児」のヒット。
オムニバス「EMERGENCY EXPRESS '93」への参加に続き、満を持してリリースしたフルアルバムが本作。
伝説の首吊りパフォーマンスや、過激な作品タイトル。
80年代インディーズシーンの系譜を受け継ぐ危うい雰囲気を纏っていた黒夢。
しかし、本作「亡骸を...」ではそういった当時のパブリックイメージから一歩踏み出し、
新たな境地を見せ始めたのです。
本作では初期のハードな側面はやや影を潜め、清春が持つ天性の声質とメロディーセンスを活かした楽曲。
これが半数を占めています。
またグロテスクな世界観も洗練され、「迷える百合達」で完成させるオリエンタルかつ
デカダンな黒夢へ変貌していく過程を存分に堪能する事ができる名盤となっています!

L'Arc-en-Ciel / DUNE

純白の衣装を纏ったhydeの汚れなき少女を思わせるルックス。
後の音楽性を予感させるようなフォークロアチックなスタイル。
そんなヴィジュアルイメージは「DUNE」が描く世界観を助長し、
黒服を纏いダークな世界観を打ち出すバンドが主流であったシーンで
L'Arc-en-Cielの存在を確固たるものにしました。

サウンド面においても、DEAD ENDをはじめとした先人達の影響は随所に感じられるものの、
ただの模倣では終わってはいないんです。
ルーツであるUKロックのテイストや、トランス系バンドに通ずるような民族音楽、
プログレ的なアプローチを盛り込んだサウンドに、風景を切り取ったような異国情緒を漂わせる詩世界
歌謡曲的なメロディーにのせ情念たっぷりに歌い上げるナルシスティックなヴォーカル。
これらが合わさり、独自の幻想世界を作り出しています!

メンバー各々のスキルも高く、マニアックになりがちなサウンドをキャッチーに仕上げる
センスは流石としか言いようがありませんよね!
さらにデンジャークルーのプロデュース力も相まって、当時のインディーズシーンでは
類を見ない完成度の高さを見せつけていました。

この初期L'Arc-en-Cielが掲げた"PSYCHOSONIC SHAKE"といわれるヴィジュアルイメージとサウンドスタイル。
これは、後続のヴィジュアル系バンドに大きな影響を与え"白系"という様式美を生み出していきました。
誤解を恐れずに言うなら、「DUNE」はヴィジュアル系史における紛うことなき名盤で間違いありません!

Amphibian / Doppelganger

Amphibianが1993年5月にリリースした、唯一の単独作です。
エクスタシーレコードと双璧をなした、DYNAMITE TOMMY率いるフリーウィルから
リリースされました。
関西ジャパメタの系譜として語られる事が多いのですが、レーベルメイトのBELLZLLEBや
妖花と比べるとメタル指数はそこまで高くありません。
とはいえ、古き良きジャパメタ臭さも感じ取る事ができる作品となっています。
また、ガスタンクやD'ERLANGERをフェイバリットにあげているように、
SHELLAのヴォーカルはどこかBAKIに通ずるものがあり、演歌メタルと評された日本人好みの
メロディーは、これぞヴィジュアル系といったスタイルを産み出しています。
CIPHERチックでサディスティカルパンクをおもわせるフレーズが散りばめられた、
KAZUKI/Ko-ichiのギターはシャープで表情豊か。
縦横無尽に動き回るKATSUMIのベースとYAYOIのドラムもすばらしいんです!
わかりやすく言えば、D'ERLANGER+ガスタンク+ジャパメタといったところ。
当時の空気感を閉じ込めたジャケットアートもたまりませんよね!
この作品以外では、デモテープとオムニバスしか音源を残していないのが残念で仕方ありません。
今もなおオールドスクールマニアに愛され続ける秀作と言える1枚です!

SPEED-iD / INNER DIMENSION

1993年9月21にSPEED-iDがリリースした、ファーストアルバムです。
DYNAMITE TOMMY率いるフリーウィルからのリリースとなっています。
SPEED-iDは、現在もマニアからカルト的な支持を集めるバンド!
当時のラインナップは、中心人物であるex.THE OTHERSIDEの優朗とJ.P.HAL
ex.HISTERIAのIPPEI、ex.The HAREM Q/DIE-KUSSEのMACとなっています。
そのサウンドは、前身バンドTHE OTHERSIDEでみせたトランス系バンドを
彷彿とさせるスタイルを引き継ぎながらも、ドアーズなどのクラシックロックから、
ゴス、サイケ、シューゲイザー、インダストリアル、クラブミュージックを包括した、
究極のサイケデリックロックを確立しています。
圧倒的なロックIQの高さとセンスが織りなす彼らの存在感は、当時シーンにはびこっていた
有象無象のBUCK-TICK/D'ERLANGERフォロワーとは全く異質のものでした。
中世ヨーロッパをモチーフにした、退廃的/耽美的な世界観を表現するバンドが溢れる中、
SPEED-iDは今現在おこっている退廃<殺人><セックス><ドラッグ>を表現しており、
20世紀末のリアリティーをもったロックを提示しています。
ヴォーカリスト優朗の哲学的/文学的な詩世界、イアン・アストバリー/アンドリュー・エルドリッチ
/ウィラードのジュンあたりを彷彿とさせる佇まい、カリスマティックなオーラも魅力的です!
同時発売した映像作品「INNER DIMENSION =MOVIES= 」も素晴らしい作品なので、
あわせてチェックしてほしいです!
後にリリースされたリマスター版には、ボーナストラックとして「OCEAN」が収録。
COALTAR OF THE DEEPERS及び周辺バンドのファン、洋楽ファンにも聞いてほしい名作です。
90年代末頃からはストレートなオールドスクールゴスへ回帰し、現在はゴスシーンの
重鎮バンドとして君臨しています!

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