実録 スクール☆ウォーズ  この物語はある高校の荒廃に闘いを挑んだひとりの教師の記録である

実録 スクール☆ウォーズ この物語はある高校の荒廃に闘いを挑んだひとりの教師の記録である

この物語は、ある高校の荒廃に闘いを挑んだひとりの教師の記録である。高校ラグビー界において全く無名の弱体チームが、荒廃の中から健全な精神を培い、わずか7年で全国優勝を成し遂げた奇跡を通じて、その原動力となった信頼と愛を余す所なくドラマ化した物語である。


全国大会直前、4人の部員が路上で暴れ、交通標識を壊すなどして、近隣住民の通報で警察に補導された。
ようやくつかんだ初花園の舞台。
警察沙汰になったことが学校や大会主催者に知れ渡れば出場辞退になりかねない。
山口良治は、間違った判断とわかっていたが、あえて学校には報告しなかった。
警察署から引き取った後、部員を家に届けた。
そして親の目の前で何度も子供を殴った。
「軽はずみな行動が、どれほどチームに迷惑をかけるか。
強くなればなるほど、それをわからせないといけなかった」
1979年12月30日から始まった全国高校ラグビー大会に伏見工は京都代表として出場し、初めて花園ラグビー場の芝を踏んだ。
そして初戦は新潟工に40対0、2回戦は石巻高に42対3で勝ったが、1980年1月3日、3回戦で前回優勝した国学院久我山高に26対4で負けた。
敗戦後のロッカールームで、3年生の大八木淳史には満足感があったが、2年生の平尾誠二はくやしさに体を震わせた。
「念願の全国大会でした。
臆することなく戦う。
それだけでした。
初出場でベスト8は立派という人もいましたがも、敗戦の悔しさで私のはらわたは煮えくり返っていました」
山口良治の表情は硬く不機嫌だった。
こうして新しい、もっと大きな戦いが始まった。
目指すは全国制覇だった。

目指すは全国制覇

1980年3月20日、平尾誠二が新主将となった伏見工は、近畿大会の決勝で大阪工大高と対戦。
トライを2本奪ったが、1トライ、2ペナルティーゴールを奪われ10対8で敗れた。
試合後、山口良治は平尾誠二を殴った。
「カッとなったのか、平尾が相手フォワード陣の中に突っ込んでいった。
細身の彼には『相手に絶対捕まったらあかん』って教えていたのに。
いくらキックがうまい、パスがうまいといっても、相手に狙われて捕まって足でも踏まれてけがしたらプレーできなくなる。
鬼ごっこのように相手のいないスペースに走れといっていたのに」
小柄な選手が体の大きな相手選手に捨て身で突っ込んでいく行為は気迫のあるプレーかもしれないが、このとき山口良治は
「合理的ではない」
と叱った。
伏見工ラグビーの練習は、量から質へ、根性ラグビーからエンジョイラグビーになっていた。
しかし卒業したOBが練習に参加する合宿は別だった。
彼らは鉄拳制裁を含めて、徹底的に鍛えられた。
だから後輩が楽しげに練習していると不満だった。
「歯をみせるな!」
としぼられると現役部員の顔は苦悶に歪んだ。
こうしてスクラムで絶対に押されないフォワード、パワフルでスピーディーなバックス、そしてフォワードとバックスの中間にポジションをとって指揮する平尾誠二という強力なチームがつくられた。
平尾誠二は試合での状況判断だけでなく、部員をポジティブにコントロールする術にも長けていた。
戦況に応じて各自に責任分担を素早く指示。
そして
「ここはお前に任せる。
頼むぞ」
とすべてを預け
「失敗したら責任は俺がとる。
思い切っていけ」
という。
これで奮起しない部員はいない。
部員も平尾1人だけにやらせてはいけないと思い頑張った。
あるとき京都市東山区の浄土宗総本山知恩院で座禅を組んだ。
「目に見えない力とはなんぞや」
講堂で伏見工ラグビー部員全員が目をつぶり、座禅を組んで、目の前の木魚をたたいた。
「しっかり合わせなさい!」
当初は隣と話す部員もいて一向に終わる気配はなかった。
足がしびれ、苦しくなってきて無心でたたき続けると、気づけば
「ポン、ポン、ポン」
と一定のリズムが刻まれた。
「これや」
無の境地に達したとき、心は1つになることを知った。

山口良治は、強くなってくると必ず出てくる慢心や自惚れなど気の緩みを恐れた。
2学期の中間テストで、1年生部員にカンニング疑惑事件が起き、その部員は下敷きに数字を書き残したまま試験を受けてしまったと泣いて潔白を訴えた。
「この問題は彼1人のものと考えたくない。
みんなで話し合ってくれ」
翌日、グラウンドに行くと全部員が丸坊主になっていた。
「古いことしやがって」
そういいながら山口良治は自分自身にも気の緩みがあったと反省した。
翌日から誰よりも早く出勤し、誰よりも遅く帰った。
一方で部員には
「いかに伏見のラグビーをするかだ」
と自チームのストロングポイントであるフォワードで勝負できるかどうかがテーマであることを伝えた。
そして練習試合で大阪の大工大高、東京の目黒高、久我山高、東北の秋田工、黒沢尻工を破った。
1980年10月17日、栃木国体の決勝で大工大高と対戦。
「大工大高フィフティーン1人1人の能力と我々を比較すると数段彼らのほうが優れています。
体力、パワー、テクニック、スピード、どれをとっても上です。
こんな相手に個々の力で向かっていっても勝てるわけがない。
ではどうするか?
1対1で負けている部分を手の空いている味方が助けにいく。
そうすれば力は対等になり数で勝てます」
平尾誠二は、ミーティングで各自、何をなすべきかを徹底させた。
前半は両チームとも硬く、0対0で折り返した。
後半、伏見工は2トライ、1ゴールで10対0。
大工大高も1トライを返したが、残り時間はわずかだった。
パスを受けた平尾誠二がボールを蹴り出せばノーサイド、かと思われたが、なぜかボールはラインの外に出ず大工大高の中央へ。
攻撃を展開してくる大工大高に焦った伏見工はオフサイドの反則。
そしてゴール真下にトライされた。
こうして主将:平尾誠二の痛恨のミスで同点で両校優勝となった。
単独優勝を逃した伏見工はまるで敗北者のようだった。
「貴重な教訓?
とんでもない!
目の玉の水分が枯れて目が潰れるほど泣きました」
(平尾誠二)
京都に帰ると部室の壁に紙に書いて張ってあった目標は
「全国大会へ」
から
「1月7日決着!」
と変えられた。
山口良治は伏見工ラグビー部OBたちと食事を行った。
そして
「先生、来年の5月、東京に行くんですが一緒に行きませんか?」
と誘われたが笑顔で断った。
「ありがとう。
でも5月はオーストラリアに行っとる」
1月7日の全国大会に優勝すれば、優勝監督は高校日本代表チームのオーストラリア遠征の監督に任命されることになっていた。

第60回全国高校ラグビー選手権大会決勝戦、伏見工業高 vs 大阪工業大学高校


1980年11月、第60回全国高校ラグビー大会の予選が始まった。
伏見工は、立命館高を120対0、絡東高を128対0、絡南高を68対0、そして決勝で花園高を44対4で破り全国大会進出を決めた。
大阪工大高も、1、2回戦不戦勝、豊島高に162対0、守口北高に112対0、布施工に98対0、牧野高に53対3で同じく全国大会へ進んだ。
1980年12月27日、第60回全国高校ラグビー大会が開始。
伏見工は、
長崎南 62対0(12月30日)
西稜商 51対0(1月1日)
秋田工 16対10(1月3日、準々決勝)
黒沢尻工 28対10(1月5日、準決勝)
と勝ち進んだ。
秋田工では自慢のフォワード戦で負け、スクラムトライを奪われた。
フォワード1列目の3名はショックで部屋に引きこもり泣いた。
「ええやないか。
その悔しさを次にぶつけたら」
平尾誠二にいわれ、やっと食事に箸をつけた。
大工大高も
佐賀工 39対14(12月30日)
熊谷工 60対0(1月1日)
関商工 36対0(1月3日、準々決勝)
大分舞鶴 37対0(1月5日、準決勝)
と勝ち上がった。
初戦の佐賀工戦当日、大工大高が泊まっていたホテルのエレベーターが止まった。
定員オーバーのベルが鳴り、係員が走った。
すると今度は警報ベルが鳴った。
エレベーターのドアを内側から押し開けたというアラームだった。
係員が到着し客を誘導すると、エレベーターの中から出てきたのは全員、大工大高ラグビー部員だった。
彼らは定員オーバーで乗った挙句、警報が鳴ったのでドアを強引に開けた。
荒川博司監督の鉄拳が、レギュラーのみならず全部員にも等しく飛んだ。
「思い上がるな。
ホテルはお前らだけのものではない」
荒川博司は天理大学出身で、無名だった大阪工業大学高等学校ラグビー部を全国強豪チームへと育て上げた。
この日、父親を亡くなったが、戦列を離れることはなかった。
大工大高ラグビー部主将:広瀬良治はいった。
「勝つしか監督は親孝行でけへん。
葬い合戦や」

1981年1月6日、19時半、伏見工ラグビー部は旅館でミーティングを行っていた。
「決着つけたる」
「明日はやったる」
昨年の同日、準々決勝で国学院久我山高に敗れた。
1年が過ぎ、伏見工は国体で優勝した。
しかしそれは大工大高との同点優勝だった。
かつて山口良治は大西鉄之助にいわれた。
「諸君こそ、歴史の創造者たれ」
そして今、平尾誠二はこうミーティングを締めくくった。
「さあ、新しい伏見工の歴史を創造するんや」
1981年1月7日、第60回全国高校ラグビー選手権大会決勝戦、伏見工業高 vs 大阪工業大学高校。
伏見工は、前年の59回大会で初出場し、2年連続全国大会出場。
大工大高は、3年連続、9回目の全国大会出場。
試合前、両チームの監督はコメントを求めれれた。
「やっと土俵に上った。
決着をつけるときがきました。
大工大高にはほんとうに貴重なものを教えてもらいました。
近畿大会で負け、国体では引き分け、それも最後の5分で追いつかれた。
勝負は最後の最後までわからんのだいうことを教えてもらった。
今日こそケリをつけます」
(山口良治監督)
「どちらのラグビーをするかで決まるでしょう。
負けないと思います」
(荒川博司監督)
実際、大工大は伏見工に公式戦で1度も負けたことがなかった。
平尾誠二は左大腿にテーピングを巻いていた。
平尾誠二を潰さなければ勝ち目がない敵チームはタックルの集中砲火を浴びせた。
鋭く叩き潰してくるようなタックルを受けて平尾誠二はグラウンドを転げ回った。
そして準々決勝の秋田工戦で左大腿の筋を断裂。
普通なら立つことすらままならない重傷だった。
宿舎に戻って筋肉が固まらないように風呂にぬるま湯を張り足を浸けマッサージし続けた。
2日後の準決勝、山口良治は平尾誠二を外さなかった。

「さあ、手をつなごう」
試合5分前、山口良治はいった。
「ええか、こんな1時間はまたとないぞ。
思い切りラグビーを楽しんでこい。
力いっぱい、お前らのラグビーをやってこい。
頼むぞ!」
「オオッ!」
16人の手が力強く握り合わされた。
笛が鳴り、30人の選手が各々のポジションに散った。
大阪工大高のキックオフは右45度、10m付近に飛んだ。
「とるな」
平尾誠二の指示で伏見工はボールを見送った。
ボールはタッチラインを割り、伏見工得意のスクラムになった。
鎖骨を痛めている高崎利明はボールを持つと中央線まで全力疾走した。
平尾誠二は、その後を走りながら腫れた左大腿をみた。
(最後まで持ってくれよ)
前夜、山口良治には
「痛いやろう。
これだけ腫れているんやからな。
でも俺はお前と心中するつもりや。
もう何もせんでもいい。
立っているだけでもいいから、このチームを勝たせてくれ」
といわれていた。
ファーストスクラムからボールが高崎利明に出た。
平尾誠二はトップスピードで走りながらパスを受け右サイドをついた。
迫ってくる大阪工大高ディフェンスをギリギリまで引きつけパス。
ボールは味方に渡り攻撃を続行したが、大阪工大高のタックルでタッチを押し出された。
ラインアウトのボールを大阪工大高がノックオン。
伏見工ボールのスクラムに変わった。
大阪工大高側のスクラムが潰れ折り重なって倒れた。
伏見工フランカーが飛び出し、ボールをかき出し、高崎利明にパス。
高崎利明は左へ走った。
そして平尾誠二にパスを出そうと思ったが、大阪工大高フォワードが潰れたスクラムが立ち直っていないのをみると、右へ転回。
170cm60kgの小さな体で豪快に突進し、防御をかいくぐり
「ポンッ」
とパントキックを上げた。
インゴールに入ったボールを大阪工大高がかろうじて処理した。
この試合、スクラムでは終始、伏見工が優位にたったため、続くオープン攻撃が次々に展開された。
前半3分、大阪工大高のキックしたボールを奪ろうとした2選手が空中で衝突。
伏見工選手の顔面に大工大高の選手の頭部が当たった。
伏見工の小島信二は倒れたまま、プレーは続行。
14人の伏見工は左に展開し積極的に攻めた。
大工大高のディフェンスをかわし、キックを上げ、ゴールライン手前2mにボールが落ちてバウンドしインゴールへ入った。
伏見工はトライのチャンスだったが大工大高に押さえられた。
瞼を腫らした小島信二が復帰。
レフリーはキャリーバックを命じ、大工大高陣ゴールライン5m手前でスクラムが組まれた。
伏見工フォワードが押し、ボールが出て、高崎利明が平尾誠二にパス。
平尾誠二は敵を引きつけながら、フォローに来た森脇嗣治にパス。
森脇嗣治は右をつくとみせかけ、中央に切り込み、2次攻撃の起点となるためセービング。
森脇嗣治を殺さないためにフォワードがフォロー。
「まわせ」
フランカー西口聡がボールをもぎ奪って突っ込んだ。
大工大高主将、そして高校日本代表の広瀬良治が、その突進を受け止めた。
攻撃権はまだ伏見工にあった。
ゴールラインはすぐそこだった。
「ピーッ」
笛が鳴り、大工大高がオフサイドの反則。
「狙え」
平尾誠二の指示で細田元一が16mのゴールキックを決め、伏見工は3対0とリードした。
(この3点は試合を左右する貴重なものだ。
これで波に乗るんだ。
この試合は両軍の合計点が20点以下で終わる。
どちらかが11点をとればそれで勝ちだ)
山口良治は指を噛んだ。

前半20分、伏見工陣内、伏見工ボールのスクラム。
高崎利明が入れたボールは、再び高崎利明に出て、そして平尾誠二へ。
平尾誠二は数歩前進した後、左へ大きくパス。
パスを受けた栗林彰は、スピーディーにライン際を走ったが、広瀬良治のタックルを受けて地面に落ちた。
そして癖になっている右肩が抜けた。
試合が止まりドクターが入った。
そして肩を入れてもらい立ち上がった。
栗林彰は、成績はトップで伏見工に入学し、
「山口良治はここにしかおれへん」
とラグビー部に入部。
「ラグビーやって成績下がったなんて許さん。
今の成績を3年間成績を通してくれ」
と山口良治と約束し、元陸上部の俊足で活躍した。
肩がこわくてラグビーをやめようと思ったこともあったが、チームメイトに
「アホか、お前は。
ラグビーやって首席で卒業するのがお前の務めやないか」
といわれホロッと涙が出た。
この3年間で一心に情熱を注げば必ず報いられるということを学んだ。
そして同時に二兎を追えないことも・・・
栗林彰は、この日、1月7日限りでラグビーを辞めることを決めていた。
次の人生の目標は、国立大学の工学部に進みエンジニアになることだった。
前半終了間際、
大阪工大高は、伏見工陣内22mでのスクラムから左にオープン。
伏見工ディフェンスがタックルで止めたが、まだ大阪工大ボール。
両フォワードが突っ込んだところで笛が鳴った。
「オーバー・ザ・トップ」
伏見工のフォワードが倒れこんだという反則だった。
十分、狙える距離だったが角度があったせいか大工大高のキックはゴールに届かず、伏見工は押さえ込んで、5mキャリーバックした位置でスクラムとなった。
「サイドを衝くか、インゴールにキックを上げるかでしょう」
テレビ解説者は予想したが、大阪工大高はスクラムから出たボールを直接蹴ってドロップゴールを狙った。
「あっ」
伏見工の意表をついたボールは、しかし右に外れた。
大工大高の攻撃が続き、スクラムから左へボールを展開させたが、パスを受けた選手がボールを前に落としてしまい、伏見工ボールのスクラムになった。
伏見工はスクラムからボールが高崎利明に出て、平尾誠二へ。
平尾誠二は大きくキックしようとしたが、大工大高が、そのボールをチャージ。
ボールはゴールライン上に転がり、両チームがボールに走ったが、伏見工が奪取し蹴り出した。
そして前半が終了した。

山口良治はベンチに帰ってきた選手に指示を出そうとした。
「よし!フォワードは早い・・・」
「はい、わかってます」
平尾誠二が途中で答えた。
山口良治が「早い集散」と指示するのがわかった。
「バックスはここ一発のチャンスを・・・」
「わかってまーす」
全員が答えた。
山口良治はいうべきことを持たず、確かな手応えを感じた。
一方、大工高ベンチは、荒川博司が選手に活を入れた。
「お前たちが負けるわけないだろう。
練習を思い出せ。
やれる。
絶対勝てる」
選手は後半、何をするべきか確認し合った。
「よし、前に出るぞ」
後半が始まった。
風上に立った大工大高はハイパントを多用した。
対する伏見工は強気で攻めた。
「積極的に自分の強いところで勝負する」
どんな状況でも守備に重きを置くラグビーは目指すものではなかった。
大工大高の蹴ったボールをキャッチした伏見工選手が前進したところで笛が鳴った。
タックルに向かう大工大高選手を伏見工選手が邪魔をしたと判断され、オブストラクション(ボールを持っていない相手プレーヤーの動きを妨害する反則)となった。
そして大工大高のキッカーはPK(ペナルティーキック)を決め、3対3となった。
後半17分、左サイドに転がったボールを栗林彰が押さえた。
そしてボールを出そうとしたが、また肩が脱けて動けなくなった。
笛が鳴った。
ノットリリースザボールの反則をとられた。
(ボールを持った選手が倒れてしまったにもかかわらずボールを放さずに持ち続ける反則。
ラグビーは基本的に立っていない選手はプレーしてはいけない。
ボールを持った選手は、倒されたら速やかにボールを放さなくてはいけない)
栗林彰は足を広げて座っていたが、チームメイトが駆け寄ってくると大の字に寝て右腕を預けた。
そして肩が入ると立ち上がった。
この中断の間、山口良治はチームに気合を入れた。
「おい、ここだぞ。
強気で攻めろよ。
勝負は振り出しに戻ったんや。
今、強気で攻めるしかない。
負けてはならん」
「大工大高はお前らには負けないという過信が出てきてる。
その証拠に個々が当たりに出てきただろう。
意地が空回りすると攻撃の歯車が狂う。
強気で攻めろ。
強気で守れ。
各員の意思を統一しろ。
何をするべきかハッキリ自覚しろ」
試合が再開され、大工大高はPK(ペナルティキック)を伏見工陣内に深く蹴りこんだ。
ボールはタッチラインを割らず、再びラインアウト。
投げ込まれたボールは大工大高側に落ち、ノックオン。
大工大高ボールのスクラムになったが、伏見工の強気の守りの前にパスが流れ、ボールはタッチラインを割った。
平尾誠二が自陣30mからキック。
大工大高はこれをチャージし、フォワードが突っ込んでラックを形成した。
「強く当たれ!」
荒川博司が叫んだ。
そして笛が鳴った。
「8番、オフサイド」
伏見工の反則。
残り時間は、ロスタイムを入れて数分だった。
(よし、勝った!)
荒川博司は思ったが、大工大高のPK(ペナルティキック)は飛距離が足りなかった。

終了1分前の劇的トライ

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