稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。

稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。

1984年の初監督作品「お葬式」から1997年の遺作となった「マルタイの女」まで伊丹十三が監督した全部で10本の作品を集めてみました。笑える、泣ける、感動する。どれもこれも観てソンなし!の面白いものばかりですよ。


良い作品です。渡部篤郎は日本アカデミー賞において新人俳優賞を受賞していますし、俳優陣は頑張った。しかし、障碍者というテーマがもしかすると重かったのかもしれません。商業的には大失敗。伊丹十三作品としては最低の興行成績となってしまいました。前作の「大病人」も思わしくなかったので、2作続けての失敗によって伊丹十三は追い詰められてしまいます。

スーパーの女

やはり「大病人」、「静かな生活」とテーマが重かったんでしょうか?敗北。そんな言葉が頭をよぎる程の大失敗。もう後がないということで、宮本信子を主役に据えて選んだテーマは分かりやすいスーパー再建。困ったときには宮本信子、タイトルからして彼女が主役と分かる「スーパーの女」が9作目として1996年に公開されました。

起死回生。そういって良いでしょう。「スーパーの女」は、伊丹十三最大のヒット作「ミンボーの女」とほぼほぼ肩を並べる程の大ヒットを記録したのですよ。やっぱり、この底抜けに明るい感じが良かったのではないでしょうかね。いや、伊丹十三作品は葬式だの病気だの脱税だのと、ネガティブに捉えられがちなテーマを扱ってはいても明るいんです。上質のユーモアが溢れているんです。それが受け入れられたんですねぇ。

マルタイの女

「スーパーの女」が大ヒットしたことでホッと一息つくのかと思いきや、翌年には早くも「マルタイの女」を公開します。また興味をひく上手いタイトルを付けたものですねぇ。「マルタイ」というのは警察用語で捜査や護衛の対象となる人間の事です。
ただ残念なことに、本作が伊丹十三の最後の監督作品となってしまいました。

「マルタイの女」が公開されたのは1997年9月27日。伊丹十三が亡くなったのが同年の12月20日です。死因は謎を残しつつも、ビルからの飛び降り自殺とされています。

伊丹十三作品の面白さを支えたのは個性的な俳優陣ですが、中でも宮本信子が居なかったならどの作品も成立しなかったのではないかと思われるほどです。良き女優であり、良き妻であった。最高の理解者が伊丹十三のすぐそばに居たからこそ、このような作品を作り出せたのでしょう。

関連するキーワード


監督 伊丹十三

関連する投稿


80年代の日本アート・シアター・ギルドの作品紹介

80年代の日本アート・シアター・ギルドの作品紹介

ATGこと日本アート・シアター・ギルド。映画好きにはこたえられない優れた作品を配給し続けたことで知られています。今回は若手の映画監督を積極的に起用した80年代の代表作を紹介します。


独創的な演出が新しかった!堤幸彦さん演出のドラマ

独創的な演出が新しかった!堤幸彦さん演出のドラマ

テレビドラマで脚本家が注目されることはあっても、演出家が注目されるのは珍しいと思います。堤幸彦さんは斬新な演出で注目を集めました。堤幸彦さん演出のドラマをまとめます。


戦後の日本映画黄金時代とは!

戦後の日本映画黄金時代とは!

日活、松竹、東宝、大映、東映の映画会社が牽引していた日本映画黄金時代を調べてみました。


芸人映画監督のパイオニア・北野武さん作品をまとめてみた!

芸人映画監督のパイオニア・北野武さん作品をまとめてみた!

最近は芸人が映画監督をすることも珍しくないですがそのきっかけをつくったのはやはり北野武さんといえるでしょう。北野さんの映画作品を振り返ってみました。


スピルバーグ監督が手掛けた映画「ジョーズ」で後悔していることとは?

スピルバーグ監督が手掛けた映画「ジョーズ」で後悔していることとは?

人食い動物に襲われる系のパニック映画は数多くあれど、スピルバーグ監督が手掛けた映画「ジョーズ」は本当にリアルで、子供の頃に観た人は海に近づくのが怖くなってしまった方も少なくないのではないでしょうか。スピルバーグ監督は映画「ジョーズ」で後悔していることがあるそうなのです。今回は後悔とは何だったのか?と映画「ジョーズ」をご紹介したいと思います!


最新の投稿


歌声と美食に酔いしれる夜!昭和レトロアイドル増田樹乃の限定10名プレミアムディナーショー

歌声と美食に酔いしれる夜!昭和レトロアイドル増田樹乃の限定10名プレミアムディナーショー

複合型リゾート「オーパークおごせ」(埼玉県入間郡)は、昭和レトロなアイドル・増田樹乃氏によるスペシャルディナーショーを2026年2月7日(土)に開催します。限定10名というプレミアムな企画で、埼玉県の食材をテーマにした全8皿の豪華フルコースとライブパフォーマンスを提供。参加者にはサイン入りボトルワインもプレゼントされ、非日常的な空間で特別な夜を過ごせます。


ビックリマンAI名刺メーカー爆誕!あなたの顔が「スーパーゼウス」風に?40周年記念企画

ビックリマンAI名刺メーカー爆誕!あなたの顔が「スーパーゼウス」風に?40周年記念企画

ビックリマン「悪魔VS天使シリーズ」40周年を記念し、アル株式会社とロッテが共同で「ビックリマンAI名刺メーカー」を2025年12月16日から40日間限定で提供します。ユーザーが自身の顔写真をアップロードすると、生成AIがビックリマン風のキャラクター画像に変換。公式キャラと融合した名刺デザインを作成・購入でき、ファンが物語の登場人物になる体験を提供します。


タブレット純が語り尽くす!伝説の「エレックレコード」秘話&秘蔵映像を映画館で

タブレット純が語り尽くす!伝説の「エレックレコード」秘話&秘蔵映像を映画館で

神奈川県民ホールは、音楽イベント「KANAGAWA ロックサーキット」の第3弾として「タブレット純 フォークを語る~伝説のレーベル『エレックレコード』トーク&上映会~」を2026年1月23日にイオンシネマ座間にて開催します。昭和歌謡の伝道者・タブレット純氏とMUSIC LIFE CLUBの井口吾郎氏が、吉田拓郎、海援隊などを輩出したエレックレコードの知られざるアートと音楽カルチャーの軌跡を解き明かします。


懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

東洋製罐グループが運営する容器文化ミュージアムは、企画展「昭和の缶に、恋してる レトロブリキ缶コレクション」を2025年12月15日から2026年2月20日まで開催します。昭和100年を記念し、お菓子や贈答品などに使われた貴重なブリキ缶を展示。缶の構造やデザイン、当時のエピソードも交え、昭和の生活文化とブリキ缶の魅力を再発見できる展示内容です。


「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

株式会社KADOKAWA Game Linkageは、ナムコットブランドのファミコンソフト『パックマン』、『ゼビウス』、『ドルアーガの塔』の外箱をモチーフにした「クラシックゲームブランケット」3タイトルを2026年2月16日に発売します。両面印刷で外箱の表裏デザインを忠実に再現し、A5サイズ16ページの冊子も同梱。現在、予約受付中です。