前作が大ヒットし、“マルサ”という言葉が一般に普及したこともあり、第2弾「マルサの女2」が1988年に公開されました。これが「マルサの女」以上のヒットとなったのですから素晴らしいです。そもそも伊丹十三が国税局査察官を主人公にした映画を撮ろうと思ったのは「お葬式」で得た収益を莫大な税金に取られたことで、税金や脱税に興味を持ったからだそうですよ。
あげまん
「マルサの女」、「マルサの女2」の成功によって伊丹十三は映画監督の地位を不動のものにしたといっていいでしょう。勢いそのままに1990年に公開された「あげまん」。“マルサ”といい、“あげまん”といい、気を引くタイトルを付けてきますよねぇ。
宮本信子、津川雅彦、大滝秀治、橋爪功に菅井きん。いつものメンバーですが、いえ、いつものメンバーであるだけに安定感があります。役にもピッタリ。伊丹十三作品はどれも理屈抜きに面白いわけですが、その秘密はキャスティングの妙にもありますね。そう言えば、伊丹十三は役者のアドリブを一切認めなかったそうですよ。
ミンボーの女
伊丹十三の6作目は1992年公開の「ミンボーの女」。ミンボー、これはまた面白いところに目を付けましたね。ちょうど「暴力団対策法」が施行された時だったので注目を集め、「マルサの女2」を上回る大ヒットとなりました。もう、伊丹十三はヒットメーカーですね。
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映画はまたしても大ヒットしましたが、事件が起こります。作品に暴力団を取り上げたことが災いしました。公開直後、刃物を持った後藤組のヤクザに伊丹十三が自宅近くで襲われ、全治3ヶ月の重傷を負ってしまったのです。それでも伊丹十三は気丈に「私はくじけない。映画で自由を貫く」と言い放ったものの、翌年公開された監督7作目の「大病人」の上映中に暴力団組員がスクリーンを切り裂くという事件も起こりました。
大病人
余命1年となった男の残りの人生をどう生きるかということをコメディを交えながら描いた1993年の「大病人」。病人です。癌なんです。シリアスなテーマを重くなりすぎないように描いているところが伊丹十三です。
死という重いテーマ。このテーマは伊丹十三が暴力団に襲われ生死を彷徨ったことと恐らく無関係ではないでしょう。
静かな生活
1995年に公開された8作目「静かな生活」は、伊丹十三作品において初めての原作ものです。原作はノーベル文学賞作家の大江健三郎による小説「静かな生活」。伊丹十三は大江健三郎にとって義兄になります。まぁ、そんな関係もあって映画化となったのでしょう。
