70年代前半にブームになった「ローラーゲーム」とは?

70年代前半にブームになった「ローラーゲーム」とは?

1970年代前半、東京12チャンネル(現テレビ東京)で『日米対抗ローラーゲーム』が放送されたことにより、ブームとなったローラーゲーム。殴る、蹴るが当たり前のエキサイティングな試合模様に視聴者は熱狂し、特に、日本人と日系人で構成されたチーム『東京ボンバーズ』は当時絶大な人気を誇りました。


漫画『20世紀少年』の中でも言及されていたローラーゲーム

2000年代前半に大人気だった漫画『20世紀少年』。その第18巻9話目に、テレビ局の一室でアシスタントプロデューサーの青年と、そこへ訪問した主要キャラのマルオと春波夫が、昔のテレビ番組が収録されたビデオテープをモニターで見ているシーンがあります。APの青年は過去のスポーツ番組から、今の時代にリバイバルして流行になりそうなものはないか探していたのです。その作業中に発見したのが、ローラーゲームに興じる選手の映像。それを見たマルオと春は人気選手の話題で異様に盛り上がっていました。

20世紀少年

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス) | 浦沢 直樹 |本 | 通販 | Amazon

このローラーゲームがブームになったのは、今から40年以上前となる1970年代前半のこと。きっかけとなったのは、東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送されたテレビ番組『日米対抗ローラーゲーム』です。

そもそも、ローラーゲームとは何なのか?

ローラーゲームとは、ローラースケートを履いて行うチーム対抗のスポーツです。試合は、5名で構成されたチーム同士の対戦となり、幅3.6メートル、1周40~70メートルのトラックで行われます。得点権利者が何人抜き去ったかで競い合うのですが、小突いたり、タックルをかましたりして妨害するのは当たり前。時に殴り合いにまで発展するというエキサイティングな競技となっています。
百聞は一見にしかず。こうして文字で書くよりも、実際に見た方が早いので、まずは次の動画をご覧ください。

いかがでしょう。かなりの激しさではないでしょうか?

もともとは、アメリカ発祥のスポーツ

1930年代のアメリカで誕生したローラーゲームは、徐々にルールが整備されていった後、1960年代にテレビ中継の影響で流行していきます。日本においては、そのブームに気付いた東京12チャンネル(現テレビ東京)が、1968年4月から毎週米国のチーム「ロスアンゼルスサンダーバード」の試合の模様を放送。ちびっ子には大いにウケたそうです。
しかし、大人たちからは「子供向けのスポーツ」と認識されていたため、国内における人気は伸び悩み、やがて視聴率も低迷。1970年9月には打ち切られてしまいます。

ロスアンゼルスサンダーバード

Track of the Dolls: Derby Dolls Compete | The LA Beat

1972年、日本人&日系人だけのチーム『東京ボンバーズ』が誕生する

ここで関係者は思いつくわけです。日本人に訴求するためには、やはり、日本人のみで構成されたチームが必要ではないのか、と。そこから幾度もの試行錯誤を繰り返した後、1972年、ついに日本人と日系人による“準”国産チームが誕生します。それが『東京ボンバーズ』です。冒頭の『20世紀少年』で話題になっていたのも、まさにこのチームでした。

この東京ボンバーズの誕生とほぼ時を同じくして始まった番組が、『日米対抗ローラーゲーム』です。というよりも、同番組の立ち上げは、ボンバーズの結成を前提に決定したといっても過言ではありません。たとえるならば、おニャン子クラブあっての『夕やけニャンニャン』、みたいなものでしょうか。

東京ボンバーズ

東京ボンバーズ - Wikipedia

激しすぎる試合模様…。真似する子供たちが続出した

キャッチフレーズは「殴る!!蹴る!!つぶす!!話題のスポーツローラーゲーム」。攻撃的なにおいがプンプンします。というか、実際、エキサイティングな試合の連続でした。反則あり、乱闘あり、試合中断も日常茶飯事…。比喩表現ではなく、リアルに「トラック上の格闘技」が繰り広げられたのです。そこに土居まさるのアナウンスと、ドクター宮本の名解説が加わることにより、ボンバーズの試合は極上のエンターテイメントと化し、観る者を魅了したのでした。

特に子供たちへの反響は凄まじく、選手のまねをして友だちにタックルをかます児童が全国的に続出したそうです。今だったら、PTAやらBPOやらが即刻番組へ倫理的な是非を問い、1クールと持たずに打ち切りとなっているに違いありません。

何でもアリだったローラーゲーム

ローラーゲーム - Wikipedia

圧倒的人気を誇ったボンバーズのヨーコ

こんなに激しいスポーツなのに、1チームにつき半数は女性スケーターなのがこの競技のすごいところ。東京ボンバーズにも女性選手は所属しており、中でも圧倒的人気を誇ったのが、キャプテンをつとめた“ヨーコ”こと佐々木ヨーコです。同時代に活躍した南沙織ライクなオリエンタルな風貌とスラっとした長身、そして、選手としても有能だった彼女は、当時、アイドル的な人気を誇っていました。今は60歳を超えているヨーコは、いったい、どこで何をしているのでしょうか…。ぜひ、『あの人は今』で追跡してもらいたいものです。

【セピアの肖像】『ローラーゲーム/佐々木ヨーコ』切抜1ページ

佐々木ヨーコ

【セピアの肖像】『ローラーゲーム/佐々木ヨーコ... - ヤフオク!

こうしたスター選手の活躍もあり、一時は視聴率15%以上を記録していた『日米対抗ローラーゲーム』でしたが、次第に飽きられ低迷。1975年9月には、打ち切られてしまいました。


(こじへい)

関連する投稿


OVA版【巴がゆく!】1990年代を反映したスケバンもの!光GENJIのローラースケート流行にも影響?

OVA版【巴がゆく!】1990年代を反映したスケバンもの!光GENJIのローラースケート流行にも影響?

『BASARA』『7SEEDS』などの名作で知られる漫画家・田村由美さんが生み出した『巴がゆく!』。1990年代に有りがちなスケバンものの作品ですが、当時、爆発的に流行ったローラースケートの要素も取り入れられました。今回の記事では、そんなOVA版『巴がゆく!』に焦点を当てて、本編動画やストーリー・魅力などをご紹介させていただきます。


『トゥナイト2』キャスター&司会者の今

『トゥナイト2』キャスター&司会者の今

1994年から2002年にかけて放送された伝説のお色気番組『トゥナイト2』。単なるエロ番組ではなく、性風俗を独自の視点で深堀する内容は当時、世の男性諸氏に熱烈に支持された。そんな同番組においてレポーター、司会者を務めたタレント及び文化人の近影を紹介していきたい。


イメージと違う?お堅い系の前職だった意外な芸能人!

イメージと違う?お堅い系の前職だった意外な芸能人!

芸能人の経歴は、人によってさまざま。中には、芸能界で活躍する前に、意外な前職に就いていたというタレントもいるものです。そこで今回は、銀行や公務員、士業など、お堅い系の仕事をしていた有名人を何人かピックアップし、紹介していきたいと思います。


まさに魔球!すごい変化球を投げた往年の名選手たち

まさに魔球!すごい変化球を投げた往年の名選手たち

プロ野球史を彩る往年の名選手たち。その中には、見た事もないような軌道を描き、強打者のバットに空を切らせる「魔球」を放つ名ピッチャーも存在ました。そこで今回、記憶に残る変化球を投げていたかつての名投手を振り返っていきたいと思います。


HRが量産されて当然?昔のプロ野球の球場の広さを調べてみた

HRが量産されて当然?昔のプロ野球の球場の広さを調べてみた

王貞治や野村克也が本塁打を量産できたのは、球場が狭かったからだ!…プロ野球好きの間でそんな話をよく聞きます。では、今はなき昭和の球場は、具体的にどれくらいの広さだったのでしょうか?今回、いくつかピックアップして調べてみました!


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。