まさに魔球!すごい変化球を投げた往年の名選手たち

まさに魔球!すごい変化球を投げた往年の名選手たち

プロ野球史を彩る往年の名選手たち。その中には、見た事もないような軌道を描き、強打者のバットに空を切らせる「魔球」を放つ名ピッチャーも存在ました。そこで今回、記憶に残る変化球を投げていたかつての名投手を振り返っていきたいと思います。


小山正明(パームボール)

フォークやスライダーに比べてマイナー感のある変化球「パームボール」。パームとは英語で「手のひら」を意味し、親指と小指・薬指でボールを掴み、手のひらで包んで押し出すように投げることからこのネーミングになったといわれています。

このパームは近年においても、西武などで活躍した帆足和幸や中日の浅尾拓也などが使い手として知られていますが、最大の名手と名高いのが通算320勝の大投手・小山正明。1960年代前半、当時一本足打法を取得したばかりの王貞治にホームランを打たれまくっていた小山は、野球雑誌を参考に独学で習得したパームボールを実戦で多用し始めます。その結果、1962年は王に7本塁打を許したところから、翌年は本塁打0に抑えることに成功。同時に自身初となるシーズン30勝も達成したのでした。

小山正明

小山正明 - Wikipedia

村田兆治(フォーク)

マサカリ投法で一世を風靡した村田兆治。彼の持ち味は150キロを軽々と超える伸びのあるストレートでしたが、落差30センチ以上と言われる鋭いフォークも決め球の一つでした。

その威力は往年の大投手・杉下茂をして、野茂・佐々木と並んで「本物のフォークを投げていた投手」と評されるほど。しかも、引退以降もトレーニングを継続し、66歳時点で131kmを計測したというから、この人、ふつうじゃありません。

北別府学(スライダー)

現役時代、抜群のコントロールを誇った広島東洋カープのレジェンド・北別府学。ストレートはほとんど投げず、スライダー、シュート、カーブ、シンカーと多彩な球種を織り交ぜる巧みな配球術で、現役19年で215もの勝ち星をマークした彼ですが、中でもシュートは絶品。鋭い変化で意図したところに放るその様は、まさに「精密機械」の異名そのままでした。

伊藤智仁(スライダー)

2018年1月3日に放送された『消えた天才 一流アスリートが勝てなかった人 大追跡』(TBS系)において、ヤクルト時代の恩師・野村克也氏が25年ぶりの謝罪をしたことで話題となった伊藤智仁。強烈な横回転がかかったスライダーは並み居る強打者をきりきり舞いにし、古田敦也をして「受けてきた中で一番凄いスライダー」と言わしめたほど。1年目から先発で7勝2敗。規定未到達でありながら防御率0.91という驚異的な記録を叩きだし、将来を嘱望されていました。

しかし、それ以降は怪我との戦いが続き、11年間の現役生活のうちリハビリに4年間を費やし、2003年に引退。ノムさんは1年目から伊藤を酷使し続けた自分のせいで、そのキャリアを縮めてしまったと責任を感じ、先述の謝罪を敢行したというわけです。いずれにしても、もし怪我なく選手生活を歩んでいれば、間違いなく、とてつもない通算成績を残したことでしょう。

野田浩司(フォーク)

かつて阪神タイガースから大型トレードでオリックスに移籍する際、「フォークのお化けが消えた」とヤクルトの野村克也監督(当時)から喜ばれていた野田浩司。ノムさんがいうように、彼の武器は、打者の視界から消えるほど鋭利に落ちるフォークボール。特に本領を発揮したのは、オリックスに移籍してからの3シーズンで、3年連続2桁勝利と200奪三振を達成。中でも、1995年4月21日の対ロッテ戦で成し遂げた1試合19奪三振の日本新記録は今でも語り草です。

しかし、桑田真澄・佐々木主浩などと同様、フォークの名手の宿命として肘を故障してからは、本来の力を取り戻すことができず、2000年に引退。引退試合で現役最後の一球として、自身の代名詞だったフォークを放るも、まったく落ちず、その変わり果てた球威に涙する姿がなんとも哀愁を誘ったものです。

潮崎哲也(シンカー)

現役時代、魔球・シンカーの名手として鳴らしたのが、西武で活躍した潮崎哲也です。150キロのストレートと130km台の鋭利なスライダー、そして、100キロ前後で大きく曲がって沈むシンカーを駆使する全盛期の彼の投球は、見る者を魅了するエンターテイメント性に満ちていました。

佐々木主浩(フォーク)

横浜スタジアムで登板すると用具係が片付けを始めるとの逸話が残るほど、横浜ベイスターズの絶対的守護神だった大魔神・佐々木。多くのクロ―ザーがそうであるように、彼は速球派の投手で、最速154キロを記録する伸びのあるストレートを武器としていました。

そのストレートを最大限活かしたのが、「2階から落ちる」と評されたフォークボールです。佐々木はフォークを遅いタイプと140キロの速いタイプ、2種類を投げ分けられる技巧を持ち、その使い分けにより、並み居る強打者を翻弄したのでした。

(こじへい)

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