ヒクソン・グレイシー   まるでみえない力を持った神様

ヒクソン・グレイシー まるでみえない力を持った神様

そんなに大きくない体。 あまり太くない筋肉。 哲学者的風貌。 そしてシンプルすぎる戦い方。 これで世界最強の男なんてありえない。 でも (カビラジェイ風に)あるんです。


翌2000年、PRIDEグランプリで桜庭とホイス・グレイシーの対戦が決まった。
完全決着を望むグレイシー一族はルール変更を要求。
その内容は、無制限ラウンド・レフリーストップなしの完全決着ルールだった。
2000年5月1日、桜庭 vs ホイス戦は、1ラウンド15分の無制限ラウンド・レフリーストップなしの完全決着ルール。
1ラウンド、桜庭は立った状態からホイスの腕をつかんだまま、ロープから身体を半分乗り出した格好でアームロック。
反則ではないか?と抗議するグレイシーサイドをみて桜庭はカメラに向かってニヤっと笑った。
終了間際に桜庭がホイスに足関節を決めようとしたところで1ラウンドは終了。
2ラウンド以降も桜庭は優勢に試合を進めた。
真剣勝負ではあり得ないモンゴリアンチョップ、寝技に誘うホイスをジャンプして踏みつけたり、道着をつかんでひっくり返し恥ずか固めなど桜庭ワールドを展開。
5ラウンドを過ぎるとホイスの動きが悪化し桜庭はさらに優勢に試合を運んだ。
そして7ラウンド開始にホイスは応じられず、ホイスのセコンドがタオルを投入した。

桜庭和志は、ホイラー・グレイシー、ホイス・グレイシー、ヘンゾ・グレイシー、ハイアン・グレイシーに勝利し「グレイシーハンター」と呼ばれた。

ヒクソン・グレイシー vs 船木誠勝

2000年5月26日、「コロシアム2000」で船木誠勝と対戦。
4万人以上が東京ドームに押しかけ、テレビ放映は2000万人が視聴した。
船木誠勝の鉄槌で眼球が圧迫され骨折。
片目はみえなくなり、両目の神経はつながっているため、視界が全体的にボヤけた。
目はダメージが受けたことを悟られないようにかばわず倒れたまま構えるヒクソン・グレイシーの脚に船木誠勝はキックを浴びせた。
40秒間、寝たまま蹴られ続け、殴られた目はまだ見えなかったがもう一方の目の焦点が合ってきた。
視界を取り戻したヒクソン・グレイシーは、船木誠勝の膝を蹴った。
後ろに下がった敵の隙を突き立ち上がり、飛びかかった。
そして船木誠勝を引き込んで寝技に持ち込み、バックをとると船木の片腕を首に巻きつけながらマウントパンチを浴びせ、チョークスリーパーを極めた。
船木誠勝はタップ(まいった)せず落ちた(失神した)。
これがヒクソン・グレイシーは最後の試合となった。

悲報

2001年2月、船木誠勝との試合から8か月後、長男のホクソン・グレイシーが亡くなった。
19歳のホクソンは両親の下を離れてプロモデルとして自立することを決意し、ガールフレンドとともにニューヨークへ渡った。
最初のうちは連絡があったが、数週間後、連絡が途絶え、ヒクソン・グレイシーはニューヨークで道場を経営するヘンゾ・グレイシーに連絡を取りホクソンの捜索を依頼。
ヘンゾ・グレイシーは、ガールフレンドをマイアミで見つけたが既に2人は破局していた。
その後、ヘンゾ・グレイシーはニューヨークに戻り警察や病院で彼を探したが、警察のファイルから、腕に「 The Best Father of the World: Rickson Gracie(世界最高の父、ヒクソングレイシー)」というタトゥーが入った身元不明の死体があることがわかった。
遺体はマンハッタンのプロヴィンスホテルで発見され、アルコールとドラッグが検出され、個人データを持っていないので家族と連絡をとることなく埋葬されていた。
ヒクソン・グレイシーは誰とも会わず家に籠り、柔術もせず、ただ何もせずぼんやりとしていた。
ある日、裏庭の木に登った。
木の上からの眺めは素晴らしく、ヒクソン・グレイシーは亡くなった長男と話すため、ここにデッキをつくろうと決めた。
材料の買い出しから、木の上への引き上げ、もちろん大工仕事まで、どん小さなことでもこのデッキづくりだけはすべてひとりで行った。
毎日、食べて寝る以外、ひたすらつくり続けた。
やがて出来上がったデッキに長男の写真を置いた。
なにかが終わったような気がした。
結局、3年ほど落ち込んでしまったが、ヒクソン・グレイシーは、長男から人生の教訓を得た。
「必ず明日が来るとは限らない!」

引退

長男が死んだ3週間後、エメリヤーエンコ・ヒョードルとの試合のオファーがあったが、ヒクソン・グレイシーはキャンセルした。
また日本では桜庭和志との対戦が期待されたが実現しなかった。
大きな試合を逃したことに悔いを残しながらヒクソン・グレイシーは再起するチャンスを待ったが、2007年に引退を決意した。

関連する投稿


桜庭和志  初代タイガーマスク、新日本プロレス、UWFに魅せられ、「プロレスこそ最強」のUWFインターナショナルに入団

桜庭和志 初代タイガーマスク、新日本プロレス、UWFに魅せられ、「プロレスこそ最強」のUWFインターナショナルに入団

かつてサムライの国がブラジルの柔術にガチの勝負で負けて「日本最弱」といわれた時代、舞い降りた救世主は、180cm、85kg、面白い上に恐ろしく強いプロレスラーだった。


石井慧! オリンピック金メダル獲得後、石井節炸裂!!「屁のツッパリにもなりません」「ウツでも金」福田康夫首相は「すごい純粋さが伝わってきました。そして腹黒くないからこそ政治家として人気が出ない」

石井慧! オリンピック金メダル獲得後、石井節炸裂!!「屁のツッパリにもなりません」「ウツでも金」福田康夫首相は「すごい純粋さが伝わってきました。そして腹黒くないからこそ政治家として人気が出ない」

山下泰裕が持っていた全日本選手権最年少優勝記録を破り、井上康生、鈴木桂治、棟田康幸とのライバルに競り勝って北京オリンピックに出場し、金メダル獲得。「屁のツッパリにもなりません」「すごい純粋さが伝わってきました。そして腹黒くないからこそ、政治家として人気が出ない」


石井慧  運動オンチ少年がオーバーワークという暴挙で起こした奇跡。

石井慧 運動オンチ少年がオーバーワークという暴挙で起こした奇跡。

石井慧の幼少児から国士舘大学に入るまで。地球上で60億分の1の存在になる、人類で1番強い男になるための序章。


「柔道部物語」の小林まことが再び“本格柔道漫画”を描いた『JJM 女子柔道部物語』!コミックDAYSで連載配信スタート!

「柔道部物語」の小林まことが再び“本格柔道漫画”を描いた『JJM 女子柔道部物語』!コミックDAYSで連載配信スタート!

『柔道部物語』から25年、小林まことが再び“本格柔道漫画”を描いた『JJM 女子柔道部物語 社会人編』。コミックDAYSで連載が配信スタートしています!


第2次UWF崩壊 弾け散ったパワー・オブ・ドリーム

第2次UWF崩壊 弾け散ったパワー・オブ・ドリーム

1984年4月11日に旗揚げした第1次UWFは、様々な事件と前田日明と佐山聡のケンカマッチを経て1年半で崩壊。屈辱の新日本プロレス出戻り生活も前田日明が暴れまくったため2年半で終了。再旗揚げした第2次UWFは、社会現象といわれるほど若者を熱狂させながら、2年7ヵ月の活動にピリオドを打った。


最新の投稿


昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

2026年5月5日、グランドプリンスホテル広島にて「昭和100年」を記念したスペシャルイベントが開催される。広島発の4人組ボーカルグループ「TEPPAN」による昭和歌謡ライブに加え、夜空を彩る打ち上げ花火も予定。ライブ観覧は無料。さらにホテル上層階のレストランではCD付きの特別ディナープランも登場する。


樋屋奇応丸の倉庫から幻の音源発見!デューク・エイセスが歌う昭和のCMソングが高音質で蘇る

樋屋奇応丸の倉庫から幻の音源発見!デューク・エイセスが歌う昭和のCMソングが高音質で蘇る

「ひや・きおーがん」のフレーズで親しまれる樋屋製薬の社内倉庫から、長らく歌唱者不明だった過去のCMソング音源が発見された。調査の結果、昭和を代表するコーラスグループ「デューク・エイセス」による歌唱と判明。当時のクリアな歌声を再現した「高音質版」が公開され、昭和歌謡ファンを中心に大きな話題を呼んでいる。


福岡の食のテーマパーク「直方がんだ びっくり市」が50周年!大盛況で幕を閉じた「半世紀祭」をレポ

福岡の食のテーマパーク「直方がんだ びっくり市」が50周年!大盛況で幕を閉じた「半世紀祭」をレポ

1976年の創業から50周年を迎えた福岡県直方市の「直方がんだ びっくり市」にて、2026年4月17日から19日までアニバーサリーイベント「半世紀祭」が開催された。銘柄牛が50%OFFになる「肉袋」や名物セールの復活、地元ヒーローの参戦など、半世紀の感謝を込めた熱気あふれる3日間の模様を振り返る。


『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

アクションゲームの金字塔『メタルスラッグ』が2026年4月19日に誕生30周年を迎えた。株式会社SNKはこれを記念し、シリーズの再燃・リブートを掲げた記念プロジェクトを始動。新作ゲームの開発を含む多彩な企画の推進や、歴史を振り返る記念映像の公開、特設サイトの開設など、世界中のファンへ向けた展開が始まる。


山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

ソロ・デビュー50周年を迎えた音楽界のレジェンド・山下達郎とJOURNAL STANDARDが特別なコラボレーションを実現。1stアルバム『CIRCUS TOWN』収録の名曲「WINDY LADY」をテーマにしたTEEがリリースされる。音楽史に刻まれた名盤の空気感を纏える、ファン垂涎の記念アイテムが登場だ。