「赤ちゃん夜泣きで困ったな」のフレーズで、関西を中心に全国で世代を超えて親しまれてきた「樋屋奇応丸(ひやきおーがん)」。その製造販売を行う創業400年超の老舗、樋屋製薬株式会社(本社:大阪市北区)から、昭和の広告文化史に刻まれるべき驚きのニュースが届きました。
同社の社内倉庫に眠っていた古い録音テープから、かつてのCMソング音源が発見され、その歌唱者が昭和歌謡界の至宝であるボーカルグループ「デューク・エイセス」であったことが判明したのです。
400年の歴史が眠る倉庫からの「再発見」
樋屋製薬では、自社の歴史を次世代へつなぐ活動の一環として、社内に残る過去の資産の見直しを進めてきました。その過程で、長年「歌唱者不明」のまま保管されていた古い音源テープが精査されました。
以前から「この深みのある重厚なコーラスは、デューク・エイセスではないか?」という推測の声が社内でも上がっていましたが、今回発見されたテープに付随する資料や記載内容によって、正式に彼らの歌唱であることが確定しました。デューク・エイセスといえば、黒人霊歌から歌謡曲、CMソングまで幅広いレパートリーを持ち、日本のコーラス界を牽引したレジェンドです。今回の発見は、企業資産の再発見という枠を超え、戦後日本のサブカルチャー史においても貴重な資料の掘り起こしとなりました。
谷道夫氏も快諾!時を超えて響く高音質のハーモニー
今回の音源公開にあたり、樋屋製薬はデューク・エイセスのリーダーであった谷道夫氏へ連絡。谷氏からは音源の公開について快諾を得ただけでなく、当時の活動を振り返る温かいメッセージも寄せられました。
公開された音源は、発見された当時の録音テープを元に、最新の技術でノイズ除去などの補修を施した「高音質版」です。デューク・エイセス特有の、美しく重厚なハーモニーが、当時のままの鮮やかさで現代に蘇りました。
なお、作曲者については現時点でも依然として不明のままであり、同社は広く情報提供を呼びかけています。こうした「歴史のパズル」を埋めていくプロセスも、老舗企業ならではの文化的な取り組みといえるでしょう。
「育児に笑顔を。」変わらぬ想いを次世代へ
1622年(元和8年)の創業以来、一貫してお子様の健康を守り続けてきた樋屋製薬。主力製品である「樋屋奇応丸」は、夜泣き、かんむし、食欲不振などに悩む親子に寄り添ってきました。
今回のCMソング音源の公開は、単なる懐古趣味ではありません。過去に作られた質の高いコンテンツを磨き直し、現代のファンやかつての視聴者へ届けることで、ブランドの価値を再定義する試みです。
「いつの時代も子どもたちは最も大切な宝物である」という同社のモットーは、昭和のテレビから流れていた歌声にも、そして令和の今、デジタルの高音質で再生される音源にも、等しく込められています。
昭和レトロと企業の矜持
近年、昭和歌謡や当時のCMソングは、若い世代からも「シティ・ポップ」と同様に高い注目を集めています。職人芸ともいえるデューク・エイセスの完璧なコーラスワークは、今の時代に聴いても全く古びることのない、普遍的な音楽の力を感じさせます。
樋屋製薬は、今後もこうした過去資産の発掘を通じて、400年続くブランドの重みと魅力を発信していくとしています。今回公開された高音質版のCMソングは、公式ホームページやSNS等を通じて楽しむことができます。半世紀以上の時を経て、倉庫から解き放たれた「名コーラス」の響きに、ぜひ耳を傾けてみてください。