男!! 江夏豊 王との対決は三振かホームランかの直球、力勝負

男!! 江夏豊 王との対決は三振かホームランかの直球、力勝負

剛速球と芸術的コントロール、王貞治との力と力の真っ向勝負、奪三振記録を王貞治からとるためにほかのバッターはわざと打たせる、3回しか投げられないオールスターゲームでの9連続三振、自らのサヨナラホームランでノーヒットノーラン、日本初のリリーフエース、江夏の21球、優勝請負人、大リーグ挑戦などなど記録と武勇伝のオンパレード


野村克也

当初、江夏は阪神在籍のまま現役を終えるつもりだった
ホークスに移籍する気は全くなかった
南海の野村克也選手兼任監督に、
1975年10月1日の広島東洋カープ戦で
衣笠祥雄にカウント2-3から意図的に投じたボール球について
「あれはわざと放ったんだろう?」
と指摘され
その野球観に深い感銘を受け南海での現役続行を決意したという
1977年
移籍1年目
先発として登録されたが
血行障害や心臓疾患などで長いイニングを投げられず
思うような成績が残せなかった
しかし
変化球も含め
構えたミットに寸分違わずボールを投げ込む図抜けた制球力で周囲を驚かせた
中でも右打者の外角低めのボールは絶品だった

リリーフエース

野村監督はリリーフへ転向をすすめた
「50球程度の短い投球回なら十分に戦力になる」
「トレードの上、今度はリリーフ
何で自分ばかりに恥をかかせるのか」
「抑えの切り札として野球の革命児になってもらいたい」
こうして江夏はここから優勝請負人として球団を渡り歩くことになる
6月、リリーフ投手へ転向
この年19セーブ
最優秀救援投手に輝き
日本野球界におけるリリーフ投手のパイオニアとなる
そしてリリーフエース専任、江夏8連投、全試合ベンチ入りなどは野球革命といわれた
現在では江夏の残した功績がそのまま引き継がれ
抑えの切り札がしっかりしたチームが優勝するという図式が定着している
当時はリリーフ専門投手の調整法というものが日本には無かった
ずっとベンチに座って待機していると腰痛持ちの江夏には辛かった
知り合いの記者にメジャーリーグでのリリーフ投手の調整法などを聞き自己流の調整を始めた
試合が始まっても5回までベンチに入らず
ロッカールームでマッサージを受けたり睡眠を取った
当時はまだ非難を浴びたが
今日では全試合待機を義務付けられるリリーフ投手のコンディション維持法として定着している
阪神時代の豪腕投手は鳴りを潜め
打者の心理を読んで変化球を巧みに使い分ける技巧派投手として開眼した
金田正一を
「現役時代の自分を上回る」
と言わしめた
同年、
オフシーズンに入ると野村監督が解任が決まった
江夏は言った
「野村さんがやめる以上出してください」

広島東洋カープへ

江夏は広島へ移籍し
リリーフエースとして活躍した
2215試合連続試合出場の鉄人、衣笠祥雄は江夏豊の2年先輩で
2人は無二の親友としてグランド内ではもちろんよく遊びにもいった
「サチ(衣笠祥雄)は今でも野球を離れたところで男同士の付き合いができる
広島の3年間はよく野球の話もしたしお互いの悩みを聞いたしよく遊んだ
嫁さんといるよりサチといる方が長かった
ゴルフ、カラオケ、旅行など一緒によく遊んだ
小倉では高橋慶彦、サチ、福永トレーナーと夜の十時から、朝の七時まで延々とアリスの唄を歌い続けたこともあった
江夏が日本ハムに移籍した後、サチは湯布院の喫茶店でアリスの唄を聞いて、
「豊がおらん。豊がおらん」と言って泣いていたそうです」
思うように成績が振るわず先発を外れされたとき
衣笠は荒れに荒れた
手当たりしだいにものをぶっ飛ばした
しかし江夏は一晩中一緒にいたという
「ぼくはあの時からいっそう仲良くなったと思う
あそこで初めて彼の弱いところを見てしまったけど、
弱みを見せるということはそれだけ僕を信頼しているのだなと思った」

江夏の21球

近鉄バファローズとの日本シリーズ最終の第7戦
7回裏から江夏はマウンドに立った
9回裏、
広島1点リード
近鉄の攻撃
ヒット、盗塁、エラーで無死三塁
四球、敬遠で無死満塁
代打:佐々木を三振で一死
次の打者は石渡
1球目
石渡の見逃し方と一塁走者の眼の動きからスクイズを見抜く
2球目
カーブの握りでわざと投球動作を遅らせ
打者の動きを見ながらカーブを外角高めに大きく外す
石渡はスクイズを空振り
三塁走者はタッチアウト
二死
その後、石渡が三振し
広島の日本一が決定
9回だけで21球を投げた江夏は胴上げ投手となった
これが後に作家:山際淳司が短編ノンフィクション
『江夏の21球』
に記したプロ野球史屈指の名場面である
9勝5敗22セーブ
防御率2.66
自身初、日本のリリーフ投手初となるシーズンMVP

2年連続日本一

1980年
広島の2年連続日本一に大きく貢献し
また大野豊に熱心な個人指導も行い、
後の大野の成長の礎を作り上げた
そしてオフシーズンに
高橋直樹とのトレードで大沢啓二監督率いる日本ハムファイターズへ移籍が決まった
20勝エースとリリーフエースとの大型トレードだった

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