ヤクルト投手陣と日本プロ野球を救った男・古田敦也の凄さ

ヤクルト投手陣と日本プロ野球を救った男・古田敦也の凄さ

ヤクルト一筋で数々の記録を打ち立て、2004年に起こった「プロ野球再編問題」の際に選手会会長としてグラウンド外でも奮闘。2005年~2007年まで選手兼任監督を務めた名捕手、古田敦也選手の成績を改めて振り返ります。


○頭脳も明晰

甲子園出場経験はなく、全国的に無名の存在だった古田選手は兵庫県の川西明峰高校から、立命館大学に進学。この際、野球推薦ではなく難関私立大学としてよく知られる同大学に一般入試で合格する事が示す通り成績も優秀だった事がうかがえます。

この時の受験勉強がきっかけで、もともと悪かった視力がさらに悪くなり、大学入学後眼鏡をかけるようになったといいます。この「眼鏡をかけたキャッチャー」という事がその後、プロ入りの壁となってくるのです。

大学入学後、関西学生リーグでベストナイン4度に選出。
3年生時にはチームを関西学生リーグ戦春季・秋季連続優勝に導く活躍。
4年生時には大学野球日本代表のメンバーに選出される…など数々の実績を残した古田選手。そのため、プロ入りは濃厚と思われ、ドラフト会議当日には会見用のひな壇が設けられていましたが、結局どの球団からも指名はありませんでした。

○アマチュアで成績を残すものの…

銀メダルをかける古田選手と野茂選手

その後入社した、社会人野球の強豪・トヨタ自動車で1年目から正捕手として活躍。
更に日本代表として1988年のソウルオリンピックの野球で銀メダルを獲得。
※当時野球は公開競技で選手は全員アマチュア
※チームメイトに、野村謙二郎、渡辺智男、潮崎哲也、野茂英雄ら錚々たるメンバーがいました。

入団時の古田選手

この翌年のドラフト会議でヤクルトスワローズに入団。
就任1年目の野村克也監督の下でプロ野球選手としてスタートを切ることになるのです。

○入団1年目から叩き込まれた「野村の教え」

古田選手入団当時のヤクルトの正捕手を務めていたのは強打でならした、秦真司選手でした。ですが、野村監督の目には秦選手は物足りなく映ったのでしょうか、開幕スタメンは秦選手だったものの、徐々に古田選手が出場機会を得ていきます。
(秦選手はその後、打力と強肩を生かすため外野へコンバート)

野村監督と

よく知られている事ですが、野村監督は試合中ずっと、古田選手を隣に座らせて配球について勉強させます。そのかいあってか、古田選手は入団一年目からゴールデングラブ賞を受賞。更に、リーグ1位の盗塁阻止率.527(29盗塁刺殺)を記録します。

○「目をつぶってください」と言われた打撃が…

プロ入り前から肩の強さには定評があった古田選手。
1年目は106試合に出場して.250とその評価の域を出ないものだったですが、1年間ずっと野村監督から配球の何たるかを教え込まれたことを、打席でも応用。
2年目から打撃を開花させ、落合博満との競り合いの末に打率.340で首位打者を獲得するのです。守備の負担が大きい捕手が首位打者を獲得したのは、恩師の野村克也以来26年ぶりの2人目、セリーグでは初の快挙でした。

入団前は「目をつぶって下さい」と言われた古田選手の打撃が「目を見張る」ほどに進化したのです。

○ヤクルトの黄金時代を支える

14年振りの優勝

古田選手が初めてリーグ優勝を経験したのが、入団3年目の1992年シーズン。
投手陣にけが人が続出するものの、その苦しい投手陣を古田選手のリードで引っ張り、後半戦だけで30本塁を放つなど救世主的な活躍を見せたハウエル選手。9月末に1541日振りに復活登板した荒木選手らの活躍により、巨人・阪神との優勝争いを制して14年ぶりにリーグ優勝。日本シリーズでは、当時常勝を誇っていた西武に3勝4敗で敗れます。

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