日本映画『転校生』について
1982年に山中恒の児童文学『おれがあいつであいつがおれで』を最初に映画化した作品。
2007年には舞台を長野県に変更し、リメイク版が制作された。

おれがあいつであいつがおれで (山中恒よみもの文庫)
各所で流れた「予告編」がおもしろく、かつ衝撃的でしたね
TVや映画館で流れる予告編。様々なシーンで盛り上がりましたが、特に小林聡美の入浴シーンが学校で話題になる程衝撃的(刺激的?)だったのを覚えています。
有名な尾道ロケ作品
この作品はほぼ全編を通して尾道で撮影されました。のどかで自然あふれる街並みと2人のドタバタ具合が微妙なさじ加減でマッチしており、観る者の心を掴んだと言われています。
また、作中で2人が転がり落ちた階段は観光名所にもなりました。
主なキャスト

転校生+オンザロード
斉藤一夫/尾美としのり
幼稚園の頃仲良かったということもあり作中では、一美から「一夫ちゃん」と呼ばれている。趣味は8ミリ映画で風景などを自分で撮影して鑑賞すること。日常的に正昭たちと悪ふざけをしたり、いたずらっ子な男子中学生。
斉藤一美/小林聡美
神戸から転校してきたが、幼少の頃は尾道に住んでいた。7月12日生まれ。クラスのみんなの前で幼稚園時代の一夫がおねしょをしたことなどプライベートなことを話してしまう。成績優秀だが、カナヅチで泳げない。

斉藤明夫/佐藤允
一夫の父。
職場での仕事ぶりが評価されて一家で横浜に引っ越すことになった。
斉藤直子/樹木希林
一夫の母。
一夫の様子がおかしくなったと感じた原因は、一美が転校してきてからだと信じ、よく思わなくなった。入れ替わった直後、一美から入れ替わったことを説明されたが、まともに取り合わなかった。昔ながらの妻らしく、夫に敬語を使って話したり夫を立てている。
斉藤千恵/入江若葉
一美の母。
娘の中身が入れ替わってるとは知らず、言動が男の子みたいになったので作中では「もっと女の子らしくしなさい!!」などとよく注意している。直子とは対照的に都会的な主婦。焼きおにぎりが得意らしく、作中では一美から「遠足とかでよく作ってくれたの」と言われており何度か作っている。
大野光子/志穂美悦子
一美と一夫のクラス担任。数学担当。快活で朗らか、さばさばした性格の女性。生徒たちが取っ組み合いのケンカをしていると身を挺して仲裁するなど度胸がある。
ストーリー

挨拶をする転校生の斉藤一美
p18197志穂美悦子大林宣彦『転校生』スチル - ヤフオク!
ある日、一夫のクラスに「斉藤一美」という名の、ちょっとキュートな少女が転校して来た。
その日の帰り道のことだった、一夫はつきまとってくる一美をめがけて空き缶を蹴飛ばし、それに驚いた一美は階段から落ちそうになった。
一夫は落ちそうになっている一美を押さえようと抱き付くがそのまま転げ落ちてしまった…

御袖天満宮
しばらく経って、二人は意識を取り戻し、それぞれ家に帰ろうとするとお互いの身体が入れ替わっていることに気づき愕然となった。
一美は男の子の体になってしまったことで泣き出したが、ひとまずお互いの家族、友人たちの中で生活を始めた。

2人は徐々に惹かれ合っていった…
やがて一夫が父の転勤の都合で横浜に引っ越すことになったが、未だに元の体に戻っていない2人は絶望的になり、一美は自殺を考えるほど追い込まれてしまった。
そして物語はエンディングへ
動き出すトラックの助手席から追ってくる一美を8ミリで撮る一夫。
「サヨナラ、オレ」
「サヨナラ、あたし!」
実はお蔵入りになっていたかもしれない作品
この映画を製作した大林宣彦監督はもともとCMディレクターとして活躍していて、映画界へ転身してきました。今回の『転校生』は映画監督として6作品目でしたが、キャリアとしてはさほどの実績がないとの評価から一度は製作が決まったものの、製作費を出資してくれることになっていたサンリオが「男女の身体が入れ替わる」というアイディアをいかがわしいとして、撮影2週間前に出資を取りやめると言いだし一度は映画製作自体が頓挫しかけました。幸い新しい出資者が現れ、無事に製作することができ、こうしてこの日本映画『転校生』が完成したのです。

大林宜彦監督
当時は歓迎されなかった尾道ロケ
「さびしんぼう」や「時をかける少女」等でその後も続く尾道ロケ作品ですが、実はこの転校生が完成した当初は、尾道ロケの評判はあまり良くなかったのです。
転校生 (映画) - Wikipedia
また、前述の通りスポンサーが降りた状態であったため予算もなく、撮影にも四苦八苦していたのです。
今ではそれもいい思い出となっているようで・・・
転校生のロケ地を紹介
まとめ
ふとしたはずみで身体が他人と入れ替わってしまうという設定は、今ではありふれたアイディアでハリウッド映画などでも使われる題材ですが、この『転校生』が製作された当時は斬新でした。もっともそれが原因で一時は映画製作自体が危ぶまれたこともありましたが。大林宣彦監督作品に良く出てくる俳優の一人である尾美としのりと小林聡美が思春期真っ只中の男の子と女の子の心情を上手く演じていて好感のもてる作品です。