「ラコステ」と「クロコダイル」、ワニのロゴに違いはあるの?
小学生の頃によく履いていた靴下やハンカチのワンポイント、そしてお父さんが着ていたポロシャツなどで慣れ親しんだワニのロゴ。
「ラコステ」と「クロコダイル」の2種類あるけど一緒なのか、兄弟ブランドなのか、全く違うブランドなのか、わからないままの人も多いはず。
そこで、両ブランドの違いや長年に渡る因縁について紹介します。
実は「ラコステ」と「クロコダイル」は全く別のブランド。
ともにワニのロゴデザインでお馴染みだが、全く異なるブランドである。
ワニの頭の向きも異なっており、ラコステは右向き、クロコダイルは左向きと逆になっている。
「ラコステ」と「クロコダイル」のロゴ比較
「ラコステ」と「クロコダイル」のロゴ比較②
『ラコステ』のブランドヒストリー
1933年、フランス出身の元プロテニス選手、ルネ・ラコステが創業。
ブランドのトレードマークでもあるワニは、ルネ・ラコステの粘り強いプレースタイルからつけられたニックネーム「ワニ」(The Alligator, または Crocodile)に由来している。
ルネ・ラコステ(René Lacoste)
ロゴの基になったイラスト
ポロシャツが代表的な商品。
それまで服の内側やタグに隠されていたブランドロゴをラコステがはじめて服の表に出したと言われている。
テニスラケットを生産していた時期もあったが、現在はテニス・ゴルフなどスポーツウェアを中心としたアパレルに特化している。
『クロコダイル』のブランドヒストリー
ラコステの創業より20年ほど後の1952年に、香港のクロコダイルガーメンツ社が立ち上げたブランドが「クロコダイル」。
日本国内での展開としては、ヤマトインターナショナルが1963年に輸入する形で販売を開始。
ブランドの歴史では「ラコステ」より後発になるが、「ラコステ」が日本に上陸したのが1971年のため、日本においては「クロコダイル」が先に販売されていたことになる。
1980年にヤマトインターナショナルは日本におけるクロコダイルの商標を買い取り、輸入販売から自社ブランドへ切り替えている。
日米のプロゴルファーや阪神タイガース球団、巨人の中畑清とイメージキャラクター契約を行い、テレビCMや雑誌広告などの積極的プロモーションによって全国的にブランド知名度を高めていった。
中畑清のクロコダイル販促ポスター
パクリだ!いや違う!長年に渡る両社の『ワニ戦争』
商標権を侵害しているとして、ラコステ側がクロコダイル側を訴え、長年各国の法廷で争われ「ワニ戦争」と言われている。
日本においては、高等裁判所において「両者の関連する標示は共存しており混同を起こさない。」と和解に達し、1983年に和解契約を締結した。
フィリピンにおいては、2014年に「対象は安価な日用品や家庭用品ではなく慎重に購入する商品である、さらに文字と図形が組み合わされているため、購入者に混同を招くとは言えない。」とクロコダイルの商標登録に対するラコステ社の異議申立を退けた。
中国においては、共に高い人気と知名度があり、 『ラコステ=フランスワニ』、『クロコダイル=香港ワニ』と全く別のブランドとして認識されているため、混同することはないという理由で何度もラコステ側が敗訴していた。
しかしラコステ側が何度も訴え続けた結果、2003年10月23日、クロコダイル側が従来のロゴの使用をやめ、ワニの色に緑色を使わず、ワニの鱗を細かくリアルに描かれたものに変更することで和解した。
中国での「クロコダイル」デザイン
ワニのロゴについては「ラコステ」と「クロコダイル」の両者以外にも展開している例があり、今後は共同して他社をけん制していく可能性があるとのこと。