フォルクス、ウェンディーズ、らんぷ亭…ダイエーグループだった飲食店たち

フォルクス、ウェンディーズ、らんぷ亭…ダイエーグループだった飲食店たち

かつて日本有数の企業集団であったダイエーグループ。その中で外食チェーンであったフォルクス、ウェンディーズ、ビッグボーイ、らんぷ亭などの過去と現在。そしてなぜダイエーは牛肉関係の外食店が多かったのかについて紹介。


英国風パブ HUB | 82ALE HOUSE

その他、ダイエーグループの飲食店

上記に上げた外食チェーン以外では、弁当チェーン店として『ほっかほっか亭』がある。
提携により、1999年4月まで関東地方を始めとした東日本で展開していた。

また、クレープ店の『ディッパーダン』と、ハンバーガーチェーン店『ドムドムハンバーガー』は現在もダイエーグループ内に存続している。

クレープとジェラートの店。
ダイエーのフードコートを中心に店舗が存在し、イオングループ入り後はイオン、イオンモールにも出店している。
 アメリカ合衆国イリノイ州のシカゴに存在したアイスクリームチェーン「スイフトディッパーダン社」と提携して1972年12月に1号店を東京都中央区八重洲に開いた。

ディッパーダン(Dipper Dan)

ダイエーが米マクドナルドとの交渉決裂により独自に展開した日本初のハンバーガーチェーン。
ダイエー、グルメシティ、イオンなど商業施設のフードコートや、かつてダイエーグループであったマルエツなどへ全盛期には400店舗出店していた。

ドムドムハンバーガー(DOMDOM)

【ドムドムハンバーガー】全盛期は400店舗を誇ったダイエーグループの「ドムドムハンバーガー」!日本初のハンバーガーチェーンを応援しよう!! - Middle Edge(ミドルエッジ)

「懐かしい!」と話題の【ドムドムハンバーガー】に行ってみた

なぜ、ダイエーグループは牛肉の飲食店ばかりだったのか?

「日本人に肉を腹いっぱい食わせたい!」

ステーキ、ハンバーグ、ローストビーフ、ハンバーガー。
ダイエーグループの飲食店はHUBなど一部を除き牛肉をメインに提供していた。

これはダイエー創業者、中内功の戦争体験にあったと言われている。
太平洋戦争のフィリピン戦線へ通信兵として出征した中内は苛烈な飢餓体験を味わっている。
ジャングルの中で蛭を食べてみたり、靴の裏を噛んだことすらあったという。
あまりの食料不足に人肉食いの噂がつきまとうような環境だった。

また、敵の手榴弾により死を覚悟したとき、神戸の実家で家族そろってすき焼きを食べている風景が頭の中に浮かび「ああ、もう一回、腹いっぱいすき焼きを食べたい・・・」と強く願ったという。

九死に一生を得て復員した中内は、戦後アメリカで見た牛肉を安くたくさん食べられる文化にショックを受ける。
そして、「自分の手で日本人を腹いっぱい食べさせなきゃあかん」と考えるようになった。

規制を回避するための裏技から生まれた牛肉の多業態展開

価格破壊を身上としたダイエーは、当時高嶺の花であった牛肉を主婦が気軽に買える値段にしようと考え、利益度外視で通常店舗の半値近くで販売する。

あまりの好評に売るための肉が足りなくなったが、当時は規制により輸入肉を販売することはできなかった。
そこで中内は、返還前の沖縄からの輸入には関税がかからないことに目をつけて、安価なオーストラリア産の子牛を沖縄に運び、6ヶ月間飼育した後、国内に輸入する方法を考えついた。

牛一頭を解体し、まずはすき焼き用の肉などを取り出し、スーパーのダイエーで販売する。
そして、スーパーでは高くて買ってもらえないステーキ用のヒレ肉のためにステーキハウス「フォルクス」を立ち上げる。
さらに、骨まわりの中落ち肉を有効活用するためにハンバーグレストランの「ビッグボーイ」を展開。
こうして、ダイエーは牛肉の多業態チェーンを拡大してくことになった。

お肉を腹いっぱい食べれることに感謝。

こうして日本に牛肉を安くたくさん食べられる習慣に貢献した中内だが、亡くなるまで「腹いっぱい食え」が口癖だったとという。
(2005年没、享年83。)

飽食の時代に育った我々の世代には想像もできない経験と志、そして工夫によって日本に根差した牛肉文化。
かつてダイエー傘下であった飲食店を利用する際には、こんな歴史に感謝しながら「腹いっぱい」頂きたいと思う。

中内功(なかうち・いさお)
※「中内功」の「功」の字は、正しくは「エ」に「刀」。
ダイエー創業者。戦後、ダイエー創業から約15年で百貨店の三越を抜き小売業売上高一位となり、1980年には日本の小売業として初の売上高一兆円を達成。
価格破壊を起こし、日本の小売業の発展を後押しし、カリスマ経営者と呼ばれた。

流通王と呼ばれた故・中内功

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