1980年代の『大映ドラマ』の最盛期(1983年~89年)第一弾4選:スクール☆ウォーズ・ヤヌスの鏡・スチュワーデス物語・少女に何が起ったか

1980年代の『大映ドラマ』の最盛期(1983年~89年)第一弾4選:スクール☆ウォーズ・ヤヌスの鏡・スチュワーデス物語・少女に何が起ったか

極端なキャラクター設定、時代錯誤的なくさい演技や名言のオンパレードの大映ドラマはまさに昭和ドラマの最高傑作です。その中でも特に人気のスクール☆ウォーズ・ヤヌスの鏡・スチュワーデス物語・少女に何が起ったかの4作品を振り返ってみましょう。


東 涼子(あずま りょうこ)
演 - 大沢逸美
野獣会会長。生まれてすぐに東京駅のコインロッカーに捨てられ、天涯孤独で養護施設で育ったためユミを他人と思えず、妹分のような目で見ているが、ユミの罠にはまり裏切られてしまう。ユミへの復讐を誓い、鑑別所から脱走する。

東涼子(演:大沢逸美)

堤邦彦(演:山下真司)は常に裕美とユミを温かく見守る

堤 邦彦(つつみ くにひこ)
演 - 山下真司
裕美たちが在籍する2年C組担任で、国語教師。裕美とユミが同一人物であるということに最初に気付くが、常に裕美とユミを温かく見守る。不良たちにどれだけリンチされようが絶対に手をあげない為、生徒たちからは腰抜けと揶揄され、ユミからも軽蔑されるが、その理由は邦彦の過去に原因があった。

堤邦彦(演:山下真司) ユミには「先公」と呼ばれる。実はユミ以上に合気道の達人なのでめちゃくちゃ強い。

堤「魂を熱く満たすものを祈るように求めている女の子なんだ。ユミ、君と小沢は生涯出会うことは出来ないんだ。それはな、ユミ。君が小沢裕美だからなんだ。

君も心の何処かで気付いているはずだ。
君は、小沢裕美の夢が生んだもう1人の人間、もう1つの人格なんだ。
だから、君と小沢は生涯出会うことは出来ないんだ。
だけどな、君と小沢の心を一つに重ね合わせることは出来る。
先生はそう思ってるんだ」

堤「ユミ、君は小沢裕美を知ってるな。 小沢はな、いつも自由を求めて悩んでる女の子だ。」

ユミ「先公、あたしの負けだ。あたしを抱きな」

ユミ「先公、邪魔すんな。あたしの自由を縛る奴はぶち殺す」

別人格の魔少女・大沼ユミが生まれた原因:裕美は物心付いた頃から初江の折檻・言葉の暴力による洗脳を受けていた

自分の父親と母親の人格認識も「ひどい母親、ひどい父親」という偽りの洗脳をされていた。

初江「お前の父は、お前の母を殺した冷酷な男だ。 恨んで、恨んで、恨み殺せ。 お前の父は、お前を捨てた薄情な男だ。 憎みなさい。 憎んで、憎んで、憎み殺せ」

間違ったり怠けたりすると、容赦無い叱責と折檻が待っていた。
いつでも何処でも祖母の目が光っている。
息苦しい重圧を感じながら、裕美はずっといい子を演じてきた。
逃げ出したい気持ちで一杯だった。

裕美は物心付いた頃から、祖母によって厳しく躾けられて来た。

そんな中、裕美は自分の体に異変が起きていることに気が付いた。時々意識が飛んでいる。いつの間にか、自分が知らない場所にいる。何をしていたのか全然覚えていない。そんなことが頻繁に起きるようになっていた。

意識が飛ぶ切掛は3つある。
打たれること、鼻を突くニオイ、硝子や陶器が割れる音、どれも祖母の折檻を連想させるものだ。

折檻の時、祖母は決まって母親を引き合いに出した。
「裕美、お前には母親の淫らな血が流れているのです。お婆ちゃまの諫めにも耳を貸さず、平気で街の不良共と交際し、挙句の果てにはその不良の子を宿すような淫らな血が流れているのです。お前は母親を真似て淫らな女になりたいのか?」
祖母の声が今でも頭の中にこだまする。

裕美は幼少期から祖母に警策で打たれ、 お香の立ち込める仏間で説教を受け、 何かの拍子で器を割ると厳しく叱責されて来た。

裕美「お父さん…ありがとう。でも、一つだけ教えて。あなたは、お母さんをどうして捨てたりしたの?」

河本 達之(かわもと たつゆき)
演 - 高橋悦史
銀座の宝石店「貴譚」の社長で達郎の父。由紀子を捨てた裕美の実父。17年前、由紀子と現在の妻・美穂子と同時交際していたが、初江に小沢家の財産目当ての野良犬だと罵られて、男としてのプライドを傷つけられ、小沢家の当主になるより銀座の宝石店の主人になる道を選んだ。

河本「裕美は、私の娘だ」

学生時代、河本は由紀子と真剣に愛し合っていた。決していい加減な気持ちで付き合っていた訳ではない。本気で結婚を決断した河本は、両親を伴って由紀子の実家へ挨拶に行った。

応対に出た由紀子の母・初江は、河本を悪し様に罵った。

初江「由紀子を嫁に欲しいですと?財産目当ての野良犬に、小沢家の大切な一人娘を嫁にやって溜まるものですか。厚かましいにも程がある」

未だ若く自尊心の高かった河本は、これを受け流すことなど出来なかった。
河本「財産目当ての野良犬?ふざけるな!」
啖呵を切って小沢家を飛び出し、金輪際由紀子になど会うものかと心に決めた。
その後由紀子が自殺したと聞いても、娘の存在を認めることが出来なかった。
意地を張り続けて、年月だけが経っていたのだった。
河本「許して欲しい。今の私にはこれしか言えない」

裕美は自分の意思でユミであることを止めることが出来た(裕美の人格とユミの人格が融合し、裕美の人格に統合された)

裕美はそう言って一同に頭を下げると、身を起こした初江に向き直った。
裕美は、初江にこれ迄の経緯を説明した。
自分が自分から消えていくという経験を何度も繰り返したこと。
意識が飛んでいる間に、自分が大沼ユミという別人になっていたこと。
ユミになった自分が数々の犯罪に手を染めてきたこと。
ユミがどうしてそんなに暴れ回るのかその理由が知りたいこと。

裕美「御心配をお掛けしました」

裕美「私考えました。まず真っ先に浮かぶのは、私がお婆ちゃまに受けた折檻でした。
折檻の中でも特に辛かったのは、私の産みの母に対する憎しみの言葉を浴びせられた時でした。
母を罵られると、私の体は痺れて感覚がなくなっていました。
母の淫らな血が私にも流れていると思うと、それだけで私は生きていく勇気を失いました。
人を愛することも、愛されることも出来ないんだと思って、何度泣き明かしたか判りません。
私の母の姿を、ありのまま話して下さい」

初江は、裕美の産みの母・由紀子(杉浦幸・二役)をとても大切にしていた。世界に誇る一流の女性にしたいと、幼少期から英才教育を施してきた。そんな中、未だ女子高生だった由紀子の妊娠が発覚した。
親心を踏み躙られたと感じた初江は、由紀子を叱り飛ばした。

「この子は、この子は。何処の馬の骨とも判らぬ不良の子など身籠りおって。恥を知りなさい、恥を。いいですか、由紀子。お母様は決してその子を産むことは許しません。許すものですか」

初江がどんなに反対しても、由紀子の決意は崩れなかった。愛する人の子を産みたい。どうしても産みたい。その一心だった。

由紀子は家を飛び出し、一人赤子を産み落とした。それが裕美だった。
何とか出産には漕ぎ着けたが、だからと言って頼れる人がいる訳でもない。親には勘当され、恋人にも逃げられてしまった。由紀子は、緑児を抱いて夜の街を彷徨うしかなかった。この噂を耳にした初江は、手をつくして由紀子を探し出した。

初江が対面に行くと、由紀子は赤子を見せて母に訴えた。
「お母様、女の子が産まれました。この子を見れば、きっとあの人は戻ってくれる筈です。だって…だって、こんなに可愛い赤ちゃんなんですもの」
この期に及んで、由紀子は未だ河本に夢を見ていた。呆れ果てた初江は、由紀子を詰った。
「ああ、汚らわしい。その子は罪の子です。そんな子を小沢家の孫と認められるものか。死になさい。その子と一緒に死になさい、この面汚し。罪の子を産んだお前に生きる資格などあるものか。死になさい。
その子と共に死んでおしまい!」

由紀子はショックだった。我が子を宝だと思っていた。
なのに、母にここまで強い嫌悪感を露わにされるとは思ってもみなかった。
全てを否定された由紀子に、もはや生きる気力は湧いて来なかった。
由紀子は、書置を残して入水自殺した。
「お母様、赤ちゃんだけは助けてください」

由紀子の死の真相を告白した初江は、裕美の手を取った。

初江「裕美、あなたのお母様の由紀子は人を愛することに直向な純真な女でした。
このお婆ちゃまが小沢家の名誉や体面に拘り、あなたのお母様の由紀子を殺してしまったのです。
許しておくれ、裕美。
お婆ちゃまは由紀子への憎しみをあなたにぶつけていたのですね。
もう少しでお婆ちゃまは、あなたを由紀子と同じ運命に追い込むところでした。
許して下さい」

初江「死にたくない…生きたい…生きていたい」

断末魔の悲鳴を上げ、藻掻き苦しんだ末に初江はガクリと事切れてしまった。
祖母の死を目の当たりにした裕美は、泣きながら部屋を飛び出して行った。

涼子と堤は、裕美を追い掛けて行った。
暫く走ったところで、裕美が立ち止まって後ろを振り向いた。

またしても、裕美はユミになっていた。

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