愛と青春の旅立ち

ストーリー 《Moviewalkerより転記》

ワシントン州、シアトル。その日の朝、ザック・メイオ(リチャード・ギア)は、全裸で寝ている父バイロンと娼婦を見ながら、少年時代を思い出していた。海軍の兵曹だった父の不実をなじって母は彼が13歳の時に自殺。ザックは父の駐屯地であるフィリピンにゆき、悲惨な思春期をすごしたのだ。目覚めた父に、彼は子供の頃からの夢だったパイロットになるため、海軍航空士官養成学校に入ると告げると、父は軍隊なんかに入って苦労するのは馬鹿げたことだという。

彼の決意は固く、シアトルの近くにあるレーニエ基地内の学校に入学する。彼を含め34人の士官候補生を待っていたのは訓練教官の黒人軍曹フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)のしごきであった。

34名の中にはケーシー(ルイス・アイルバッチャー)のような女性もいた。女性を除いて皆丸坊主にされ、ザックはオクラホマ出身の純朴青年シド(デイヴィッド・キース)、妻子持ちの黒人ペリーマンと同じ部屋を割り当てられた。13週に及ぶ過酷な訓練が始まった。

フォーリーは皆を徹底して罵倒し、ザックはメイオではなくメイヨネーズとののしられる。


週がすぎ、候補生は市民との懇親パーティーに出席することが許された。フォーリーは「娘たちは士官候補生をひっかけようと狙っているから注意しろ」という。ザックとシドは、パーティーでポーラ(デブラ・ウィンガー)とリネット(リサ・ブロント)と知りあう。彼女らは製紙工場の女工だった。そして何となくザツクとポーラ、シドとリネットのカップルが出来あがった。

週末になると2組のカップルはデートした。ポーラはザックの内面の屈折した影が気になりながら、彼を愛するようになる。

フォーリーは、仲間と溶けあおうとしないザックを特別しごきにしごき、任意除隊(DOR)を申請せよと迫る。

ついに、極限状態に達したザックは「ここ以外に行くところがない」と叫ぶ。それを境にザックは、チームの一員として行動するようになつた。

日曜日、ポーラの家に招かれたザックは、彼女の父も士官候補生だったことを聞かされる。ポーラも士官候補生をひっかけ、あわよくば玉の輿を狙っているのかも知れぬと思うザック。ザックは翌日、ポーラがかけてきた電話に出ようとしなかつた。


一方、シドはリサから妊娠したと聞かされると、DORを申請。結婚指輪を持ってリサの所へかけつけた。だが、彼女は士官としか結婚しないという。

ショックを受けたシドは、モテルに行き、自殺する。

シドのDORを受けつけたフォーリーに、ザックは挑戦。2人は凄絶な闘いをくり広げた。

やがて、卒業式の日が来た。


少尉に任官したかつての候補生1人1人に敬礼するフォーリー軍曹。「君のことは忘れない」と言うザック。

彼は製紙工場に入り込むとポーラを抱きあげる。背後で拍手するリサ、ポーラの母親ら。
キャスト

ザック・メイヨ/リチャード・ギア

ポーラ・ポリフキ デブラ/ウィンガー

エミール・フォーリー軍曹/ルイス・ゴセット・ジュニア

シド・ウォーリー/デヴィッド・キース

バイロン・メイヨ/ロバート・ロッジア

リネット・ポメロイ/リサ・ブロント

ケイシー・シーガー/リサ・アイルバッハー

デラ・セラ/トニー・プラナ

ライオネル・ペリマン/ハロルド・シルベスター

トッパー・ダニエルス/デヴィッド・カルーソ
物語の時代背景
1980年代 その前後、アメリカ経済は景気停滞と景気低迷の真っ只中にいました。
明日も見えない生活の中で、町の女工たちは安定した『海軍士官の妻』という玉の輿を夢見て、毎夜パーティーに繰り出します。
主人公のザック自身も、父と暮らす底辺の生活から抜け出すために、血反吐を吐くような訓練の『海軍士官学校』に飛び込みます。ザックの「ここ以外行く所がないんだ!」という言葉は、ほかの士官たちにもどこか共通するように感じます。
そして、そんなギリギリの中で張り詰めた精神が、プッツリ切れて起こってしまったシドの死…
この物語の底辺には、そんな時代の若者の苦悩が敷き詰められている様な気がします。
ラストにポーラを迎えにいって抱き上げるザック。その姿にそれまでの胸のつかえが取れたように、ほっと安心したのは、きっと私だけではないことと思います。
