
七瀬の出会った超能力者たち
「七瀬ふたたび」とはどんなドラマ?
登場人物紹介

主な登場人物
多岐川裕美は、この少年ドラマシリーズ以前に、TBSで放送された「芝生は緑」というドラマでも七瀬を演じています。こちらは七瀬シリーズとも呼ばれるうちの「家族八景」が原作です。
書店で偶然「七瀬ふたたび」を見つけて、その隣にあった「家族八景」と「エディプスの恋人」とともに、夢中になって読んだものです。
現代のように、パソコンやインターネットなどもなく、情報が少なかったとはいえ、こんなに面白い本を知らなかったなんて、本当に何も知らない高校生でした。

第1話の画像
「七瀬ふたたび」の映像
「七瀬ふたたび」は、毎日18時から約30分の放送でした。CMが入らないので、民放の番組の1時間ものに近い密度だったと思います。そして何より、毎日の放送なので、毎日楽しめます。この辺りは、朝ドラの感覚に近いものがありますね。
小学生のころは、朝ドラは登校時間があったので見られなくても、夕方の少年ドラマシリーズは毎日見ることができました。中学生になり、部活動が始まって、18時に帰宅するのが難しくなったことで、何年かは遠ざかることになりますが、「七瀬ふたたび」が放送されたこの時期は、また毎日見ることができるようになっていました。
収録されたマスターテープは高価なため、上書きされて使われていたというのは有名な話ですが、視聴者が録画していたビデオがあり、また見ることができるようになりました。
NHKの「みのがしなつかし」のサイトで、3分ほどのダイジェスト映像を見ることができます。
このころは、家庭用のビデオレコーダーなど、まだまだ高嶺の花で、今のように気軽に録画できる日が来るなんて、想像もできませんでした。SFの世界のようです。
「七瀬ふたたび」のあらすじ
お手伝いさんという存在
七瀬は初め、お手伝いさんとしていろいろな家庭で働きます。お手伝いさんという存在は、昭和の頃にはよく登場しましたが、最近では家政婦という呼び方のほうがしっくりくるようです。
お手伝いさんのイメージとしては、長年使えているおばあさん、または最近働き始めた若い女の子という設定が多く、脇役としてあまり目立たないものです。多岐川裕美演じる七瀬のようなお手伝いさんは、あまりにも美しすぎて、雇っている側も心穏やかではいられないだろうと思います。
男性はいろいろ妄想してしまうだろうし、奥様達はそういう夫や息子を見て嫉妬するだろうし。小説の中でもその美しさと「テレパス」の能力のせいで様々なトラブルがあり、勤め先を転々とするようになります。そして「七瀬ふたたび」の冒頭の列車のシーンにつながっていくのです。

DVDのパッケージ画像
超能力者たちとの出会い
この列車の中で、七瀬と同じテレパスの能力を持つ「ノリオ」と、予知能力を持つ「岩淵恒夫」と出会うのですが、列車の事故を予知した岩淵と、そのイメージを読み取ってしまった七瀬とノリオが列車を降りることで、事故から逃れることができます。
ノリオと一緒に暮らすようになった七瀬は、その後念動力者のヘンリー、タイムトラベルができる藤子などと出会い、一緒に行動するようになります。

超能力者に理解のある記者、山村は高橋長英
高級バーのホステスをしたり、マカオのカジノで生活費を稼ぐという生活をしていますが、NHKの少年ドラマシリーズということもあり、そのあたりはドラマではあまり詳しく描かれていなかったと記憶しています。
人の心が読めるということは、ホステスとしてはかなり役立つ能力だといえますが、実際はどうなんでしょうか?下心ばかりが伝わってきて、つらかったのではないかと思います。
対決
ホステスとして働くことは危険と判断して、お店をやめてしまうのですが、マカオのカジノで勝ちすぎてしまったことで、超能力者の抹殺をもくろむ集団に狙われることになります。
ドラマの中での七瀬たちは、超能力者であることがばれないように、ひっそりと目立たないように暮らしていますが、常に誰かに追われているような、息をひそめているような、ドキドキ、ハラハラする気持ちで見ていたのは、私だけではないと思います。

追い詰められていく七瀬ら超能力者たち
追い詰められた七瀬たちは、敵と戦うことを決心しますが、戦いの中で次々と倒れていきます。最終的には七瀬も的に打たれてしまうのですが、ドラマの中でははっきりと死んでしまうシーンは出ていなかったように記憶しています。
超能力というものについて、それほどの知識はないのですが、超能力者は抹殺されるべきという考え方に対しては、何も知らなかった高校生の私でも疑問を持つものでした。
自分の心の中を読まれることには抵抗を感じますが、だから「抹殺しなければ」とは思えません。現代でいえば、世界的に問題になっている移民に対する感情などにも通じるものがあるかもしれません。
原作の紹介
原作は筒井康隆の「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」の七瀬三部作とも呼ばれる作品の中のひとつです。三作とも七瀬を軸にしていますが、イメージがすべて違っていて、戸惑うこともありましたが、作品の世界の中に無理やり引っ張られてしまうような力強さを感じました。
「家族八景」では18歳~20歳、「七瀬ふたたび」では20歳~22歳、そして「エディプスの恋人」ではその後の七瀬が描かれています。
原作者 筒井康隆
筒井康隆を知ったのは、この「七瀬ふたたび」がきっかけだったのですが、実は少年ドラマシリーズの第一作目の「タイムトラベラー」も筒井康隆の作品と知って、少し大げさに言うと運命のようなものを感じました。「時をかける少女」として何度も映像化されて、最近ではアニメにもなっていますね。
小学生のころに、やはりドキドキしながら見ていた「タイムトラベラー」、あれを書いた人だったんだ!という、点と点がつながったような気がしたものでした。
「七瀬ふたたび」ドラマ化の歴史
たびたびドラマ化されている「七瀬ふたたび」ですが、歴代の「七瀬」を一覧にしてみました。
こうしてみると、様々な女優さんがいろいろな「七瀬」を演じているのが分かりますね。

1979年 NHK少年ドラマシリーズ 多岐川裕美主演

1995年 木曜の怪談 水野真紀主演

1998年 テレビ東京ドラマシリーズ 渡辺由紀主演

2008年 NHKドラマ8 蓮佛美沙子主演

2010年 映画「七瀬ふたたび」 芦名星主演
中川翔子は監督もやっていたんですね。筒井康隆の大ファンって、なんとなく分かるような気がします。私も夢中になりましたから…。
七瀬がまた映像化されるときは、どんな役でも出演したいと話していた多岐川裕美。2度も七瀬を演じることで、七瀬への思いが強くなっていったのでしょうね。
ちなみに…

岩淵恒夫役 堀内正美
何度も「七瀬ふたたび」に出演したのは、多岐川裕美だけではありません。岩淵恒夫役の堀内正美は、2008年版の「七瀬ふたたび」にも、ジャーナリスト役で最終回に登場しました。

撮影の合間に藤子役の水野美紀と
七瀬ふたたび: ほりうちのココだけウルトラ話
時代を超えて、役柄は違っても同じ作品にかかわることができるというのは、感慨深いものがあるのでしょうね。見ている側も、改めて時の流れを感じてしまいます。
原作はたしか筒井康隆ですが、いわゆる筒井作品とは違った香気があって、大変、素晴しい作品だったと思います。もちろん主演の多岐川裕美も、無条件で素晴しい!
https://www.youtube.com/watch?v=oPFL9yq2tfU♪ 風信子(ヒヤシンス)どこへ / 深野義和 (七瀬ふたたびED) - YouTube
最後に
それぞれの時代に、それぞれの「七瀬」がいたのですね。ドラマと共に、ドラマを見ていた頃の自分を思い出して、より懐かしさを感じるのかもしれません。
私の中では多岐川裕美がベストなんですが、みなさんはどの七瀬が好きですか?