昭和の大女優、しかも美人。その方たちが歌う。それはyoutubeもビデオもなかった時代にはこの上なく嬉しいもので、スキップをしながらレコードを買ったものでした。
好きな時に美人女優の声が聴けるわけですからね。ジャケットもありがたかった。
しかし、女優ってアイドル系でもないかぎり美人であろうとなかろうと、あんまり歌わないんですよね。
が、それでも残っています。もう文化遺産といってもいい楽曲の数々です。
松坂慶子
昭和の大物女優のヒット曲として、もっとも知られている曲のひとつ。いえ、ナンバーワンかもしれない。昭和の時代を生きたものなら知らない筈はない!という1曲。それは松坂慶子の「愛の水中花」でしょう。
松坂慶子が「愛の水中花」でテレビに登場した時の衣装とスタイルの良さに魂を持っていかれたお父さんは数知れません。
「愛の水中花」は1979年7月1日に発売された2枚目のシングルで、彼女が主演した同名のドラマの主題歌だったこともありオリコン2位という大ヒットとなりました。
因みにこの曲の作詞は、ドラマの原作と同様に五木寛之が務めています。

ファーストアルバム -いま季節の中に
松坂慶子はシングルを10枚、アルバムを2枚出していて、「愛の水中花」はファーストアルバムに収録されています。
大原麗子
女優の歌がヒットするのは稀です。松坂慶子だって「愛の水中花」のヒットがなかったら歌っていることを知る人は少ないのではないかと思います。
大原麗子もそうです。ファンでないかぎり大原麗子は知っていても歌ってたことは知らないのじゃないですかね。

愛のつづれ織り
大原麗子は歌ってました。3枚のシングルとアルバムを1枚出しています。
1978年3月25日に発売された唯一のアルバム「愛のつづれ織り」には、りりィ、加藤和彦、加瀬邦彦、川口真といった実力派の作家が参加していて魅力的な作品となっています。
アルバムからシングルカットされた「さりげなく悪いやつ」。彼女にとって2枚目のシングルですが、甘くハスキーな歌声が最高ですね。
役柄でみせる小悪魔的な魅力は、この声あればこそってことがよく分かります。
岩下志麻
大物女優で、この人も歌ってたのかと思わせるのが岩下志麻。
シングルを2枚、アルバムを4枚も出しています。ただし、アルバム4枚と言ってもナレーションというか朗読が多いんですよね。あんまり歌ってはいない。
お勧めはとなると、2枚目のシングル「18才の彼」ですね。

18才の彼
「18才の彼」は1975年3月10日に発売されて、なんとオリコンで85位になるというスマッシュヒットを記録しています。
作曲がポール・モーリアだけあって、とてもフランスチック。岩下志麻の妖しい魅力が遺憾なく発揮されていて、もう魅力しかありません。
「18才の彼」は「新宿二丁目に行けば知らない人はいない曲」だと言われたほどに一部では有名な曲となっています。
新宿二丁目かぁ…なんとなく分かるような分からないような感じですねぇ。
夏目雅子
もしかすると今回いちばん意外といえるかもしれません。美人の代名詞にして素晴らしい女優でもあった夏目雅子です。
ご存じでしたか?夏目雅子、歌ってたんです。

Oh!クッキーフェイス
夏目雅子は、キャンペーンガールとして出演したカネボウ化粧品のCM「クッキーフェイス」でブレイクします。
因みに、このCMのディレクターが、後に夫となる伊集院静ですね。
CMのタイアップ曲「Oh!クッキーフェイス」はティナ・チャールズが歌っています。もちろん英語です。夏目雅子はそれのカバーというか日本語バージョンです。
それにしてもカワイイというか初々しいですね。
「Oh!クッキーフェイス」は1977年6月21日発売でした。残念なことに夏目雅子はこのシングルだけしか発表していないです。
多岐川裕美
さて最後になりますが、いちばんのお勧めは多岐川裕美でしょうか。特にセカンドアルバム「酸っぱい経験・濡れてさよなら」、これはもう名曲揃いです。
そしてご覧のようにジャケットも美しい!もう買うしかないでしょう。出来ることならレコードで。

酸っぱい経験・濡れてさよなら
このアルバムからは、1980年9月21日発売の「酸っぱい経験」と同年12月20日発売の「濡れてさよなら」がシングルカットされていますが、共にいい曲です。そして共にタイアップ曲でもあります。
「酸っぱい経験」「濡れてさよなら」共に、作詞・三浦徳子、作曲、編曲・小笠原寛が担当しています。思うにプロデューサーも務めている小笠原寛が素晴らしい仕事っぷりで、アルバムの完成度を高めています。
多岐川裕美は1976年から1987年の間にシングルを12枚、アルバムを6枚、他にデュエットシングルとして3枚、ライブアルバムも1枚出してるんですよ。なんかスゴイ。タイアップ曲が8曲もありますしねぇ。
これだけやってると歌ってたことが意外とはいえませんね。りっぱなものです。音楽活動好きだったんでしょう。
多岐川裕美のアルバムもそうですが、女優のアルバムはどれもジャケットが美しい(当然か)ので、出来ることならレコードで所有したいものです。