10位『サザン・ウインド』
中森明菜への楽曲提供ではおなじみの来生えつこ・たかお姉弟。彼らが作詞・作曲を手がけた楽曲というと、バラード系の『スローモーション』、『セカンド・ラブ』、『トワイライト -夕暮れ便り-』がおなじみです。ところが、8枚目のシングルとなる本曲『サザン・ウインド』は、作詞は来生えつこですが、作曲は玉置浩二が手がけました。玉置にとっては、『禁区』のB面『雨のレクイエム』以来の楽曲提供です。オリコンシングルチャートで3週連続1位を記録しています。
9位『北ウイング』
杉山清貴&オメガトライブの楽曲のファンだったという中森明菜。彼らのデビューシングル『SUMMER SUSPICION』と同じような曲を作ってほしいと、彼女が作詞・作曲を依頼したのが康珍化&林哲司のコンビです。彼らが手がけた7枚目のシングルは、当初『夜間飛行』というタイトルでしたが、彼女の提案で『北ウイング』に変更されました。北ウイングとは、成田国際空港の第1ターミナル北部分の呼称です。オリコンシングルチャートで最高位2位を記録しています。
8位『星屑のステージ』
1984年1月、2枚目のシングル『涙のリクエスト』でブレイクしたチェッカーズ。3枚目のシングル『哀しくてジェラシー』に続いて、オリコンシングルチャート1位を獲得したのが、4枚目のシングルとなる本曲『星屑のステージ』です。その年の暮れには、本曲で日本レコード大賞・金賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも初出場を果たしました。人気ドラマ『うちの子にかぎって…』の主題歌に起用され、翌1985年には「第57回選抜高等学校野球大会」の入場行進曲に採用されるなど、ファンならずとも当時よく聴かれた曲です。
7位『娘よ』
『娘よ』は、俳優・芦屋雁之助の "演歌歌手" としてのシングルで、『裸の大将放浪記』での人気も相まって、異例のロングヒットを記録しました。オリコンシングルチャートでの最高位は6位ながら、年間チャートではトップ10入りを果たしています。その年の暮れには、53歳にしてNHK紅白歌合戦に初出場。また、自身が出演する時代劇『必殺仕切人』では、第11話 「もしも父親が"娘よ"と泣いたら」で、本曲を歌っています。これを機に、芦屋雁之助は立て続けにシングル・アルバムをリリースし、俳優だけでなく歌手としても活躍しました。
6位『十戒<1984>』
中森明菜の楽曲の作詞ではおなじみの売野雅勇。しかし、作曲はすべて異なり、『少女A』は芹澤廣明、『1⁄2の神話』は大沢誉志幸、『禁区』は細野晴臣が手がけました。そして、9枚目のシングル『十戒<1984>』の作曲を手がけたのが高中正義です。タイトルは、通常の "じっかい" ではなく "じゅっかい(いちきゅうはちよん)" と読みます。オリコンシングルチャートで2週1位を記録。この年も中森明菜の活躍は凄まじく、結局、年間トップ10に、彼女の曲が3曲もランクインしました。
5位『哀しくてジェラシー』
『哀しくてジェラシー』は、『涙のリクエスト』に続くチェッカーズの3枚目のシングルで、本曲で初めて、オリコンシングルチャート1位を獲得しました。『涙のリクエスト』の大ヒットがまだ冷めやらぬ頃のリリースだったため、また、デビュー曲『ギザギザハートの子守唄』も再評価されたことから、「ザ・ベストテン」など音楽番組で3曲同時にトップ10入りする怪記録を達成しました。
4位『涙のリクエスト』
『涙のリクエスト』は、チェッカーズを一躍スターダムに伸し上げた2枚目のシングルです。チェッカーズにとっては実質初めてのヒット曲で、オリコンシングルチャートで最高位2位を記録しました。作詞・作曲は、中森明菜の『少女A』と同じコンビ売野雅勇&芹澤廣明。本曲のヒットで、その後二人はチェッカーズの一連のヒット曲を手がけるようになります。売野によると本曲は、映画『アメリカン・グラフィティ』の世界を描いたもので、DJのウルフマン・ジャックを "ミッドナイトDJ" として歌詞に登場させています。
3位『Rock'n Rouge』
『Rock'n Rouge』は、松田聖子の16枚目のシングルで、カネボウ「'84春のキャンペーン」の新商品「バイオ口紅」のCMで起用されたCMソングです。資生堂「エクボ」のCMではCMソングのみでしたが、カネボウ「バイオ口紅」のCMでは、CMソングだけでなくCMモデルとしても松田聖子本人が起用されました。キャッチコピーは「聖子の口紅」。サビの "PURE PURE LIPS" の歌詞は、カネボウが事前に指定したフレーズと言われています。
2位『ワインレッドの心』
安全地帯の結成は1973年ですが、井上陽水の全国ツアーのバックバンドを経て、メジャーデビューを果たしたのは1982年のことです。そして、最初のヒット曲となったのが、1983年末にリリースした4枚目のシングル『ワインレッドの心』です。作曲は玉置浩二、作詞は井上陽水で、陽水が初めて作詞した安全地帯の楽曲です。オリコンシングルチャートでいきなり1位を獲得し、その後は『恋の予感』、『熱視線』、『悲しみにさよなら』など多くのヒット曲が誕生しています。
1位『もしも明日が…。』
わらべは、テレビ朝日系のバラエティ番組『欽ちゃんのどこまでやるの!』から誕生したユニットで、メンバーは、高部知子(のぞみ)、倉沢淳美(かなえ)、高橋真美(たまえ)の3人です。大ヒット曲『めだかの兄妹』に続く2枚目のシングルが本曲『もしも明日が…。』で、『めだかの兄妹』は前年の年間チャートで3位、『もしも明日が…。』はさらに上回る年間1位を獲得しました。わらべは、高部知子がスキャンダルで脱退した後、倉沢淳美と高橋真美の二人体制に。実は、本曲の正式ユニット名は「わらべ with KINDOKO FAMILY」で、メインコーラスをわらべの二人、バックコーラスを番組出演者の見栄晴、小堺一機、関根勤、真屋順子が務めました。
1984年の年間トップ10
順位 | 曲名 | 歌手名 |
---|---|---|
1 | もしも明日が…。 | わらべ |
2 | ワインレッドの心 | 安全地帯 |
3 | Rock'n Rouge | 松田聖子 |
4 | 涙のリクエスト | チェッカーズ |
5 | 哀しくてジェラシー | チェッカーズ |
6 | 十戒<1984> | 中森明菜 |
7 | 娘よ | 芦屋雁之助 |
8 | 星屑のステージ | チェッカーズ |
9 | 北ウイング | 中森明菜 |
10 | サザン・ウインド | 中森明菜 |