【高校野球】早実→池田→PL学園・・・甲子園の主役が変わっていった1980年代

【高校野球】早実→池田→PL学園・・・甲子園の主役が変わっていった1980年代

1980年夏に準優勝した早実。その後、優勝候補となるも、1982年夏に早実に大勝したのが池田。その後、夏春連覇を果たすも、1983年夏に池田を圧倒したのがPL学園。この時期、甲子園の主役が次々と変わっていったのを覚えている方も多いことでしょう。その変遷を振り返ります。


早実 惜しくも準優勝(1980年夏)

1980年夏の東東京大会早稲田実業荒木大輔は、1年生ながらベンチ入りする控え選手の一人でした。主戦投手は2年生の芳賀誠。しかし、芳賀の故障により、その代役に抜擢されたのが、なんと1年生の荒木でした。荒木は、準決勝の帝京高校戦、決勝の二松学舎大学付属高校戦で好投。見事、東東京大会優勝の立役者となりました。



甲子園でも、荒木の投球はさらに磨きがかかり、一回戦から準決勝までの5試合中4試合で完封勝利。まだ1年生という驚きも相まって、一躍甲子園の最注目選手となります。準決勝までの試合結果は次の通りです。



1回戦:早稲田実 6 - 0 北陽

2回戦:早稲田実 9 - 1 東宇治

3回戦:早稲田実 2 - 0 札幌商

準々決勝:早稲田実 3 - 0 興南

準決勝:早稲田実 8 - 0 瀬田工




迎えた決勝戦は、関東勢同士の対決。相手は、愛甲猛を擁する横浜高校です。荒木は初回に失点し、連続無失点記録が44回1/3で途絶えますが、早稲田実業の打線が善戦。1点を争う攻防で、途中からは芳賀がリリーフする総力戦となります。結果は惜敗の準優勝



しかし、今大会一番の主役は間違いなく1年生の荒木大輔で、今後に楽しみを残す結果となりました。



決勝:早稲田実 4 - 6 横浜

早実 大ちゃんフィーバー(1981年春〜1982年春)

荒木は、1年生投手で準優勝という実力もさることながら、端正な顔立ちとスマートなルックスで女性ファンからの人気を集めます。それも老若男女を問わず幅広い世代からの人気で、この現象は「大ちゃんフィーバー」と呼ばれました。



周囲の期待は大きなプレッシャーとなりますが、それをはねのけるかのように、荒木在籍時の早稲田実業は、春夏5回全シーズンで甲子園出場。その都度、優勝候補と呼ばれ、同校の試合は常に注目を浴びました。ところが結果は、勝てる試合を取りこぼす敗戦もあり、なかなか決勝まで勝ち上がれません。1981年春から1982年春の成績は次の通りです。



1981年春(荒木2年)

1回戦:早稲田実 2 - 6 東山



1981年夏(荒木2年)

1回戦:早稲田実 4 - 0 高知

2回戦:早稲田実 5 - 0 鳥取西

3回戦:早稲田実 4 - 5x 報徳学園(延長10回)



1982年春(荒木3年)

1回戦:早稲田実 3 - 1 西京商

2回戦:早稲田実 3 - 0 岡山南

準々決勝:早稲田実 1 - 3 横浜商

池田 早実を撃破→優勝(1982年夏)

1982年夏、荒木にとって5度目、そして最後の甲子園を迎えます。最後の優勝のチャンスということで、ファンの期待も過去最大でした。



その期待に応えるかのように、1回戦の宇治高校戦、2回戦の星稜高校戦は連続して大差勝ち。東海大甲府高校にも快勝し、今回こそ優勝!とファンの期待も最高潮に達します。そして、迎えた準々決勝が、あの池田高校戦でした。



荒木は、初回から池田の強力打線につかまり、江上光治水野雄仁から被弾。途中、石井丈裕に交代するも、水野が満塁ホームランを放ち、どんどん点差が広がっていきます。再び荒木が登板しますが、打線の勢いは止められず、結果は 2 - 14 の惨敗。荒木は、被安打17、自責点9という散々な結果でした。



1回戦:早稲田実 12 - 0 宇治

2回戦:早稲田実 10 - 1 星稜

3回戦:早稲田実 6 - 3 東海大甲府

準々決勝:早稲田実 2 - 14 池田




池田高校はその勢いのまま優勝。ここから、主役が池田に変わります。



準決勝:池田 4 - 3 東洋大姫路

決勝:池田 12 - 2 広島商




因みに、その年のオフ、荒木はドラフト1位指名でヤクルトスワローズに入団。池田のエース・畠山準もドラフト1位指名で南海ホークスに入団しています。

池田 やまびこ打線が連覇(1983年春)

1983年春、世代が変わっても優勝候補の筆頭は池田高校。エースで4番の水野を中心に、3番には前年同様、江上が座り、強力なやまびこ打線を形成していました。前評判通り、1回戦は強豪・帝京高校を11-0と圧倒。準決勝の明徳高校戦だけ接戦となりますが、それ以外は危なげなく勝利し、決勝に駒を進めます。決勝戦では、好投手・三浦将明を擁する横浜商業と対戦。池田は12安打で3-0と完勝し、見事、夏春連覇を果たしました。



池田高校は打線ばかりが注目されますが、この大会で許した失点はわずか2点。攻守ともに最強チームであることを証明するような大会でした。



1回戦:池田 11-0 帝京

2回戦:池田 10-1 岐阜第一

準々決勝:池田 8-0 大社

準決勝:池田 2-1 明徳

決勝:池田 3-0 横浜商

PL学園 池田を圧倒→優勝(1983年夏)

1983年夏、依然として甲子園の主役は池田高校で、史上初の「夏春夏3連覇」が注目されていました。池田は前評判通り、太田工業、高鍋高校に大差勝ち。強豪の広島商業、中京高校も撃破し、今夏も池田が優勝か!? 誰もがそう思いかけていました。しかし、準決勝で波乱が起きます。



相手は、強豪ながらさほど注目されていなかったPL学園高校。ただ、1年生選手が二人もレギュラーで出場する特徴的なチームでした。それもエースと4番の二人。それはもちろん、KKコンビの桑田真澄、清原和博のことです。



試合は、水野が本調子ではなく、PLに先制点を許す展開。その直後、まさかの1年生ピッチャー桑田にホームランを打たれます。一方、池田打線もチャンスは作りますが、桑田の前になかなか得点できません。PLはその後も得点を重ね、結果はなんとまさかの完封大差負け。あっけない意外な幕切れで、池田の夏が終わりました。



1回戦:池田 8 - 1 太田工

2回戦:池田 12 - 0 高鍋

3回戦:池田 7 - 3 広島商

準々決勝:池田 3 - 1 中京

準決勝:池田 0 - 7 PL学園




PL学園はその勢いのまま優勝。ここから、主役がPLに変わります。



決勝:PL学園 3 - 0 横浜商



因みに、その年のオフ、水野はドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。その2年後、宿命の相手、桑田真澄も巨人に入団し、二人はチームメイトとなっています。

PL学園 KKコンビ二度目の優勝(1984年春〜1985年夏)

PL学園、そしてKKコンビは、春夏5回全シーズンで甲子園出場。毎回、優勝の最有力候補に挙げられますが、あと一歩のところで優勝を逃す苦杯を喫します。



1984年春(KKコンビ2年):準優勝(優勝:岩倉)

1984年夏(KKコンビ2年):準優勝(優勝:取手二)

1985年春(KKコンビ3年):ベスト4(優勝:伊野商)




そして、迎えたKKコンビにとって5度目、最後の甲子園で、劇的な二度目の優勝を果たしました。



1985年夏(KKコンビ3年):優勝(準優勝:宇部商)



その年のオフ、桑田はドラフト1位指名で読売ジャイアンツ、清原はドラフト1位指名で西武ライオンズに入団しています。

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