伝説的ロックバンドBOØWYがヴィジュアル系へ与えた影響・系譜を辿る!! Part2

伝説的ロックバンドBOØWYがヴィジュアル系へ与えた影響・系譜を辿る!! Part2

語り継がれてきたロック界の伝説BOØWY、その影響力はヴィジュアル系にも絶大。 しかし、ヴィジュアル系のカテゴライズ論争や差別問題なども影響していたせいなのか、 「BOØWY」と「ヴィジュアル系」の関係性について語られる事は少なかったように思います。 そこで今回は、前回に引き続き90年代ヴィジュアル系シーンにおけるBOØWYの系譜を辿り、 その影響下にある「ヴィジュアル系ビートロック」と「ソフトヴィジュアル系」の中でも、 今回は”名古屋系”と"ソフトヴィジュアル系" と呼ばれるバンドに迫っていきます!


1993年頃に台頭しはじめた"名古屋系"と呼ばれるバンド!!

1993年頃には"名古屋系"と呼ばれるバンドが台頭しはじめました。
この名古屋系という言葉には二つの意味があります。
広義では中京圏ヴィジュアル系シーンを出自に持つバンドの総称であり、狭義では
ポジティブパンク/ゴシックを基盤に当時の王道よりも"よりダークでよりコア"なものを
目指した黒夢などの系譜に連なるバンドの音楽性を表す言葉として使われているんです。
広義での観点から見ると名古屋系には二つの主流があるという事が見えてきますよね。
一つは初期の黒夢やMerry Go Roundのようなポジティブパンク/ゴシックの系譜にあたるバンド。
もう一つはビートロックの系譜にあたるヴィジュアル系ビートロックタイプのバンドなんです!

黒夢と共に名古屋シーンを牽引した”Silver~Rose”!!

名古屋系と言われたヴィジュアル系ビートロックタイプの代表格バンドが、黒夢と共に
名古屋シーンを牽引したSilver~Roseです。
Silver~RoseはビートロックバンドR-STREETのKAIKIを中心に結成されたバンド。
黒夢が王道に対するカウンター的なスタイルを指向したのに対し、Silver~RoseはZI:KILLや
D'ERLANGERを彷彿とさせる王道的なスタイルを持っていました。
ニューウェイヴ、ポジティブパンク/ゴシック的なアプローチも見受けられますが、前面に
出ているのはハードでダークなビートの効いたロックンロールで、ビートロックや
めんたいビートなどの80年代ジャパニーズロックの香りを漂わせています。
YOWMAYの男っぽい色気のあるヴォーカルや、後にLaputaに加入するKouichiのギター、
名古屋シーンの重鎮KAIKIのベース、後にMerry Go Round/Kneuklid Romanceに加入するKyoの
ドラム、メンバー各々のプレイも素晴らしく楽曲の完成度も高い!
名古屋シーンを代表するレジェンドバンドでしたが、1994年に惜しまれつつ解散となりました。

1993年に1stアルバム「MOVE」をリリースした”Sleep My Dear”!!

Silver~Roseに続いて、1993年に1stアルバム「MOVE」をリリースしたのがSleep My Dearです。
音楽性は、BUCK-TICKやZI:KILLの影響が色濃く、彼らもまたヴィジュアル系ビートロックの
要素をもったバンドだと言えます。
TUSKチックなKöHeyの力強いヴォーカルと、ヴィジュアル系の王道を突き詰めた
キャッチーな楽曲が魅力です!
1995年には、シングル「Ask for Eyes」でメジャーデビューを果たしたのですが、
1998年解散しています。

1993年に1stアルバム「Di・es・I・rae」をリリースした”DIE-ZW3E”!!

そして、同じく1993年に1stアルバム「Di・es・I・rae」をリリースしたのがDIE-ZW3Eです。
こちらもまたビートロック、めんたいビートの香りを漂わせるヴィジュアル系ビートロックタイプ
のバンドでした。
THE STREET BEATS、横道坊主あたりの80年代不良系ロックンロール/パンクの系譜を受け継いだ
ような音楽性と、ヴォーカル結城敬志の不良性全開なキャラクターが強烈な個性を生み出してい
ました。
SOPHIAのベーシストである黒柳能生が在籍していた事でも知られています!

1stアルバム「anamorphosis」をLa†missからリリースした"Of-J"!!

そして、同じく1993年に1stアルバム「anamorphosis」を黒夢のレーベルLa†missから
リリースしたOf-Jもヴィジュアル系ビートロックタイプのバンドです。
Of-Jは、黒夢の前進バンドにあたるGARNETのギタリストだった真宮香と黒夢のギタリスト
だった臣が在籍していたGERACEEのヴォーカリスト安田政利を擁するバンド。
Merry Go Roundの准那、JILSやMoi dix Moisで知られる冨安徹も在籍していました。

ストレートでピュアなビートロックに回帰したバンド”BODY”!!

90年代の折り返し地点となる1994年。
瀧川一郎(CIPHER)と菊地哲(Tetsu)が、ヴォーカリストに木村直樹、
ベーシストに岡田基樹を迎えて新バンドBODYにてシーンへカムバックを果たしました。
ストレートでピュアなビートロックに回帰したスタイルで、まさにビートロックアンセムと
呼ぶに相応しい超名曲「I LOVE YOU」にて華々しいメジャーデビューを飾りました。
続くアルバム「FLAME」は好セールスを記録し、日本武道館にてデビューライブを
成功させました。
しかしその後、様々な事情からデビュー後約2ヶ月でBODYは解散となってしまいました。
菊地哲の公式サイトによると1994年4月デビュー、同年6月解散となっています。

"脱・黒服現象" ・"フェミ男" そして "ソフトヴィジュアル系" が誕生した1994年!!

ヴィジュアル系のサブジャンルに、従来よりソフトなメイク、黒を基調としないカジュアルな衣装、
メロディアスな歌モノのロックを主とするバンドを指すソフトヴィジュアル系と
呼ばれるものがあります。
その他のヴィジュアル系サブジャンルと同様に明確な定義はありません。
音楽性も、ビートロックタイプ、ハードロックタイプや、デジタルロックタイプと様々。
そんなソフトヴィジュアル系と呼ばれるバンドの多くはBOØWYからの影響を公言しており、
ビートロックとの親和性が高かったりします。

ここからは、「ヴィジュアル系ビートロック」に加え、その発展系である「ソフトヴィジュアル系」
も交えて解説していきます。

1994年ごろから"フェミ男"と呼ばれる中性的な男性ファッションのスタイルがブームとなりました。
MILK BOYやSUPER LOVERSなどを愛用ブランドとし、タイトなTシャツやボンテージファッション
などを取り入れたスタイルで、ソフトパンクファッションとも呼ばれていました。

このスタイルをいち早く取り入れ黒服を脱ぎ捨てたのが、黒夢とREDIEAN;MODEでした。
両者の変化はソフトヴィジュアル系はもちろんのこと、ヴィジュアル系カルチャーと原宿系
ファッションを結びつけ、ゼロ年代のオサレ系に繋がるファーストステップだったと言えます。

またこの年はLUNA SEAが自身の存在を日本中に轟かせたシングル
「ROSIER」をリリースした年。
楽曲の圧倒的な完成度はさることながら、ナチュラル化したRYUICHIのヴィジュアルは
大きな衝撃を与えましたよね。

これらの脱・黒服、ソフト化の影響を受けたのが、この年結成された松岡充率いるSOPHIA。
ヴォーカルの松岡は清春と同じスタイリストを使用するなどポップ期の黒夢に強い
影響を受けソフトなメイクにカジュアルな衣装、ビートロックを基盤にしたポップな
音楽性を持ったことからソフトヴィジュアル系の元祖と呼ばれています。
そして忘れてはならないのが、同年にYOSHIKIプロデュースのシングル「RAIN」で
メジャーデビューを果たしたGLAYの存在。
ビートロック、従来のヴィジュアル系王道サウンド、フォークロックを掛け合わせた
キャッチーなポップロックで、SOPHIAと並びソフトヴィジュアル系の元祖と言える存在です。

GLAYの魅力で特筆すべきは、ロックバンドでありながら全く"攻撃性"が感じられないところ。
楽曲やメンバーの佇まいから醸し出される人の良さそうな雰囲気、それは戦略的に
作られたものではなく、メンバーの人間性から自然と滲み出ているものだと感じます。

こういったGLAYやSOPHIAのアイドル性、ビートロックから攻撃性や男臭さを排除した
ソフトなスタイルは、ソフトヴィジュアル系バンドへ引き継がれていく事となります。

ポストヴィジュアル系ムーブメント前夜となる1994年、他にもエポックメイキングな
出来事がいくつも勃発していました。
後にメジャーシーンでブレイクを果たすex.妖花のTAMA率いるCASCADEが
ヴィジュアル系インディーズレーベルから1stアルバム「APOLLO EXERCISER」を
リリースしたのもこの年でした。

当時の音楽性はシューゲイザーなどの要素を持つ前衛的なサウンドでしたが、
ヴィジュアルは既に原宿系ファッションを取り入れたカラフルでポップなスタイルを
見せていました。
その後確立する"ネオ・ニューウェイヴ歌謡"サウンドは、ヴィジュアル系も渋谷系も
下北系もごちゃ混ぜにしたようなごった煮サウンドで、どこかナゴムイズムを感じさせる
ものでした。

後に、ポストナゴム系のような位置付にあったアングラ系バンドムーブメント、
原宿系ファッションとリンクしたオサレ系バンドムーブメントが起こりますが、
CASCADEがこれらの先駆者的な存在だという捉え方もできますよね。

また、メロディックハードコア、ミクスチャーロックなどの新しいスタイルが浸透し始めた
年でもありました。
DIE IN CRIESのギタリスト室姫深がミクスチャーバンド"BLOODY IMITATION SOCIETY"を
始動させ、エクスタシーレコード所属のDEEPはポジティブパンク/ニューウェイヴ系の
スタイルから、ストリート系のスタイルへ変貌を遂げました。
ストリートカルチャー、ラウドロックシーンとのリンクを見せはじめたのもこの年から
だったのかもしれません。

黒服を脱ぎ捨て80年代ジャパニーズロックを感じさせる”Gilles de Rais”!!

残酷物語はもう歌えない、これからは不良少年の歌を──。
多くのバンドが"脱・黒服"の流れを見せた1994年。
Gilles de Raisもまた黒服を脱ぎ捨て、80年代ジャパニーズロックを感じさせるストレートな
ロックへ回帰しました。
そして、ラストアルバム「Crack A Boy」をリリース。
タイトルトラックである「Crack A Boy」はビート系ファン必聴の名曲です!

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