【関白宣言】古き良き名曲から見える亭主像の変遷!アンサーソングが切なすぎる!

【関白宣言】古き良き名曲から見える亭主像の変遷!アンサーソングが切なすぎる!

昭和の名曲「関白宣言」は、さだまさしさんの代表曲として有名です。今回は関白宣言の歌詞から透けて見える「亭主像」から当時を振り返りつつ、時代の流れによる変化についてお届けします。


昭和の名曲【関白宣言】の基本情報

関白宣言は、シンガーソングライターのさだまさしさんが1979年7月10日に発売したシングル曲です。



さだまさしさんが手がけた楽曲の中で最も売れた曲で、累計売上枚数は推定で169万枚。



現在でもコンサートでは必ず歌われる楽曲で、さだまさしさんの代表曲の一つとして非常に有名な1曲。

【関白宣言】は発売当時大きな波紋を呼んだ

さだまさしさんの関白宣言は、耳に残るメロディーラインと「独特な歌詞」が大きな魅力の一つです。



歌詞の内容を端的に言えば、結婚前の男性が女性に対して「様々な事を我慢しろ」という内容となっています。



もちろん、曲を最後まで聞いて歌詞の意味を理解すれば「深い愛」が込められたメッセージ性の強い歌詞なのですが、当時の反応は否定的な声も非常に大きく波紋を呼んだ曲でもあります。



特に、1980年代初頭は「女性の社会進出」が活発な時期だったこともあり



「女性蔑視だ」



「男尊女卑だ」



「差別的な歌詞である」



など、特に女性の権利を主張する団体や雑誌などから強い批判を浴びた曲としても有名です。



そんな批判的な声も挙がる中で、さだまさし最大のヒット曲となった事実から考えられるのは、当時の男性たちを中心に共感を揺さぶった曲だったことや、曲自体がとても魅力的だったことが挙げられます。



実際に、さだまさしさんがコンサートで関白宣言を歌っている動画を公式チャンネルから紹介します。



序盤の軽快なトークからの関白宣言をお楽しみください。

関白宣言大ヒットから透けて見える当時の時代背景と男性心理

女性に対する差別的な歌詞だと世間で騒がれながらも、関白宣言は大ヒットとなり当時の流行歌としてもてはやされました。



その後も時代を超えて愛されるロングヒットとなりますが、関白宣言が大ヒットした理由を考察すると1980年代頃の時代背景や男性心理が透けて見えてきます。

女性が強くなり始めた時代に男たちは亭主関白に憧れた

令和となった現代では、男女平等は当たり前でむしろ女性の方が強い風潮と言える時代です。



前時代的な亭主関白という結婚生活を送る人は少なく、草食系男子などという言葉まで出てくる始末です。



この女性が強くなるという風潮が顕著になりだしたのが、ちょうど1970年代~1980年代にかけての頃で、まさしく関白宣言はこの頃にリリースされています。



こうした社会の変化に対する、男性目線による社会風潮へのアンチテーゼとして、関白宣言に憧れを抱いた男性が多かった事が大ヒットの裏にはあるのかもしれません。



事実、「関白宣言」の歌詞をよくよく読んでみると



♪出来る限りでかまわないから・・・♪



などのように、有無を言わさぬ一方的な亭主関白の宣言ではなく、「お願い」にも似た少し弱気な宣言である事が判ります。



すでにこの頃から亭主関白の家庭は減少しつつあり、結婚後も女房に頭が上がらない・・なんて家庭が珍しくない時代へと突入していたからこそ、関白宣言は当時の男性が密かに持つ憧れを刺激して売れたと言えます。

1980年代の男性は仕事が命だった!

また、1970年代~1990年代頃までの男性像にも関白宣言が大ヒットした要因が隠されています。



特に1970~1980年代頃と言えば



モーレツ社員



企業戦士



に代表されるような造語が産まれる程、「男は仕事をして稼いでナンボ!」という認識が強い時代でもありました。



もちろん全ての男性がそうだった訳では無いですし、仕事も家庭も大事にして素晴らしい家庭を築いた男性も多く居たことは確かですが、現代よりも当時の男性が仕事を重要視していた事は確かです。



こうした男性たちを擁護するような歌詞も関白宣言には織り込まれています。



♪仕事も出来ないような男に、家庭を守れる訳などない♪



女性側の立場からすれば、仕事をして家庭を考えない男性に魅力を感じないという声が聞こえてきそうですが、こうした関白宣言の歌詞が仕事を頑張る男への応援歌に聞こえたのかもしれませんね。

時は流れ・・亭主関白を宣言した男は失脚する

時代が流れ、さだまさしさんの「関白宣言」に登場したであろう男の後日談として、アンサーソングの「関白失脚」という歌も1994年に発表しています。



この関白失脚には様々な歌詞パターンがありますが、公式チャンネルで公開されている閑古鳥編をご覧ください。

バブルが弾け、仕事で大きな挫折を味わう人も多かった激動の1990年代。



景気が低迷した時代に作られたこの関白失脚は、まさに時代の変化をも投影したアンサーソングとなっていました。



「仕事をして養ってやるから家でやることをやれ!」



このように宣言をしていた時代とは打って変わり、仕事もなかなかうまくいかず家でもひどい扱いを受ける男の哀愁を歌ったこの曲は、身につまされるような思いで聞いた人も居たのではないでしょうか(涙)



ただでさえ、女性が強くなっていった1980年代中~後期。



「亭主元気で留守が良い」というCMで流れた標語が流行するなど、肩身が狭くなっていった当時の男性たちに追い打ちをかけるようなバブルの崩壊と景気の低迷。



まさに、関白宣言~関白失脚という一連の流れは、日本社会や家庭の在り方を写す鏡のような曲なのです。

まとめ

関白宣言は今聞いても耳心地が良いメロディーと、男性の可愛らしいプライドを描いた歌詞が光る名曲だと筆者は思っています。



女性蔑視や差別的な意味ではなく、結婚に対する男の責任という意味では現代の男性にも通ずる部分があるのではないでしょうか。



また、さだまさしさんの公式チャンネルでは関白宣言だけでなく素晴らしい楽曲が聞けるので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。さだまさし公式Youtube



以上、関白宣言から透けて見える亭主像の変遷についてお届けしました。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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さだまさし 1979年 長崎

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