必殺シリーズ
根強い人気を持つ「必殺シリーズ」。必殺シリーズといえば、なんと言っても藤田まこと演じる中村主水ですよねぇ。実に印象深いです。

中村主水
しかしです。振り返ってみれば、それ以外の作品も意外と多いんですよ。80年代は、中村主水シリーズではなく、「必殺」の中でも、なかなかヒットしない「旅物シリーズ」から始まります。
必殺仕舞人
一時は打ち切りの瀬戸際まで追いやられた必殺シリーズ。それが1979年5月より1981年1月まで放送開始された「必殺仕事人」の大ヒットによって空前のブームとなりました。
さて、その「必殺仕事人」の後を引き継いだのが、1981年2月から放送が始まった「必殺仕舞人」です。

必殺仕舞人
「(悪人の)命をお仕舞いにする」それと「女の苦しみをお仕舞にする」との二つの意味を持った「必殺仕舞人」。それからも分かるように悪人によって悲惨な目に合う女性が毎回登場するわけです。それはいい。問題はない。それよりも「必殺仕舞人」は、「必殺からくり人」からの流れをくむ旅物シリーズなんです。
いかん、いかんぞォ。このシリーズ、どれも短命なんすよねぇ。せっかく前作で人気を盛り返したというのにねぇ。
そして結果は!やっぱりねぇ、やっぱりでした。やっぱりのさっぱりでした。作品の出来自体は悪くないです。京マチ子も西崎みどりもキレイですしねぇ。しかし、残念ながら全13話という1クールで終わってしまいました。
新・必殺仕事人
「必殺仕舞人」の失敗から、制作陣は安全策をとります。もう失敗は許されないとばかりにシリーズ最大のヒット作「必殺仕事人」を再び制作したのです。そう、1981年5月から始まった「新・必殺仕事人」です。
面白いのは、前作「必殺仕舞人」でナレーターを務めていた中条きよしが、仕事人「三味線屋の勇次」として登場!飾り職人の秀と共に女性の心をガッチリ掴み、番組のヒットに貢献しました。

新必殺仕事人
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「新・必殺仕事人」はこの後の主水シリーズのひな形となった作品です。例えば、エンディング前のクロージング場面で毎回行われる主水とせんりつによるコメディシーン。これが固定されるようになります。また主水シリーズにおいて各話に「主水、○○する」というサブタイトルが固定化するのも「新・必殺仕事人」からです。
他にも「新・必殺仕事人」の特徴として、ドラマの前半に仕事の依頼が発生することがなくなったというのがあります。こうしたこともその後の主水シリーズに引き継がれていきます。これらのことによって人気が安定したのですが、定番化するということはワンパターンの罠に陥ってしまうことにもなりました。ここんところの匙加減、難しいですよねぇ。
新・必殺仕舞人
前作「新・必殺仕事人」は全55話という大ヒットとなりました!「仕事人」強しです。さぁ、このまま突っ走ろうということで続いて制作されたのは「新・必殺仕舞人」です。えっ!いかん、いかんぞォ。「仕舞人」はいかんぞォ。「からくり人」の流れはヒットしないんだから。
それでも1982年7月、朝日放送は自信を持って「新・必殺仕舞人」を送り出します!

新・必殺仕舞人
自信を持って送り出したはずの「新・必殺仕舞人」。だったはずですが、またしても全13話の1クール止まりの低飛行。なんでかなぁ?話とてしては、「必殺仕舞人」の純粋な続編です。なんでかなぁ?ヒットしなかった作品の続編をなんで作るかなぁ?そこらへん、制作の意図がよく分かりません。
「必殺仕舞人」に続き、「新・必殺仕舞人」もまた作品は悪くないんです。ファンの間での評判は悪くない。ですが、当時はねぇ。旅ものというコンセプトが受け入れられなかったということかもしれません。
当時大人気だった吉本新喜劇の役者、花紀京をレギュラーに加えることで、お笑いの要素を加えるという新機軸を打ち出してはみたものの、なかなか難しかったようです。
必殺仕事人III
やっぱさぁ、旅ものじゃ難しいよなぁ。「仕事人」だよ、やっぱ「仕事人」。という製作スタッフのぼやき声が聞こえてきそうな状況にあったと思われる朝日放送。視聴率が取れない事にはスポンサーは黙ってはいません。しゃあない、「仕事人」や。という偉い人の決断が下され(たぶん)、1982年10月「必殺仕事人III」の放送が開始されることに。
「必殺仕事人III」は、必殺仕事人シリーズの3作目であり、必殺シリーズの19作目にあたります。そして、中村主水シリーズでは9作目となる作品です。

必殺仕事人III
実は「必殺仕事人III」が始まる前、1982年10月1日に特番として「必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合」が放送されました。「新・必殺仕事人」の最終回でバラバラになった「仕事人」のレギュラー陣、中村主水、秀、勇次、加代、おりくが再集結するというファンには嬉しい特番でした。
で、この特番の後を受けて「必殺仕事人III」は放送開始されたのです。
全38話。「必殺仕事人III」もやっぱり手堅くヒットしました。しかも1983年3月4日に放送された第21話は、必殺シリーズ歴代最高となる、なんと37.1%の視聴率を記録したんです。 強い!強いぞ「仕事人」。
更には、鮎川いずみが歌った主題歌「冬の花」は、必殺シリーズの主題歌としては最大のヒット曲だった「旅愁」以来の大ヒットとなっています。
必殺渡し人
1983年7月から始まった「必殺渡し人」。なんとなく危険な感じがしますね。しかし、制作陣も学習しました。中村主水が登場しないシリーズは、「必殺仕舞人」のような「旅モノ」が主になっていましたが、「必殺渡し人」は江戸が舞台です。

必殺渡し人
殺し担当の主要メンバーが三人というシンプルな設定。そして、殺しのシーンには「新・必殺仕置人」から受け継いだレントゲン映像が登場。これは贅肉を削ぎ落とし、原点回帰をもくろんだ作品ですね。実際、昔ながらのファンからは高い評価を受けたと言われています。
硬派な内容だった。評価は受けた。が、放送回数またしても13回。またしても1クールで終了。当時大人気の中村雅俊を抜擢し、強姦、スワッピング、SMと言った性描写満載だったんですけどねぇ。。。
苦しい、実に苦しくなってきました「必殺シリーズ」。果たしてこのまま打ち切りとなるのか!それとも起死回生となる作品が飛び出すのか?!80年代中盤の「必殺シリーズ」の行方は如何に?!でも、それは、またの機会に。