80年代のデヴィッド・クローネンバーグ作品は、ちょっとエグイ!

80年代のデヴィッド・クローネンバーグ作品は、ちょっとエグイ!

ちょっとどころではありませんね、かなりエグイです。80年代のデヴィッド・クローネンバーグ監督の作品は。しかし目はくぎ付けにされます。ハマってしまうと抜けられないのがデヴィッド・クローネンバーグの世界なのです。


自分の作品と同じテーマを持つているということで監督を引き受けたという「デッドゾーン」。原作はスティーヴン・キングの同名の小説です。
デヴィッド・クローネンバーグにとっては初めての原作つき作品となっています。

主演は「ディア・ハンター」や「天国の門」などで知られるクリストファー・ウォーケン。
「1984年第12回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭 」批評家賞受賞、黄金のアンテナ賞受賞、ヒッチコック・サスペンス映画賞受賞「1983年度第11回サターン賞 」ホラー映画賞受賞などを受賞し日本では注目されませんでしたが、世界的には大いに評価されました。

でもなぁ、やっぱりデヴィッド・クローネンバーグはオリジナル作品を期待しますよねぇ。

ザ・フライ

製作費15,000,000ドル。もうカルト映画では済ませられない金額ですねぇ。「ヴィデオドローム」が5,952,000ドルでしたから大幅増です。前作「デッドゾーン」の成功あればこそですね。それだけの期待を背負って作られたのが「ザ・フライ 」です。

出演者:ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイヴィス
音楽:ハワード・ショア
撮影:マーク・アーウィン
編集:ロナルド・サンダース

ザ・フライ

「ザ・フライ」はその期待に応え、世界的に(今度は日本でも)大ヒットしました。デヴィッド・クローネンバーグにとってもっとも成功した作品ですね。
しかし、これもオリジナルではなくリメイクです。オリジナルはジョルジュ・ランジュランの小説「蝿」を映画化した1958年のアメリカ映画「ハエ男の恐怖」です。

「ザ・フライ」は大ヒット映画ですからね、ご覧になられた方は多いと思います。ネタバレにもなりますし今さら説明するまでもないでしょう。
デヴィッド・クローネンバーグ自身も産婦人科医の役で出演しています。因みに本編の出産のシーンがグロテスクな為、妊娠者は鑑賞を控えるようにとレンタルビデオには警告されています。

「ザ・フライ」は、1986年第59回アカデミー賞 メイクアップ賞、1986年度第14回サターン賞
ホラー映画賞受賞、主演男優賞、最優秀メイクアップ賞、1986年度アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭特別審査員賞、1986年度カナダ撮影監督協会賞 最優秀劇映画撮影賞などを受賞しています。

戦慄の絆

先ず見て頂きたいのが「ミュータント用解剖器具」です。

ミュータント用解剖器具

この奇妙な器具は勿論ミュータントを解剖するのではなく、主人公の産婦人科医は一般の女性の手術に使おうとします。コワイ!もう、それだけでイヤ~な感じが、デヴィッド・クローネンバーグな感じがします。それが出てくる映画が1988年制作のサイコ・スリラー映画「戦慄の絆」です。

出演者:ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド
音楽:ハワード・ショア
撮影:ピーター・サシツキー
編集:ロナルド・サンダース

戦慄の絆

更にコワイのは、主人公である一卵性双生児の産婦人科医です。ジェレミー・アイアンズが二役を演じるのですが、性格は正反対ではあるものの外見はほぼ一緒、見分けがつきません。通常だとほくろだとか傷だとかで区別をつけるところでしょうが、あえてデヴィッド・クローネンバーグは同じにしたのだそうです。ヒロインは見分けがつかないという設定ですが、観客にも分からないという気持ちの悪いことが起こります。

グロイと同時に美しくもあるのがデヴィッド・クローネンバーグ作品です。目を背けてしまいそうになりながらも目が離せない。そんな作品。
どれもこれも80年代のデヴィッド・クローネンバーグ作品は傑作揃いです。次の作品は若干間が空いて1991年のこれまた問題作「裸のランチ」。デヴィッド・クローネンバーグは90年代も全力で走り抜けるのでした。

関連する投稿


天才・楳図かずおが描いた時空を超えた少年SF巨編『漂流教室』特別企画が東京・中野「墓場の画廊」で開催決定!!

天才・楳図かずおが描いた時空を超えた少年SF巨編『漂流教室』特別企画が東京・中野「墓場の画廊」で開催決定!!

マンガ、アニメ、特撮などを始めとするサブカルチャーをテーマとした企画展を開催・運営するクレイジーバンプが、墓場の画廊中野店と墓場の画廊ONLINE STOREにて『漂流教室 POP UP STORE in 墓場の画廊』を開催します。


昭和名曲の魅力を再発見!石井明美、天童よしみ、山川豊が語る名曲秘話「そのとき、歌は流れた」がBS日テレで放送決定!!

昭和名曲の魅力を再発見!石井明美、天童よしみ、山川豊が語る名曲秘話「そのとき、歌は流れた」がBS日テレで放送決定!!

BS日テレにて、昭和の名曲を特集した音楽番組「そのとき、歌は流れた ~時代を彩った昭和名曲~」が放送されます。放送スケジュールは7月16日(水)よる8時より。


映画公開40周年記念!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』inコンサート2025が東京、大阪で開催決定!!

映画公開40周年記念!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』inコンサート2025が東京、大阪で開催決定!!

東京国際フォーラムホールA(東京都千代田区)および大阪国際会議場メインホール(大阪府大阪市)にて、1985年7月に全米で公開され、世界中を魅了した名作映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を題材としたコンサート『映画公開40周年記念「バック・トゥ・ザ・フューチャー」in コンサート2025』が開催されます。


星野之宣のデビュー50周年を記念した豪華特集本と珠玉のSF選集が同時刊行!東京で初の個展開催!18年ぶりにサイン会も!!

星野之宣のデビュー50周年を記念した豪華特集本と珠玉のSF選集が同時刊行!東京で初の個展開催!18年ぶりにサイン会も!!

河出書房新社より、漫画家・星野之宣のデビュー50周年を記念した書籍『総特集 星野之宣 大増補新版』(文藝別冊/税込価格1,870円/2025年5月22日発売)および『星野之宣50周年珠玉SF選集 星芒』(税込価格1,980円/2025年5月23日発売)が現在好評発売中となっています。


「士郎正宗の世界展〜『攻殻機動隊』と創造の軌跡〜」が開催!GAAATがアート作品を出展!!

「士郎正宗の世界展〜『攻殻機動隊』と創造の軌跡〜」が開催!GAAATがアート作品を出展!!

デジタル技術とフィジカルアートを掛け合わせて新しい体験価値を創造するアートブランド「GAAAT(ガート)」が、「士郎正宗の世界展〜『攻殻機動隊』と創造の軌跡〜」にコラボレーション企業として参加し、アート作品を出展します。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。