The Beatles
ビートルズといえば、ロックに革命をもたらし、その歴史を塗り替えた存在として知られています。何よりも独創的でありながら親しみやすい楽曲は今もって他の追随を許さず素晴らしいの一言。

ビートルズ
そんなビートルズですが、初期には思いのほか多くのカバー曲を残しています。ビートルズはカバー曲もオリジナルのように自分たちの曲として消化しているとはよく言われることですが、本当にそうなのでしょうか?検証してみました。
Please Please Me
デビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」にはカバー曲が6曲。確かにアルバムの中で聴いていると、オリジナルと遜色がないというか、元歌を知らなければ分からないほど違和感はありません。

プリーズ・プリーズ・ミー
中でも有名なカバー曲は、この当時ライブでも盛んに演奏していた「ツイスト・アンド・シャウト」でしょうか。
オリジナルはアイズレー・ブラザーズです。「ツイスト・アンド・シャウト」は1962年の作品になります。
基本的なアレンジは変わっていないのですが、ビートルズは流石に垢抜けていますね。コーラスもですが、なんと言ってもジョン・レノンのボーカルが素晴らしいです。
アルバムには「ベイビー・イッツ・ユー」と「ボーイズ」というシュレルズのカヴァーが2曲も収められています。
ロマンチックな曲ですね。「ベイビー・イッツ・ユー」も1962年の曲で、全米では59位のヒットとなっています。
With the Beatles

ウィズ・ザ・ビートルズ
2枚目のアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」でも6曲のバナーが収められています。ビートルズがカバーした中でも最高の出来といってもいいのではないかと思うのが「プリーズ・ミスター・ポストマン」ですね。これこそオリジナルと信じて疑わなかったヒト多数の名カバー曲です。
「プリーズ・ミスター・ポストマン」は、モータウン所属のグループ・マーヴェレッツが1961年に放った全米1位に輝く大ヒット曲です。
比べるとやはりビートルズはスタイリッシュですね。
それでは泥臭い曲をカバーするとどうなるのでしょう?アルバムの最後に入っている「マネー」を聴き比べてみましょう。
オリジナルは1959年のバレット・ストロングによるものです。
で、ビートルズです。
この曲は同時期にローリング・ストーンズもカバーしていますが、それと比べてもビートルズは品が良いですね。この品の良さが人気の秘訣かもしれません。
Beatles for Sale
3枚目のアルバム「ハード・デイズ・ナイト」は全曲オリジナルです。しかも捨て曲無しの名曲揃い。つまり能力的にはアルバムを全てオリジナル曲にすることは出来ていたわけですが、4枚目のアルバム「ビートルズ・フォー・セール」にはカバー曲がまたしても6曲収められています。

ビートルズ・フォー・セール
カバー曲が多い理由は、当時トップ・アイドルでもあったビートルズは多忙を極め、曲を作る時間が取れなかったためだと言われています。
レコーディング自体も短期間で行われていますが、アマチュア時代から演奏していた楽曲だったこともあり流石の出来栄えです!来日時にテレビ番組の冒頭でも流れた「ミスター・ムーンライト」は印象的ですね。
名唱という感じですね。アレンジも素晴らしく、ピアノ・レッドのオリジナルと比べるとよく分かります。
もう1曲、ロックンロールの王様、チャック・ベリーのカヴァーである「ロック・アンド・ロール・ミュージック」。これがまた素晴らしい出来栄えです。
印象的なピアノを弾いているのはプロデューサーのジョージ・マーティンです。
しかし、流石はチャック・ベリー。オリジナルも勿論素晴らしいですよ。
同じ年には5枚目のEPで「のっぽのサリー」をリリースしています。この曲はリトル・リチャードが1956年3月に発表し全米リズム・アンド・ブルースのチャートで6週連続1位となった名曲です。
強烈ですね。で、ビートルズはどうかと言いますと。。。
う~ん、やっぱりスタイリッシュですねぇ。天性のものとしか言いようがありません。
Help!
5枚目のアルバム「4人はアイドル」にはカバー曲は2曲。「アクト・ナチュラリー」と「ディジー・ミス・リジー」です。

4人はアイドル
「ディジー・ミス・リジー 」はラリー・ウィリアムズの作品で1958年2月にリリースされています。
カッコイイですね。ビートルズは実にいい曲を見つけてきています。そしてやっぱり洗礼されたカバーとなっています。
これ以降はカバー曲をオリジナル・アルバムに収めることはなくなり、最後のアルバム「レット・イット・ビー」に「Traditional Arr. Lennon - McCartney - Harrison - Starkey」と記載されている「マギー・メイ 」が唯一の例外となります。
一部の例外はあるものの総じてセールス的に振るわなかった曲やマニアックな曲ばかりを好んでカバーしている。それとカバー時代最終期の1965年頃に、彼らが好んでLarry Wiliamsをカバーしているのも興味深い。
LarryはJohn Lennonと同じ1980年に亡くなっているのだけど、死因はこれまた射殺だった。

レット・イット・ビー
ビートルズがカバーした曲はセールス的に振るわなかった、どちらかと言えばマニアックな曲が多くを占めています。
では最後にビートルズが現役中に公式に発表したカバー曲を記しておきます。アルバムだけでなく、シングルや、EP盤にのみ収録されたカバー曲もあります。
Arthur Alexander – Anna (Go to Him)
The Cookies – Chains (Carole King)
The Shirelles – Boys
The Shirelles – Baby It’s You
Julie London – A Taste Of Honey
The Isley Brothers – Twist And Shout
Barbara Cook & Robert Preston – Till There Was You (Original Broadway Cast ”Music Man”)
The Donays – Devil In His Heart
The Marvelettes – Please Mr. Postman
Chuck Berry – Roll Over Beethoven
Smokey Robinson & The Miracles – You’ve Really Got A Hold On Me
Barrett Strong – Money, That’s What I Want
Chuck berry – Rock And Roll Music
Dr. Feelgood & The Interns – Mr. Moonlight
Little Richard – Kansas City-Hey-Hey-Hey-Hey
Buddy Holly – Words Of Love
Carl Perkins – Honey Don’t
Carl Perkins – Everybody’s Trying To Be My Baby
Buck Owens – Act Naturally
Larry Williams – Dizzy, Miss Lizzy
Little Richard – Long Tall Sally
Larry Williams – Slow Down
Carl Perkins – Matchbox
Larry Williams – Bad Boy