長年気になっていたシーンとネタ元の『オールド・ボーイ』(原作・土屋ガロン/作画・嶺岸信明)8巻を見比べるぽんちゃん先生
**ぽん**
あ、これなんですね! 長年の疑問が解けました。
**吉本**
そういう所に引っかかるのは、漫画家だからだと思いますよ。僕も気付いてもらって、漫画家冥利につきます。
――吉本先生、ぽんちゃん先生、編集長、御三方の『昭和の中坊』の最大の読み所を伺いたいのですが。
**編集長**
読者が作品を読むうちに、この中坊たちの世界に自分も生きているような気になってくる。そこが魅力だと思います。あと、悪いヤツが出てこないので、そこも心地良いと思います。
**ぽん**
わたしは女性ですし、彼らとは生きている時代も違うんですが、エロを追う姿は男女問わず、時代を超えた普遍性があると思います。それをもの凄く上手く描いた漫画だと思います。愛らしい馬鹿たちの話なんですよ。
**吉本**
久しぶりに読んで「うらやましい」感じが自分でもしました。大人になると、毎日の生活に追われてしまって気付かないけれど、日常にも面白いことっていっぱいあるんだよなと、改めて気付ける漫画かなと思います。
『男子高校生とふれあう方法』を読む
――ぽんちゃん先生の『男子高校生とふれあう方法』を読んだ感想を、吉本先生からお伺いしましょうか。
**吉本**
女性にこういうものを描かれると、敵わないなって思います。男性の漫画家さんは、特にそう思うはずです。“こじらせる”という表現が流行っていますが、あれはまだプライドを意識して守って描いているような気がします。でも『男子高校生とふれあう方法』は“こじらせ系”を超えている感じがします(笑)。
**ぽん**
読者の側だったときは、自分が漫画を描くようになるなんて思ってもみなかったし、自分の単行本を吉本先生に読んでいただくなんて想像していませんでした。ありがとうございます。本当に嬉しいです!
――今日のお話を聞いて、昭和を描けば右に出る者がいない作家から、平成生まれの注目株作家へと、バトンが渡っているように感じました。
そんな吉本先生の新連載『「ルーザーズ」~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』は、「漫画アクション」創刊50周年記念作として、半世紀にわたり脈々と受け継がれてきた最初のバトンの物語ですね。
ルーザーズ ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~
『ルパン三世』『子連れ狼』『この世界の片隅に』などの名作を誕生させた「漫画アクション」の創刊にまつわる物語なので、興味深く拝読しています。
初代編集長の清水文人さんや、『ルパン三世』の作者・モンキー・パンチ先生たちの若き日々が吉本先生の筆で生き生きと描かれていて、物語に引き込まれます。
そして、ぽんちゃん先生の2冊目の単行本を待ち焦がれている読者も多いですから、こちらもさらに熱くなりそうですね。
今日は、お三方の貴重なお話をありがとうございました。
著者よりも『昭和の中坊』に詳しいぽんちゃん先生にひたすら圧倒された吉本先生。お互いエールを送ります。
シュールのようでシュールだけでもない。笑えるけれど、笑えない。泣けるようで、泣いていられない。 それが『男子高校生とふれあう方法』。
地球のお魚ぽんちゃん先生がSNSに発表していた短編がもとで、これが徐々に話題となり、2016年に双葉社より単行本が発売される。瞬く間に重版出来! カルトな人気はさらに一般へと広がりを見せている。 物語の軸は、男子高校生につきまとう謎のDKO(男子高校生おんな)。作者の趣味嗜好を反映させているというDKOが、男子高校生に様々なかたちで接触をはかろうとする姿を淡々と描き、読者を圧倒する。 なお、DKOは、ぽんちゃん先生ご自身にとてもよく似ている。
2017年10月より「漫画アクション」で連載が始まり、多くの読者が、次の単行本化を心待ちにしているところである。