カンフー映画
1974年、日本にそれまで経験したことのないカンフー・ブームが巻きおこりました。日本全国熱狂といっていいでしょう。ブームの元は1973年12月22日に公開されたブルース・リー主演のカンフー映画「燃えよドラゴン」です。

ブルース・リー
とにかくカッコよかった。とにかく大ヒット。その流れから二匹目のどじょうを狙おうと1974年には次々と香港よりカンフー映画が上陸してきます。
しかも「燃えよドラゴン」にあやかり、どれもこれも邦題に「ドラゴン」と付けて!
しかし、まぁ、それはそれで面白いんですよね。そんなカンフー映画特集です!
燃えよドラゴン
ブームの火付け役「燃えよドラゴン」を避けて通るわけにはいきません。カンフー映画といえば、香港なわけですが、「燃えよドラゴン」は、アメリカと香港の合作です。
このヒットによってカンフー映画はアジアから世界へと羽ばたいたのです。大ヒットしただけでなくアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されるほど評価もされています。

燃えよドラゴン
テーマソングも大ヒットしましたねぇ。内容はというと、本作に限らずカンフー映画は単純明快です。悪を倒す!恨みを晴らす!これです。これだけです。
70年代のカンフー映画は肉弾戦。アクションを楽しめばいいのです(極論!)。
胸のすく思いとはまさにこのことですね。今では慣れてしまいましたが、「ヌンチャク」というすりこ木を2本クサリで繋いだような武器を初めてみて驚いた人は多かったと思います。
片腕ドラゴン
「燃えよドラゴン」は爆発的に大ヒットし、カンフー映画ブームが到来。映画会社もここで一儲けと思ったのでしょうが、「燃えよドラゴン」の日本公開前にブルース・リーは既に亡くなっていたたのです。そこで彼の過去の作品が次々に公開されます。
●「ドラゴン危機一発( THE BIG BOSS)」
●「ドラゴン怒りの鉄拳( FIST OF FURY)」
●「ドラゴンへの道(THE WAY OF THE DRAGON)」
タイトルに、やたらとドラゴンと付いていますが、洋題をみると「ドラゴンへの道」だけですね。ドラゴンと付いているのは。ここに映画会社の便乗作戦が見えますね。

ドラゴンへの道
本家のブルース・リーからしてそうなのですから、原題を無視して「ドラゴン」をタイトルにしたカンフー映画が続々上陸してきました。と言うよりも、カンフー映画には「ドラゴン」と付けるよう決められていたかのようでした。
その中で特出していたのが「片腕ドラゴン」です。

片腕ドラゴン
主演のジミー・ウォングは、ブルース・リーが登場する以前から香港映画で活躍していたレジェンドです。代表作となるのが「片腕ドラゴン」で、この映画は、後の映画界に多大な影響を与えたカンフー映画の金字塔なんです!
悪の武道家たちに師匠を殺され片腕にされたジミー・ウォングが復讐を果たすというストーリーです。見どころは修行場面でしょうか?!衝撃的です。
敵は空手家、ラマ僧、ヨガの達人、ムエタイなどで今でいうところの異種格闘技戦となっており、その走りと言ってもいいでしょう。
帰ってきたドラゴン
「帰ってきたドラゴン」。帰ってきたといってもブルース・リーではなく、この映画で香港から凱旋帰国したアクション俳優・倉田保昭ですね。主演はブルース・リャンで、相手役の倉田保昭は本作以降「和製ドラゴン」と呼ばれることに。

帰ってきたドラゴン
倉田保昭は、現在でも日本、香港、台湾で俳優として活躍しており、2013年には「第1回ベストアクションアワード」で「ベストアクション男優賞」と「特別アクション功労賞」を受賞しています。
地獄から来た女ドラゴン
ドラゴンは何も男だけではありません。ジュディー・リー。彼女こそが女ドラゴンその人です。しかも、カワイイ顔をしているものの、地獄から来たとあってはただ事ではありません。

地獄から来た女ドラゴン
「女だからって舐めないでよね」という言葉が聞こえてきそうなキレッキレのアクション・シーン。しびれますねぇ。
ドラゴンが男ばかりではないように、カンフー映画とはいえドラゴンばかりでもありません。「タイガー」だっているのです!
「怒れ!タイガー」。主役のチャーリー・チャンは、第二のブルースリーと言われていました。残念ながら、そこまでの人気は出ませんでしたが、カッコいいんですよね。

怒れ!タイガー
「残酷ドラゴン 血斗竜門の宿」「怒れるドラゴン不死身の四天王」「嵐を呼ぶドラゴン」「ドラゴンvs七人の吸血鬼」「ドラゴン世界を征く」「ドラゴン対不死身の妖婆」「用心棒ドラゴン」香港以外にも「黒帯ドラゴン」「荒野のドラゴン」テレビでも倉田保昭が主演した「闘え! ドラゴン」などなど日本では1974年にほとんどまとめて公開されたのですから驚きです!
この後、一旦カンフー映画ブームは収まります。次に注目を集めるのはコミカルなカンフー映画という新機軸を打ち出したジャッキー・チェンの登場からです。