70年代中頃から80年代中頃にかけて大ブームとなった薬師丸ひろ子のデビュー作を含む70年代の角川映画をご紹介します

70年代中頃から80年代中頃にかけて大ブームとなった薬師丸ひろ子のデビュー作を含む70年代の角川映画をご紹介します

映画不況と言われていた70年代に颯爽と登場した角川映画。独自のプロモーションを展開して次々と映画をヒットさせました。今となっては忘れがちですが、薬師丸ひろ子や原田知世も角川映画でデビューしたんですよね。


角川映画

1976年より製作が開始された「角川映画」。当初は角川書店による書籍と映画のメディアミックス戦略で、角川春樹の号令の下「角川商法」とも呼ばれ映画は大ヒットしました。

角川映画

映画不況と言われていた70年代に突如として現れ、大ヒット作を連発した角川映画の70年代を振り返ります。
まぁ、どれもこれも懐かしい思い出深い作品ですよ。

犬神家の一族

記念すべき角川映画の一作目は、1976年 10月公開の「犬神家の一族」です。これがいきなりの大ヒットとなりました。
全国の書店で原作者である横溝正史のキャンペーンを大々的に行い、当時はあまり行われていなかったテレビCMをバンバン流したのです。


監督:市川崑 
脚本:長田紀生、日高真也、市川崑 
原作:横溝正史 
製作:市川喜一 
製作総指揮:角川春樹 
出演者:石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子、三國連太郎 
音楽:大野雄二 
主題歌:愛のバラード

犬神家の一族

横溝正史の作品は何度も映像化されていますが、探偵の金田一耕助を原作通りの着物姿で登場させたのはこの映画が初めてです。しかし何と言ってもインパクトがあったのは、不気味なマスク姿の佐清でしょう。

犬神家の一族(1976年版)

人気はあったもののヒット作には恵まれていなかった石坂浩二にとって初めての大ヒット作であり、金田一耕助は当たり役となりました。

しかし、その金田一耕助も佐清の前では影が薄く見えます。

人間の証明

15億6000万円の配給収入を記録した「犬神家の一族 」でしたが、1977年10月に公開された「人間の証明」、これもまた大ヒットしました。

監督:佐藤純彌
製作:角川春樹
プロデューサー:吉田達、サイモン・ツェー
脚本:松山善三
撮影:姫田真佐久
美術:中村修一郎
照明:熊谷秀夫
録音:紅谷愃一
編集:鍋島惇
音楽監督・作曲:大野雄二
主題歌:「人間の証明のテーマ」(歌:ジョー山中)
出演者:岡田茉莉子、松田優作、ハナ肇、夏八木勲

人間の証明

今となっては松田優作は勿論のこと、シリアスなハナ肇を観れるのは嬉しい限りです。しかし、しかしです。この映画がヒットした要因はテーマ曲でしょう。

やっぱりいい曲ですね。
この曲は、フラワー・トラベリン・バンドのボーカリストとして実力はあるものの、知る人ぞ知るという存在だったジョー山中を一躍メジャーにしました。

映画の方も配給収入22.5億円と前作を上回る成功を収めています。

野性の証明

角川映画3作目は、前作に続き森村誠一の小説を原作とした「野性の証明」が1978年に公開されています。

監督:佐藤純彌 
脚本:高田宏治 
原作:森村誠一 
製作:角川春樹、坂上順、遠藤雅也 
出演者:高倉健、中野良子、薬師丸ひろ子 
音楽:大野雄二 
主題歌:町田義人「戦士の休息」 
撮影:姫田真佐久 
編集:鍋島惇 
製作会社:角川春樹事務所

野性の証明

前作の人間の証明で「お母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね…」で始まるコピーがテレビで連日流れ流行り言葉のようになりましたが、今作でも「お父さんこわいよ。なにかが来るよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」がとても印象的に宣伝されていました。

角川映画はコピーの作り方が上手かったということですね。

この映画の主演は高倉健ですが、この後角川映画の中心的存在となる「薬師丸ひろ子」のデビュー作です。

野性の証明は、角川映画としては初めてこの年の邦画配給収入の第1位(21億8000万円)となっています。

戦国自衛隊

4作目の1979年 1月公開された「悪魔が来りて笛を吹く」は、角川春樹個人が東映にプロデューサーとして迎えられた純粋な東映映画となりました。

原作はまたしても、横溝正史の金田一耕助シリーズ。但し、金田一耕助を演じるのは西田敏行です。

そして1979年4月公開の高木彬光原作「白昼の死角」。

更に1979年8月には松田優作の主演が嬉しい大藪春彦原作の「蘇える金狼」と続き…、

1979年4本目の問題作「戦国自衛隊」が12月に公開されます。
それにしても、ものすごいペースで制作されていますね。

戦国自衛隊

良くも悪くも超大作、良くも悪くも話題となりました。

原作は半村良のSF小説「戦国自衛隊」です。まさに奇想天外!キャッチコピーの「歴史は俺たちになにをさせようとしているのか」に妙に納得してしまします。

1980年 6月に更なる大作「復活の日」が公開されるのですが、思ったような収益を得ることが出来ず、角川映画の大作路線は70年代の終わりと同時に終了します。

その後は薬師丸ひろ子をはじめ、渡辺典子、原田知世といった専属の主役俳優を発掘し、コンパクトな作品を制作したことで大作路線からの変更は成功することになります。
素晴らしい!これからも魅力的な俳優を育ててほしいものです。

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