郷ひろみ
郷ひろみ と言えば生まれた時からスターになることが確定していたかのような羨ましすぎるルックスで、実際スーパーがつくほどのアイドルとなりました。70年代、アイドルと言えば郷ひろみ。それはもう眩いばかりの活躍でした。
それが気が付けばいつのまにやらアイドルから立派なシンガーに成長していることに今さらながら驚かされます。いったいいつの間に!これです。
デビュー早々に大ブレイクを果たし、アイドルからの脱皮を図るまでの郷ひろみ を追ってみました!
男の子女の子
衝撃のデビュー曲「男の子女の子」を含む同名の郷ひろみ のファーストアルバムが出たのは1972年。まぁ、とにかくジャケットを見てください。女の子だったらもうジャケ買しますね、これは。
「男の子女の子」をはじめとしてアルバムの収録曲の多くを70年代を代表する作詞家:岩谷時子、作曲家:筒美京平がガッチリとサポートしていて、郷ひろみ の世界を作り上げています。
その一方で興味深いのは、岩谷時子、筒美京平以外の作品です。特に興味深いのは「トゥー・ヤング」「涙のくちづけ」「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」の3曲のカバー。
中でも注目は「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」でしょうか、ダニー・オズモンド、デル・シャノン、レターメン、マリーナ・ショウ、ザ・ハプニングスなどで知られている名曲を岩谷時子の日本語詞で歌っています。
男の子女の子
シングル「男の子女の子」がリリースされたのは1972年の8月1日。郷ひろみ は16歳です。当時は郷ひろみ自身が男の子のようでもあり、女の子のようでもありました。
セカンドシングルの「小さな体験」がリリースされたのもファーストアルバム「男の子女の子」と同じ1972年11月1日。同時発売だったのですがアルバムには収録されていません。
が、「小さな体験」のカップリングだった「せのびした16才」は収録されているという。なんだか大人のあざとさというか、しっかりとした戦略を感じますね。
で、その「せのびした16才」ですが、作詞をフォーリーブスの北公次が担当しています。
愛への出発
2ndシングルの「小さな体験」も無事に収録された2ndアルバム「愛への出発」。
1曲目の「愛への出発」から6曲目の「卒業」までがレコードで言うところのA面です。で、この6曲は全て岩谷時子と筒美京平コンビの作品です。
B面には様々な作詞家、作曲家が携わっているのですが、やはりA面が素晴らしいです!
愛への出発
しかしこのアルバム、2ndシングルがめでたく収録されたということでホッと胸をなでおろしたにも関わらず、今度は3rdシングル「天使の詩」が未収録。4thシングル「愛への出発」が入っているにも関わらずです。
地味な曲ではありますが「天使の詩」は木下恵介アワー「おやじ山脈」主題歌でしたし収録しても良かったんじゃないですかねぇ。
作詞・作曲:アン・グレゴリ、P・クーラック、日本語作詞:ヒロコ・ムトーというのが問題だったのかもしれんです。
いやいや、そんなことよりも問題なのは4thシングル「愛への出発」でしょう。
「愛への出発」の歌詞は言ってしまえば失恋ソングなのですが意味深です。
歌詞に出てくる男女がどのような理由で別れることになったのかは分からんとはいえ、取りようによってはこの男、ヤルことだけやって後は知らんふりです。身勝手にも程があるといった内容。やり逃げ、そんな言葉が浮かんできます。
まぁ、世間知らずの女の子には、甘いマスクには気をつけろと言う教訓を残すことに。
ひろみの部屋
電話のベルが鳴り「もしもし、あ、ボクひろみです。今ひとりでレコードを聴いているところなんです」というトークから始まる3rdアルバム「ひろみの部屋」。まるで郷ひろみの部屋をのぞき見しているような錯覚を覚える(ホントか?)ニクイ演出が光っています。
郷ひろみが電話越しにアルバムを聴かせるというコンセプト、とってもオシャレですね(ホントか?)
ひろみの部屋
コンセプトアルバムと言っても音楽的な統一感はあまり感じられず、逆に言えばバラエティ豊か。でもってイイ曲が多いです。
5枚目、6枚目のシングルとなった「裸のビーナス」と「魅力のマーチ」を収録しているところもポイント高いです。
もしかすると、この頃がアイドルとしてはもっとも勢いがあったかもしれませんね。
「ひろみの部屋」には1973年の12月に発売されていた7枚目のシングル「モナリザの秘密」も収録しても良かったのではないかと思いますが、残念ながら未収。
「モナリザの秘密」は1975年6月1日に発売された初のベストアルバム「郷ひろみデラックス」に収録されることになります。