心に残る土曜夜8時の人気番組と言えば、やっぱり「ひょうきん族」じゃなくて「8時だョ!全員集合」!

いかりや長介著書「だめだこりゃ」表紙
そんなドリフ派のミドルエッジ世代の心に今も刻み込まれているのが、当時毎週楽しみにしていたドリフターズの丹念に造り込まれた笑いの数々。
今見ても十分過ぎる程面白く、斬新なその笑いの数々を毎週世に送り出していたチームのリーダー、それが我らの長さんこと、故いかりや長介だ!

「8時だョ!全員集合」DVDジャケット
長さんの「オイッス!」のかけ声に、「やった、明日は休み!」の嬉しさを実感したあの幸せな思い出こそ、我々ミドルエッジ世代にとっての原体験!幸いにして、現在はDVDボックスでリリースされたり、動画サイトにも当時の映像がアップされているので、長さんのあの顔と声には何時でも会うことが出来る。
ただ、確かにテレビや映画・ドラマでの長さんの姿は我々にとって馴染み深いのだが、長さん個人の生い立ちや私生活、ドリフ結成のエピソードなど、自分も含めて彼の背景に関してはあまり知らないという方も多いのではないだろうか?
そこで今回は、ドリフが人気絶頂を迎えていた1975年に掲載された、いかりや長介の貴重な伝記マンガ、「実録ドリフの長さん」を紹介することにしよう。
ドリフといかりや長介、そして「8時だョ!全員集合」について更に詳しく知りたい方は、以下のリンクからどうぞ。
いかりや長介 - Wikipedia
8時だョ!全員集合 - Wikipedia
伝記マンガ「実録ドリフの長さん」概略

掲載誌の表紙と、本作の扉絵
本作が掲載されたのは、月刊少年ジャンプ1975年3月号。作者はこの実録シリーズを通して描かれていた、島田賢司先生。

「漫画ドリフターズ」扉
実は本作が掲載されたこの頃、すでに週刊少年ジャンプには毎週「漫画ドリフターズ」が連載されていたのだが、それとは別に長さん単体の伝記マンガが掲載されるというこの人気!
これこそ荒井注の脱退から志村けんの加入を経て、その黄金時代を迎えようとしていた当時のドリフの人気振りを象徴する物だと言えるだろう。
長さんの子供時代からドリフ結成の経緯も描かれる本作だけに、当時の子供たちにとっては正に知りたい情報満載の内容となっていたのだが、未だに単行本等には未収録のままなのが残念!
伝記マンガ「ドリフの長さん」内容紹介

1975年当時のドリフメンバー、若い!

長さんの口から語られる、その生い立ち。
マンガの前半で語られるのは、長さんの生い立ちと音楽の道に入るきっかけ、そして奥さんとの出会い・結婚まで。
3歳の時に母を亡くした長さんは、家の経済状態のため、中学を卒業してすぐ働きに出ることに。昼間は製紙会社、夜はバンドマンとして働く長さんの前に、ある日運命の女性が現れ二人は結婚!

長さん結婚!そして迎える挫折。
結婚、そして有名バンドへの加入と、人生が順調に進んでいたかの様に見えた長さんだが・・・。
マンガでも描かれている通り、やはりその個性的な顔?が災いしてか、普通の音楽バンドには合わないと判断されることが多かった長さん。
厳しい生活と苦労の末、ついに長さんは自身の個性を最大限に生かす道である、「コミックバンド結成」へと進路を取ることになる。
そして結成されたのが、ザ・ドリフターズ!

初代ドリフターズ結成!しかし・・・。
長さんをリーダーとしてついに結成された、ザ・ドリフターズ!だが最初から上手くは行かず、初代ドリフは加藤茶と長さんを残してそのまま解散へ・・・。
その後再結成された新生ドリフターズのメンバーこそ、我々が良く知るドリフのメンバーだったのだ。

長さんの厳しい指導でお茶の間の人気者に!
厳しい長さんの指導もあって、テレビを中心にどんどん人気者になって行くドリフターズ!
だが、舞台上での事故により、長さんが長期の入院を余儀なくされることに・・。

舞台で転倒して長期入院中の長さんを見舞うメンバー!
長さんの妥協を許さない厳しい指導に、不満だらけだったメンバーたち。
しかし長さんの不在を経験して初めてその重要さに気づいたことで、復帰後のドリフの絆はより固い物に!

長さん無事復帰、そして志村けんの加入!

厳しくも愛されるリーダー、それが、いかりや長介!
この作品が書かれた前年の1974年に、荒井注に変わって新メンバーとして加入したのが、ご存じ志村けん!。
意外に思われるかも知れないが、この時の志村けんはまだ24歳!リーダーのいかりや長介・高木ブーとは実に20歳の年齢差があった。
この志村けんという若い血の導入は、見事に大成功!この後のドリフの快進撃は、我々ミドルエッジ世代にとっては正にリアルタイムで体験したところだ。
テレビと平行して、東宝や松竹の主演映画でも活躍して来たドリフだったが、残念ながらこの年の年末に公開された松竹映画「正義だ!味方だ!全員集合!!」を最後にシリーズは終了。以後はテレビ出演をメインに大活躍することになる。

本作が書かれた頃のドリフのメンバー
長さんを始め、残念ながら既に鬼籍に入ったメンバーもいるが、未だに芸能界で活躍されているドリフのメンバーたち。
こうしてマンガの形を取って、当時の子供たちにも彼らの足跡が伝わっていた事実。これこそ正に、ミドルエッジ世代にとっての貴重な財産と言えるだろう。
最後に
いかがでしたか?
1985年の「8時だョ!全員集合」放送終了まで、我々ミドルエッジ世代を大いに笑わせてくれた長さんだったが、後年はテレビドラマ「独眼竜正宗」への出演で俳優としてブレイク、1991年黒澤明監督の「夢」への出演を皮切りに、映画俳優としても高い評価を得ることになった長さん。中でも記憶に残るのは、フジテレビの人気ドラマ「踊る大走査線」での和久さん役だろう。
俳優以外にも、舞台やレポーターなど様々な分野でその才能を発揮した長さんだが、中でも異色だったのは実写映画「ポパイ」でのポパイの吹替え!これが意外に良く似合っていてビックリ!実はこの実写版「ポパイ」、ビデオ発売のみで未だにDVD化されていないのが残念!
残念ながら2004年に72歳で他界されてしまった長さん。
だが、今でも全盛期のコントや役者として出演された映像により、その雄姿を我々の前に見せてくれている。
今年の年末年始は、お家で久しぶりにドリフの全盛期のコントを見返してみては?