準決勝は、過去に2回も1本負けをした増田章だった。
試合開始早々、増田章は正拳を連打しラッシュ。
八巻建志は腰をしっかり落とし下段回し蹴りで内足を蹴って突進を止め、逆に正拳を打ち込んだ。
中央でもつれ合い主審が分けると両者は激しく睨みあった。
2分、増田章は体を密着させ接近戦で拳をボディに叩き込む。
この時、少し下がった増田の頭部を八巻建志が右膝で突き上げ顎を打ち抜いた。
増田章はガクッとのけぞったが、しかしそのまま体をあびせて一緒に倒れこんでダメージを覆い隠した。
延長戦で八巻建志は下段回し蹴りから右ボディフックをいれ前屈みにさせ、膝蹴りを連打。
増田章は防戦一方となってずるずる下がり判定勝ち。
決勝戦の相手は、田村悦宏だった。
田村悦宏は元ラグビー選手。
体重110kgの体で重い突きと下段回し蹴りで相手を圧倒するスタイル。
試合は壮絶な打撃戦となった。
2人は試合場の中央で足を止めて突き合い蹴り合った。
本戦、延長戦ともに両者1歩も引かず再延長戦へ。
八巻建志が後ろ回し蹴りから踵を落とすと田村悦宏は重い拳の突きから右の下段回し蹴り。
再延長戦でも決着はつかず、体重判定でも110kgと103kgで規定に足らず。
延長2回を戦い決着がつかず、体重判定も10Kg以上の差がなかったため試割り判定となるはずだった。
それだと田村が勝っていた。
しかし
「これは決勝戦なので完全決着しなければならない」
という大山倍達総裁のツルの一声で3度目の延長戦へ突入。
重戦車のごとく突進する田村悦宏に、八巻建志は突きを連打し膝蹴りをボディに突き刺した。
これで勝負が決まった。
八巻建志は、ついに日本一になった。
