1973年7月20日と言えば、ミドルエッジ世代にとっての永遠のアクションスター、ブルースリーの命日!
そして同じく7月20日と言えば、彼の代表作である「ドラゴン怒りの鉄拳」が日本で初公開された日でもある。

「ドラゴン怒りの鉄拳」劇場用ポスター
今回はそれを記念して、「ドラゴン怒りの鉄拳」の、日本におけるコミカライズ(映画をコミック化した物)について、紹介することにしよう。
後述する様に、「ドラゴン怒りの鉄拳」コミカライズ版は、実は複数存在するのだが、中でもその出来とレア度においてはナンバー1である、増刊プレイコミック版「ドラゴン怒りの鉄拳」は、現在非常に入手困難となっていて実に貴重!是非この機会に、その素晴らしさの片鱗を感じて頂ければと思う。
注:「ドラゴン怒りの鉄拳」に関して詳しく知りたい方は、こちらのリンクからどうぞ。
ドラゴン怒りの鉄拳 - Wikipedia
コミック版「ドラゴン怒りの鉄拳」概略
1974年7月20日の日本劇場公開に合わせ、当時本作のコミカライズ版は、雑誌掲載と単行本の二種類の方法で世に出ることとなった。
まず最初に、単行本で出版された作品を紹介することにしよう。

「劇画ブルース・リー」表紙
まずは、ケイブンシャのエコーコミックスから出版された単行本、「劇画ブルースリー」だ。
この本には、「燃えよドラゴン」、「危機一発」、「怒りの鉄拳」、それにブルースリーの伝記マンガ「死亡遊戯」の、計4本が掲載されている。

中城健先生版「怒りの鉄拳」扉絵。
「怒りの鉄拳」の作者は中城健先生なので、さすがにアクションシーンの迫力が他の作品とは段違いに凄い!

朝日ソノラマ版「怒りの鉄拳」表紙。
こちらの2冊は、朝日ソノラマのサンコミックスから出版された単行本。ちなみに「怒りの鉄拳」のコミックは、「危機一発」と一緒に1冊の本にまとめられている。
作者は本宮ひろし先生ではなく、あくまでも本宮プロとなっており、実はこの頃本宮プロでは、この他にも映画のコミカライズ版を製作していた。

香港海賊版の表紙。
これは朝日ソノラマ版のコミックスが、香港で勝手に海賊版として流通していた物だ。
実はこの香港海賊版「怒りの鉄拳」には、重大な秘密があるのだが・・・。

香港海賊版の扉絵!
その秘密とは見てお分かりの通り、何と勝手に誰かが所々書き足しているのだ!

香港海賊版の中身:1

香港海賊版の中身:2
いかがだろうか?この余りにやる気の無い加筆修正っぷり!
まさか香港でも勝手に出版されていたとは驚きだが、その上勝手に素人が書き足していたとは・・・。
実は「怒りの鉄拳」だけで無く、「燃えよドラゴン」の方も海賊版が香港で出ていたのだが、何故かこちらの方には勝手な加筆部分は無かった。
未だにこれらの勝手な加筆の理由は判明しておらす、マニアにとっては永遠の謎とされている。
さて、次はいよいよ幻のプレイコミック掲載版、「ドラゴン怒りの鉄拳」を紹介することにしよう。
増刊プレイコミック版「怒りの鉄拳」内容紹介

掲載された「増刊プレイコミック」表紙と扉絵。
本作が掲載されたのは、週刊プレイコミックのしかも増刊号!
麻雀劇画特集号と書かれた表紙では、さすがに当時の子供たちの目には届かなかったに違いない。
単行本として出版された他の二作品に比べて遥かに入手困難な作品、それがこの増刊プレイコミック版の「ドラゴン怒りの鉄拳」なのだ。

いきなり死体を吊るすシーンから始まる!

チェンの置手紙!

亡き師匠の墓に復讐を誓うチェン!

影の黒幕達の密談。
ご覧の通り、冒頭の部分は2色カラーで描かれていた。ページ数の関係からだろうか、映画の冒頭部分がかなり省かれており、先生を毒殺した犯人を既に処刑した後のシーンから、このコミカライズ版は幕を開ける。

映画以上の怪力描写を見よ!

次々と殺されて行く日本人たち!

遂に敵の道場に殴り込んだチェン!

映画の名シーンを再現!
影で糸を引いていた通訳を処刑し、師匠の仇である鈴木の道場に殴り込むのは、映画通りの展開。

遂に対決!

一瞬で勝負が着くとは・・・。

鈴木対チェン、宿命の対決!

遂に師匠の敵を打ったチェン。
本作のアクションシーンの迫力は、中城健先生版に劣らない素晴らしさ!

復讐が終わって、道場に戻ったチェンだったが・・・。

そして迎える、あのラストシーン。
復讐を果たした主人公チェンが道場の仲間を救うため、警官隊の銃声の中に飛び込んで行くラスト!ここは映画史に残る名場面だけに、どのコミカライズ版でも共通のラストシーンとなっている。
公開当時まだ小学生で、劇場に見に行けなかった世代の子供達は、こうしたコミカライズに接することで、ブルース・リーの映画やアクションを擬似体験していたのだった。幸いブルース・リーのコミカライズ作品に関しては、単行本に収録されている物も存在するので、この記事を読んで当時の記憶が蘇って来た方は、是非古書店で探して頂ければと思う。
最後に
ブルースリー主演作の中でも、最高傑作として評価の高い本作だけに、見よ!このコミカライズ版の数の多さ。
実はブルース・リー主演映画の公開時期と、日本における映画コミカライズ版流行の時期が重なるため、嬉しいことにブルース・リー主演作品は、何らかの形で全てがコミカライズされている。その中にはリーの伝記マンガや、コミックスや雑誌では無くスポーツ新聞に掲載された物など、実に様々な物が存在する。
今後もそれらを一つずつ紹介していく予定なので、お楽しみに!