1973年に閉山した足尾銅山の歴史と現在は?

1973年に閉山した足尾銅山の歴史と現在は?

江戸幕府の直轄の鉱山として採掘が開始された足尾銅山は、1610年に開山し1973年に閉山するまで実に350年以上にも渡る長い歴史を持っています。私が中学生だった1980年代には、中学1年生の1日旅行は日光方面に行っていました。その時に足尾銅山にも立ち寄り、その当時でも寂れていたように感じてしまいましたが、現在はどうなっているのでしょうか?今回は足尾銅山の歴史と現在についてご紹介します。


足尾銅山の現在

40年近く前に訪れたときは、寂れて怖いような雰囲気だった足尾銅山ですが、今年訪れてみると観光客が増えていて、観光スポットとして見事に復活を遂げていました!
この寂れた雰囲気が廃墟マニア(どんなマニアだ…)にも人気なのだそうです。

入抗券は大人830円と格安で、更にトロッコ列車にも乗れるので気分も盛り上がっていきますね。
渡良瀬川沿いにトロッコ列車は走り、いよいよ鉱山に入抗です。
ただトロッコ列車はここで降ろされ、後は徒歩での見学となっていました。

見学コースに入ると、蝋人形の抗夫がお出迎えしてくれます。
規模は少し小さめですが、趣があって大満足ですね。

40年近く前に訪れた時とほぼ変わらず、昭和にタイムスリップしたようで感慨深いです。
足尾銅山の現在は、昔と変わらず訪れる観光客を楽しませてくれていました。

足尾銅山の歴史

続いて、足尾銅山の歴史についてご紹介します。
所在地:栃木県上都賀郡足尾町(現・栃木県日光市足尾地区)
発見:1550年(天文19年)
採掘開始:1610年(慶長15年)

幕府が鋳銭座を設けた足尾は、銅山として繁栄し、足尾の町は「足尾千軒」と言われる発展を見せました。

足尾銅山で採掘された銅は日光東照宮や江戸・増上寺の部材などにも使用されて、当時の代表的な通貨である寛永通宝が鋳造されたこともあったほどです。

江戸時代の最盛期には年間1,200トンもの銅を産出しましたが、その後衰退の一途を辿っていきました。
そして幕末から明治初期にかけてはほぼ閉山状態となっていたのです。
1871年(明治4年)には民営化され、1877年(明治11年)には古河市兵衛さんが経営に着手し、探鉱技術を向上させ、次々に有望鉱脈を発見。

そして20世紀初頭には、日本の銅産出量の40%ほどの生産を上げる大銅山に成長したのです。

足尾鉱毒事件

銅山の繁栄の影で、排煙、鉱毒ガス、鉱毒水などの有害物質が周辺環境に著しい影響をもたらし、日本初の公害事件が発生します。

鉱毒ガスやそれによる酸性雨により足尾町(当時)近辺の山は禿山となってしまいました。
そして、木を失い土壌を喪失した土地は次々と崩れていったのです。

そして公害はそれだけに止まらず、、1878年と1885年には渡良瀬川の鮎の大量死という形で現れてしまいました。

鮎が大量死してしまうなんて、河川の汚染も深刻で、人間も無事ではすみません。
鉱毒によるカドミウム中毒で死者・死産は推計で1064人と言われています。
このすべてが鉱毒が原因とは言えないかもしれませんが、出生数が死者数を上回るのが一般的でしたが、関連地域では死者数の方が多かったため、鉱毒に関係があるとされました。

自身も足尾銅山鉱毒事件の被害者で、公害被害を政府に訴えた中心人物の田中正造さんは、教科書にも載っていましたよね。
明治天皇にも訴えようとするなど、真剣に活動に取り組み、また財産は全て鉱毒反対運動などに使い果たしたほど、人生のすべてを賭けて公害事件に取り組んでいます。

21世紀に入っても治山事業は続き、公害の凄まじさを物語っていますね。
まさに足尾銅山は、光と影の歴史を持った山だと言えます。

まとめ

今回は「1973年に閉山した足尾銅山の歴史と現在は?」についてご紹介しました。
ノスタルジックな観光スポットとして、人気の足尾銅山。
趣があり、歴史の勉強にもなるのでおススメです!

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公害 1973年 栃木

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