いつまでも色あせないブルーハーツが残した音楽
ヒロトとマーシーを中心に結成されたロックバンド『THE BLUE HEARTS』がメジャーデビューしたのは、1987年のこと。今から30年も前です。誕生から1995年の解散までに発表したシングルは14枚、アルバムは8枚。決して、多い枚数ではありません。しかしながら、それらの楽曲はいまだ色あせることなく…どころか眩い光彩を放ち、新たな若いファンを獲得し続けています。

ブルーハーツの4人
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ファン層拡大に大きく貢献していると思われるのが、近年放送されているテレビコマーシャル。おそらくは、80年代にブルハを聴いて青春時代を過ごしたクリエイターたちが、こぞって自身が手掛けるCMへ楽曲を使用しているのでしょう。おかげで、短編のミュージックビデオのごとく、カッコよくてスタイリッシュな映像とともに、彼らの名曲をテレビで楽しむことができるのです。今回はそんな、THE BLUE HEARTS楽曲をフューチャーしたTVCMをいくつか紹介していきます。
『人にやさしく』⇒1988年「レナウン」、2014年「エスカップ」
インディーズでリリースされたシングルながら、初期のブルーハーツを語るうえで欠かすことのできない楽曲『人にやさしく』。ヒロトがブルーハーツ以前に組んでいたバンド『ザ・コーツ』時代に作詞・作曲した楽曲であり、この曲に衝撃を受けてマーシーはヒロトにブルーハーツ結成を持ちかけたといいます。2002年には、香取慎吾・松岡充・加藤浩次が出演した同名のドラマによって話題沸騰となり、CDが再販されたりもしました。
そんな同曲がこれまで、CMソングに起用されたのは2回。1988年にアパレル会社「レナウン」の企業CMと、近年においては、2014年にエスエス製薬の栄養ドリンク「エスカップ」のCMで使用されました。
『終わらない歌』⇒2011年「日本中央競馬会(JRA)」
ファーストアルバム『THE BLUE HEARTS』の中に収録されている『終わらない歌』。「終わらない歌を歌おう♪」という、シンプルながらも力強い歌いだしで心を鷲掴みにされる同曲は、吉高由里子・佐藤健・ 桐谷健太が出演していたころのJRAのCMで歌われていました。
『リンダリンダ』⇒2011年「earth music&ecology」、2016年「PS4」
これまでさまざまなシーンで幾度となく耳にして、これからも、何度となく耳にするであろう、ブルーハーツのメジャーデビューシングル『リンダリンダ』。
もはや、J‐POPの定番ソングとなっている同曲ですが、その魅力といえば、多くのブルーハーツ曲と同様に、誰でも口ずさめるキャッチーかつシンプルな歌詞とメロディにあるといっていいでしょう。本業が歌手ではない宮崎あおいや、山田孝之にCMでカバーされていたのも、そういった歌いやすさが最大の要因だと思われます。
『キスしてほしい』⇒1989年「レナウン」、2015年「氷結」など
1989年にレナウン「I.N.EXPRESS」、2004年にSCE「PlayStation 2」、2007年にBIG ECHO、2009年に花王「アタックNEO」、2015年にキリンビール「氷結」など…。これまで使われまくってきたブルーハーツのセカンドシングル『キスしてほしい』は、企業CMのキング・オブ・キングスといっていいでしょう。
『ラブレター』⇒2004年「KDDI(au)」
バラードでは初のシングルカット曲となった、1989年リリースの『ラブレター』。今では三太郎シリーズのイメージが強いauのCMソングに使用されてから、テレビ朝日系ドラマ『特命係長 只野仁』のエンディングテーマになったり、同名映画の挿入歌に使われたりと、人気が再燃しました。
『青空』⇒2002年「生茶」
マーシーが作詞・作曲した『青空』。2002年に放送されたキリン「生茶」のCMで、坂口憲二が歌っていました。CM中にも歌唱されていた「生まれた所や皮膚や目の色で いったいこの僕の何がわかるというのだろう」というサビのフレーズは、いつの時代も胸に突き刺さります。
『情熱の薔薇』⇒2002年「グロンサン」、2011年「ドコモ」など
意外にもブルーハーツの楽曲でオリコン1位を獲得したのは、この1990年リリースのシングル『情熱の薔薇』だけ。「情熱の真っ赤な薔薇を~♪」というサビの印象が強い同曲ですが、このフレーズ、楽曲中は後半に1度きりしか出てきません。ヒロト曰く、屈折していた時期につくった曲のため、このような仕様になったのだとか。
『夢』⇒1993年「LIGHTS(サントリー)」、2014年「Sorridere(しまむら)」など
読売巨人軍の監督を務める高橋由伸。彼が現役時代、打席に立つ際はこの『夢』をBGMにしていました。古くは1993年にサントリー・ビール「ライツ」のCMソングに使用された同曲は、2007年には、NTT東日本のBフレッツ、2014年にはしまむらで販売されるSorridereのCMで、替え歌が披露されています。
『1000のバイオリン』⇒2006年「ワンダ100年BLACK(アサヒ)」など
ブルーハーツ通算15枚目のシングル『1000のバイオリン』。1993年にリリースされてから13年の時を経て、缶コーヒー「ワンダ」に起用された同曲は、映画監督の深作欣二が「人生で最も好きな曲」として挙げたことでも話題になりました。
以上のように、時代を超えて多彩のCMに使用され続けてきたブルーハーツの楽曲。きっとこれからも、本家・カバー曲・替え歌など、さまざまなカタチで、テレビからそのメロディ、その歌詞を聴くことになるのでしょう。
(こじへい)
THE BLUE HEARTS (ザ・ブルーハーツ)コーナー