【追悼・ダークダックス】男声コーラスグループの草分け!広く大衆に親しまれた名曲の数々

【追悼・ダークダックス】男声コーラスグループの草分け!広く大衆に親しまれた名曲の数々

男声コーラスグループの草分けで、1950年代から2010年代にかけて60年以上も活躍したダークダックス。幅広いジャンルをレパートリーとし、多くの世代に親しまれました。2023年9月にゾウさんが亡くなり、メンバー全員が鬼籍に。ダークダックスの活躍を振り返ります。


慶應義塾ワグネルソサィエティーの出身

ダークダックスは、メンバー全員が、慶應義塾大学経済学部、かつ同大学の慶應義塾ワグネルソサィエティー男声合唱団の出身です。1951年のクリスマスパーティーで『ホワイト・クリスマス』を披露したのがきっかけで、ダークダックスが結成されました。当時のメンバーは、この時現役の合唱団員だった3人(マンガさん、ゲタさん、ゾウさん)で、のちにパクさんが入学・入団し、4人組となります。

ダークダックスのメンバー

男声合唱は通常4パートあり、音の高い順に、トップ・テナー、セカンド・テナー、バリトン、バスというパート構成になっています。ダークダックスの4人もこの構成です。ステージの立ち位置は、向かって左(下手)から右(上手)に、高音から低音の並び順でした。



ダークダックスは50年近くもの間、4人で歌い続け、メンバーが病に倒れた後、また亡くなった後も残るメンバーで歌い続けてきました。しかし、2023年9月22日、最後の存命者だったゾウさんが亡くなり、メンバー全員が鬼籍に。。。



では、ダークダックスの4人をご紹介します。

ゴールデン☆ベスト ダークダックス

パクさん(高見澤 宏)

パクさんのパートは、一番高い音のトップ・テナー1933年11月9日生まれで、ダークダックスでは一番若いメンバーです。グループ結成時は3人組でしたが、パクさんが入学・入団してメンバーに加わり、4人組となりました。妻の兄が、萬屋錦之介です。2011年にメンバーで最初に逝去(享年77歳)。

マンガさん(佐々木 行)

マンガさんのパートは、二番目に高い音のセカンド・テナー1932年2月18日生まれで、本名は佐々木通正です。主にメロディーを歌いました。『青葉城恋唄』をともに歌ったさとう宗幸は親戚です。メンバーで最初に病に倒れ、2016年にゲタさんを追うように逝去(享年84歳)。

ゲタさん(喜早 哲)

ゲタさんのパートは、テナーとバスの間の音のバリトン1930年11月8日生まれで、顔が四角いという理由で "ゲタさん" という愛称が付けられました。本稿で引用している『日本の美しい歌―ダークダックスの半世紀』の著者でもあります。2016年に逝去(享年85歳)。

ゾウさん(遠山 一)

ゾウさんのパートは、一番低い音のバス(ベース)1930年5月26日生まれで、本名は、金井哲夫から改名し、現在は金井政幸です。最年長ながらダークダックス最後の存命者で、最後まで "ダークダックスのゾウさん" として活動を続けました。2023年に逝去(享年93歳)。

ダーク・ダックス 全曲集

ダークダックスの名曲

ダークダックスは広く大衆に親しまれた有名曲があまりにも多く、ここではその一部をご紹介します。

『ともしび』がヒット、紅白に出場

1957年、ロシア民謡『ともしび』が大ヒット。翌1958年に同曲でNHK紅白歌合戦に初出場し、当時の歌謡界にコーラスブームを巻き起こします。実は、グループとして初めて紅白に出場したのが、ダークダックスでした。以後、1971年まで14回連続で出場を果たし、1976年の最後の出場を含め、通算15回も紅白に出場しています。

『みんなのうた』から広まった曲

続いて、NHK『みんなのうた』で取り上げられた2曲。



『クラリネットをこわしちゃった』

『森の熊さん』




大人から子供まで知らない人はいないほどの有名曲ですが、ダークダックスの楽曲が同番組で取り上げられたことで、広く知られるようになりました。

『銀色の道』『雪山讃歌』など

そして、ポピュラーソングは、『ともしび』の他にも有名曲は多数あり、



『雪山讃歌』

『すずらん』

『北上夜曲』

『山男の歌』

『銀色の道』

など




枚挙に暇がありません。上記の曲はいずれも、紅白でも歌った曲です。



この中で、ダークダックスの曲として一番おなじみなのは『銀色の道』でしょう。また、『雪山讃歌』『北上夜曲』は、それぞれダークダックスが志賀高原と盛岡を訪れた時に、地元で歌われていた歌を発掘したものです。



『すずらん』『銀色の道』は、中学校の音楽の教科書に取り上げられ、音楽の授業で歌ったという方もいるかもしれません。

さとう宗幸との競作『青葉城恋唄』

さとう宗幸のデビュー曲でおなじみの『青葉城恋唄』ですが、実は、ダークダックスも同じ曲を歌っていました。当時無名だったさとうを "宣伝費をかけずに" 売り出すために、担当ディレクターが "有名コーラスグループ" にも歌わせるよう仕組んだ策略(!?)だったのです。ある意味、ダークダックスは嵌められた訳ですが、彼らも30万枚の売上を記録しています。

新三共胃腸薬 顆粒(かりゅう〜)

幅広い世代に親しまれていたダークダックスは、その人気からテレビCMにも数多く起用されました。



印象深いCMが多く、たとえば、象印のポット「ぞうさん」のCMで、女の子が "ダークダックスのゾウさん" のほっぺたにチューするシーンや、清酒「千福」のCMで、折り鶴のアニメーションの後、皆で一杯始めるシーンは、歌声とセットで覚えている方もいるでしょう。

そして、ダークダックスで一番有名なCMが恐らく、1982年から放送された三共(当時)のCM「新三共胃腸薬」でしょう。CMソングの作曲は、同じ慶應義塾大学卒で同年代の小林亜星『それぞれのダークたち』というタイトルで、「〜さんの場合は」というフレーズ付きのロングバージョンもあります。最後の「顆粒(かりゅう〜)」のフレーズがあまりにも印象的で、耳に残って離れないCMソングの典型でした。



「第一三共胃腸薬」に変わっても、このサウンド・ロゴは健在です。

60年以上も活躍したコーラスグループ

ダークダックスの活動期間は、1951年の結成から2016年まで60年以上。その中間点とも言える1987年には、ギネスブックに「最長寿コーラス・グループ」として認定されました。



2008年に群馬県館林市に誕生した「ダークダックス館林音楽館」では、彼らが亡くなった今も、グループゆかりの貴重な資料を見ることができます。



今宵は、ダークダックスの歌を聴きながら、"あの頃" の懐かしい思い出に浸ってみてはいかがでしょうか。

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