Chic
ナイル・ロジャースといえば、今では観光名所となっているニューヨークはハーレムにあるクラブ「アポロ・シアター」の音楽監督を経て、1977年にベーシストのバーナード・エドワーズと共に結成した、ファンクバンド「シック」のメンバーとして有名です。
しかし、それだけではありません。多くのヒット曲を送り出した80年代を代表するプロデューサーでもあるんです。

ナイル・ロジャース
シックとしてのナイル・ロジャースは日本でも知られるところでしょう。1977年に「ダンス・ダンス・ダンス」でデビューし、いきなりデビュー曲を大ヒットさせています。
他に代表曲としては「おしゃれフリーク」、「グッド・タイムス」などがありますが、ラップの最初のレコードといわれているシュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」は、「グッド・タイムス」を盗用したことでも知られています。
ソングライターやギタリストとして活躍する一方で、当時流行っていたディスコの影響もあり強力なリズムを主にし、洗練された音作りでプロデュースした作品は世界的な大ヒットを連発しました。
時代の顔となったナイル・ロジャースが80年代前半にプロデュースした代表的な作品をとりまとめてみました。
Diana_1980
初期の作品としてナイル・ロジャースがプロデュースしたものにシスター・スレッジのアルバム「華麗な妖精たち」やデボラ・ハリーのアルバム「kookoo」などがありますが、プロデューサーとして大成功したアルバムとなると、1980年に発表されたダイアナ・ロスのアルバム「ダイアナ」でしょう。
世界各国で1位を記録したシングル「アップサイド・ダウン」を聴けば、いかにもシック、いかにもナイル・ロジャースという音作りがされていることが分かります。
完成度は非常に高く、80年代の幕開けを高らかに告げているようです。

ダイアナ
当時、まだプロデュース経験の浅かった(!)ナイル・ロジャースは、 制作に際し、彼女と「何を歌いたいのか」を徹底的に話しあったという。
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Let's Dance_1983
ダイアナ・ロスに次いでナイル・ロジャースがプロデュースした代表的な作品と言うと、それまでは、どちらかと言えばカルト・ヒーロー的だったデビッド・ボウイが1983年に発表したメガ・ヒット・アルバム「レッツ・ダンス」です。
全世界で1000万枚以上も売り上げたこのアルバムは、ダンス・ビートにハード・ロックのゴリゴリのギターを組み合わせるという新機軸を打ち出しています。同じ構造を持ったマイケル・ジャクソンの大ヒット曲「今夜はビート・イット」よりも早く取り組んでいるのは流石ですね!
ダイアナ・ロスのアルバム「ダイアナ」と続けて聞くと、このアルバム「レッツ・ダンス」は地続きだということがわかります。

レッツ・ダンス
シンセサイザーを一切使用せずに筋肉質でギミックのないサウンドを作り上げたナイル・ロジャースのプロデュースの冴え、夭折した天才ブルースギタリスト、スティーブ・レイヴォーンの荒々しくも繊細なプレイ。
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デビッド・ボウイは、ナイル・ロジャースとは1993年のアルバム「ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ」で再び一緒に仕事をしています。
Like a Virgin_1984
1982年「エヴリバディ」の12インチ・シングルでプロのキャリアをスタートさせ、今なおポップ・ミュージックのアイコンとして君臨し続けているマドンナ。
そのマドンナがミュージック・シーンの頂点へと駆け上がることになったのが今さら説明の必要もないナイル・ロジャースのプロデュースによる大ヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」であり、その曲を収録した同名のアルバムです。
時代が求めていたということなのでしょうが、やはりこの時期のナイル・ロジャースは神がかっていますね。ナイル・ロジャースの確かなプロデュースがなければ、もしかすると今のマドンナはなかったかもしれないですよ?!

ライク・ア・ヴァージン
She's the Boss_1985
1985年にナイル・ロジャースが手掛けたのは、当時解散の危機が囁かれ険悪なムードが漂っていたザ・ローリング・ストーンズのボーカルであるミック・ジャガーのファースト・ソロ・アルバム「シーズ・ザ・ボス」です。
一説によると、ミック・ジャガーはザ・ローリング・ストーンズから脱退を考えていたそうで、本作発表後はソロ活動に積極的に取り組んでいくのですが、シングル・カットされた「ジャスト・アナザー・ナイト」が全英32位、全米12位、アルバムも全英6位、全米13位と思いのほかヒットしなかったため、ザ・ローリング・ストーンズに留まったと言われています。
しかし、ナイル・ロジャースのプロデュースは文句なしです!ゲストで参加しているジェフ・ベックのギターも素晴らしく必聴ものです。元々ザ・ローリング・ストーンズとは仲が良かったとはいえ、1984年に発表されたジェフ・ベックのアルバム「フラッシュ」をナイル・ロジャースがプロデュースしていますから、その関係からの参加だったのかもしれませんね。

シーズ・ザ・ボス
他にもデュラン・デュランやB-52's、はたまた日本のTM NETWORK まで多くのミュージシャンのプロデュースを行い80年代の音を作り続けたナイル・ロジャース。
その輝きは未だに曇ることはありません!