高校時代に嗚咽涙した「エピタフ」は、キングクリムゾンのデビューアルバムから

高校時代に嗚咽涙した「エピタフ」は、キングクリムゾンのデビューアルバムから

キング・クリムゾンは、ELPやイエス、ピンク・フロイドとならんで「プログレッシブ四天王」の一角を形成。 結成から半世紀が経とうとしているが一貫してオリジナルメンバーはギタリストのロバート・フィリップただ一人。 つまり実は、ロバート・フィリップがオーナーの前衛ロック・セッション・バンドが正体ではないか。


序章:キング・クリムゾンの軌跡

キングクリムゾン誕生

ロバート・フィリップは、幼少の頃から地元のクラシックギター教室に通っていた。同じギター教室には後にキング・クリムゾンを一緒に結成することになるグレッグ・レイクも通っており二人はこの頃からの友人関係となる。
1967年、後のキング・クリムゾンのメンバーとなるジャイルズ兄弟(マイケル・ジャイルズ、ピーター・ジャイルズ)との3人で、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップを結成して、アルバム1枚を発表。。
このバンドを母体に、イアン・マクドナルドとグレッグ・レイクが参加し、初期キング・クリムゾンへと完成となった。
ところで唐突ですが、グレック・レイクの訃報を12月9日に聞きました。謹んで冥福をお祈りします。

キング・クリムゾンの横顔

結成から半世紀が経とうとしているが一貫してオリジナルメンバーはギタリストのロバート・フィリップただ一人。
キング・クリムゾンを、例えばビートルズやローリング・ストーンズのようなメンバー固定の「バンド」と見てはいけない。
前身の「ジャイルス、ジャイルス&フィリップ」が1968年に結成。アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」で1969年にデビュー。
以降、リーダーのロバート・フィリップはバンドメンバーを、時に強権的な姿勢で次々と替えて現在に至る。当然、音楽性も幾分多様性を辿ってきた。

オーナー=ロバート・フィリップ

1969年のバンド結成から現在に至るまで、ロバート・フィリップはキング・クリムゾンにおける主導権を握り続けている。
これまで、時として独裁者の如くのリーダーシップを執ることがあり、それがバンド内に亀裂を生み出すことがあった。
メンバー・チェンジなどの人事的な決定権も握っており、ピート・シンフィールド(作詞担当)やデヴィッド・クロス(ヴァイオリン)の脱退も実質的にはフィリップによる解雇だと言われている。
そのリーダーシップと厳格な音楽への取り組みによって1960~1970年代のプログレッシヴ・ロック・ムーブメントを支え、その語義どおりの音楽スタイルから多くのアーティストに影響を与えてきた。
特に、インプロヴィゼーションを主体とした演奏方法で人気を博した。デビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」(1969年)や「レッド」(1974年)における彼のギター・プレイは非常に高く評価されている。
しかし本人はそうしたプログレとしてのイメージを刷新するごとく音楽的な変化を求め続けており、キング・クリムゾン自体のサウンドも時代時代によって大胆な変遷をたどった。
キング・クリムゾンでの活動以外にも、様々なアーティストと交流を持ってきた。
デヴィッド・ボウイ、ブライアン・イーノ、ピーター・ガブリエル、ダリル・ホール、デヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)、アンディー・サマーズ(ポリス)、デヴィッド・シルヴィアン(ジャパン)と、錚々たる個性派の面々と音楽活動を共にしてきた。
1974年のキング・クリムゾン解散後、「もうギターは弾かない」と決心し、半ば音楽業界から引退状態にあったが、デヴィッド・ボウイとブライアン・イーノの呼び掛けで音楽活動に復帰したという経緯がある。
2012年の英国の経済紙とのインタビューで、レコード会社と「版権を巡る係争に集中するため」としてミュージシャン活動からは引退したと一旦明かした。
しかし2013年9月に係争が決着する目処が立ったとして、ミュージシャン活動への復帰とキング・クリムゾン活動の再開を発表した。

本章:キング・クリムゾンのセッションプロセス別時系列変遷史

第1プロセス:クリムゾンキングの宮殿からポセイドンのめざめ;1969年~1970年

この3人に、マルチプレイヤーのイアン・マクドナルドと作詞・ライブ時の照明担当のピート・シンフィールドが参画。
そして、刃がこぼれ堕ちるように録音の度にメンバーが抜ける。
脱退したベースのピーター・ジャイルスの後任として、ベースにフィリップの古くからの友人であったボーカリスト兼ベーシストのグレッグ・レイクが参加して、第1期のメンバーが揃うこととなった。
結成当初こそ、作曲やアレンジを含めた音楽面では、イアン・マクドナルドがリードしていた。
特に、メロトロンやサックス、フルートを導入し、新たな音楽づくりをしたのもイアンなしには考えられない。
それでも、「1969年に、ビートルズの『アビイ・ロード」』を1位から転落させたアルバム」という伝説もあり、脈々と流れるアヴァンギャルドな曲調は一貫している。
例えば、1stアルバムの「クリムゾンキングの宮殿」から2ndアルバムの「ポセイドンのめざめ」の双方はボーカルがグレッグ・レイクということもあって、荘厳な音の響きと清々しさを湛えている。
したがってこの2枚は、相似形を形成する2部作を形成していると言っても過言ではないだろう。
サウンド作りは、当初よりジャズ・フレーバーがロックに融合させられた、ジャズロックの先駆的要素が入っていた。
しかし、オーナー;ロバートフィリップのマネジメントの限界もあり、メンバー間の疑心暗鬼は絶えず、去る者も後を絶たずの状態に陥り、この1期のセッション・バンドは終了=解散となる。

第2プロセス:3rd「リザード」、4th「アイランズ」

3rdアルバムからは音造りがやや異なってくる。ボーカルは呟くようなボーカルが特徴のゴードン・ハスケル参加に合わせて、何と「イエス」のオーナー=リーダーであるジョン・アンダーソンもゲスト参加に。
サウンドは、ややノスタルジックな漂いを嗅ぐわせる要素もあわさって、何か幼少時代の素敵な思い出に浸ることのできるようと言える。
ただ、ここでもクリムゾンは「リザード」以降、「アイランズ」に至るまで、キング・クリムゾンはメンバー・チェンジを繰り返した。
グレッグが抜けた後のベースが決まらないため、ボーカリストのボズ・バレルに対し、フィリップはベースギターの奏法を即席で伝授して担当させた。
ことほど左様に、音づくりにやや五里霧中の暗中模索状態であったのは否定できない。そしてメンバーが流動的なのがこのセッション・バンドの弱点であった。

第3プロセス:5th「太陽の戦慄」、6th「暗黒の世界」、7th「レッド」=>再結成または第2の全盛期

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