本当に信じられるものは何なのか!? 救いのない時代を予見した『マルサの女2』。
1988年といえばまさにバブル景気真っ只中。誰もが浮かれ、誰もが日本は永遠の栄華に酔いしれるんだと信じていたころ(そうでもないかな)。日経平均株価が終値3万159円(12月28日)という、まったくもって驚くべき時代だった。
しかし、そんなバブルはあっという間にはじけ(当たり前のように)、宗教法人オウムによる地下鉄サリン事件で誰もがどんなことに巻き込まれてもおかしくないと感じ、911の同時多発テロで民主主義の神話が崩れ、311の東日本大震災による原発安全神話も幻想だとわかったいま、本当に信じられるものは何なのかと私たちは自問自答している。
そんな時代を予見したのが、『マルサの女2』だったのかもしれない。宗教法人の実像を暴き、哀れな人間の欲の深さと、底知れぬ悪意と、思考しない愚かさを描いた本作。伊丹監督は、救いのない時代がもうすぐそこまで来てると示してみせたのかもしれない。

『マルサの女2』とは?
『マルサの女2』は、伊丹十三監督による1987年に公開して大ヒットした『マルサの女』の2作目。1作目の翌年に公開し、前作同様、大ヒットした。脚本も伊丹十三が手掛け、主演には伊丹の妻である女優宮本信子が務めた。丹波哲郎をはじめ、三國連太郎、津川雅彦などの豪華大物俳優陣が出演している。
キャスト&スタッフ
板倉亮子:宮本信子 花村:津川雅彦 佐渡原:丹波哲郎
伊集院:大地康雄 三島:益岡徹 金子:桜金造
秋山:マッハ文朱 山田:加藤善博 鬼沢鉄平:三國連太郎
赤羽キヌ:加藤治子 受口繁子:柴田美保子 猫田:上田耕一
チビ政:不破万作 サダオ:きたろう ハカセ:佐藤昇
奈々の父親:市村昌治 奈々:洞口依子 元僧侶:笠智衆 ほか
製作:伊丹プロダクション 監督・脚本:伊丹十三
音楽:本多俊之 撮影:前田米造 編集:鈴木晄
カースタント:タカハシレーシング
スタント:ジャパン・アクション・クラブ
SFX:白組
約13億円を稼ぎ出し、じつは『マルサの女』よりも興行収入は上だった!?
評価が分かれた『マルサの女2』だが、じつは興行成績は13億円で、1作目より上だった。1988年の日本映画興行収入ランキングでは6位となっている。ちなみに第1作目は12.5億円で1987年のランキングで4位だった。
< 1988年 日本映画興行ランキング >
1位 『敦煌』 45.0億
2位 『優駿』 18.0億
3位 『いこかもどろか』 16.0億
4位 『あぶない刑事/七福星』 15.0億
5位 『ドラえもん・のび太のパラレル西遊記/他』 13.6億
6位 『マルサの女2』 13.0億
7位 『ビーバップハイスクール高校与太郎狂騒曲/他』 12.5億
8位 『マリリンに逢いたい』 11.0億
9位 『帝都物語』 10.05億
9位 『またまたあぶない刑事/他』 10.05億
ストーリー






次ページは伊丹十三監督の全作品映像(予告編+全編など)特集!!
もっともっと誰も創造しえないエンターテインメント作品を作り続けてほしかった…異能の人、伊丹十三
映画監督、俳優としての伊丹十三が最も有名だったと思う。しかし、ほかにも、エッセイスト、商業デザイナー、イラストレーター、CMクリエイター、ドキュメンタリー映像作家など、さまざまな才能を持つ、元祖マルチクリエイターともいうべき存在だった。1984年、51歳での初監督作品『お葬式』でデビュー。その後、次々と問題作、話題作を、精力的に撮り続けた。
伊丹十三 - Wikipedia

さまざまな憶測が飛び交った、伊丹十三の自殺、そして真相は!?
伊丹十三監督は1997年にこの世を去っている。自殺ということで。ただし、これが真実かどうかについてはさまざまな憶測があるようだ。何が真実かはわからないが、映画製作において、社会の暗部に切り込み過ぎたことが災いしたのだろうか。
伊丹十三 - Wikipedia
ちなみに、伊丹十三の異能ぶりに関心のある方はこちらからどうぞ!
伊丹十三 - Wikipedia
◎伊丹十三監督作品の予告編+特報+まさかの全編動画!
お葬式
タンポポ
マルサの女
あげまん
ミンボーの女
大病人
『静かな生活』
『スーパーの女』
『マルタイの女』
マルサカットの女、怪優宮本信子、「あまちゃん」で再び躍動する!!
ぶっちゃけ、宮本信子のことは「伊丹映画」を観るまではよく知らなかった。しかし、「伊丹映画」でのインパクトは絶大で、こんな面白い女優がいるのかという感じだった。若いころ、この人の演技がうまいのかどうかはよくわからなかったが、何度も言うが、とにかくインパクトが凄かったのだ。『~の女』シリーズ(シリーズではないかもしれないが…)での宮本さんは本当に水を得た魚のようだったと思う。とにもかくにも、印象的で最高な女優だったと思う。
そして15年の時が流れ、「あまちゃん」での「夏ばっぱ」役。ずいぶん印象は違うけれど、心に残る演技をたくさん見せてくれた。観る人間が年齢を重ねてはじめて、宮本信子の偉大さがわかったという感じだろうか。

最近では『あまちゃん』で大活躍だった宮本さん
