たった1枚のアルバムでその名を歴史に刻みこんだデレク・アンド・ザ・ドミノス

たった1枚のアルバムでその名を歴史に刻みこんだデレク・アンド・ザ・ドミノス

奇跡は起こるべくして起こったということでしょう。そして、それは必然でもありました。いくつもの必然が重なり合って奇跡が生まれたのです。「いとしのレイラ」というたった1枚のアルバムを作るために存在した、ロック界最高のメンバーが集ったバンド、デレク・アンド・ザ・ドミノス!


デレク・アンド・ザ・ドミノス

出身地:アメリカ
ジャンル:ブルース・ロック、サザンロック 
活動期間:1970年~1971年

Derek and the Dominos

デレク・アンド・ザ・ドミノスといえば、ロック好きであれば知らない人はいないと言ってもいいのかもしれません。または、デレク・アンド・ザ・ドミノスを知らなくても「いとしのレイラ」はご存知ではないでしょうか。

「いとしのレイラ」、デレク・アンド・ザ・ドミノスの代表曲にして名曲中の名曲ですね。

デレク・アンド・ザ・ドミノスにしても、「いとしのレイラ」にしても今更説明の必要はないかとは思いますが、良いものは良いということで、改めて振り返ってみましょう。

デレク・アンド・ザ・ドミノス、変わったバンド名ですよね。デレクとはエリック・クラプトンのあだ名だったそうで、当時あまりの人気に嫌気がさしたエリック・クラプトンが名前を伏せて活動したかったがためにこのような名を付けたのだとか。
その為に、デレク・アンド・ザ・ドミノスのアルバムは当初、誰がやっているのか分からなかったがために人気絶頂のエリック・クラプトンのバンドであったにも関わらずセールス的にはあまり思わしくありませんでした。

デレク・アンド・ザ・ドミノスのメンバーは、エリック・クラプトン、ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンの4人で1970年に結成しています。

出生名:Eric Patrick Clap
別名:スローハンド(Slowhand)
生誕:1945年3月30日
出身地:イングランド・リプリー
担当楽器:ボーカル、ギター

エリック・クラプトン

出生名:Robert Stanley Whitlock
生誕:March 18, 1948
出身地:Memphis, Tennessee, United States
担当楽器:ボーカル、キーボード

Bobby Whitlock

出生名:Carl Dean Radle
生誕:June 18, 1942
出身地:Tulsa, Oklahoma
担当楽器:ベースギター

Carl Radle

出生名:James Beck Gordon
生誕:July 14, 1945
担当楽器:ドラムス

Jim Gordon

デレク・アンド・ザ・ドミノスは、当時エリック・クラプトンが参加していたブラインド・フェイスのアメリカ・ツアーのオープニング・アクトにデラニー&ボニーを起用したことから始まります。1969年のことです。

デラニー&ボニーは、デラニー・ブラムレットとボニー・ブラムレット夫婦によるアメリカのデュオ歌手です。意気投合したエリック・クラプトンは、デラニー&ボニーのサポート・ギタリストとなり「カミン・ホーム」などを共作しヒットさせています。

1969年末にデラニー&ボニーはイギリス・ツアーを行っていますが、その時のバック・メンバーがエリック・クラプトン、ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードン、デイヴ・メイソン、ボビー・キーズ、リタ・クーリッジ等が参加しています。

このメンバーからエリック・クラプトンがボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンを引き抜いて結成したのがデレク・アンド・ザ・ドミノスです。

Layla and Other Assorted Love Songs

1970年、プロデューサーにトム・ダウドを迎え発売されたアルバム「いとしのレイラ」がデレク・アンド・ザ・ドミノスが残した唯一のスタジオ・アルバムです。
そうなんです。名盤と評価され、名曲、名演ひしめく本作ですが、デレク・アンド・ザ・ドミノスは本作1枚しか残していないのです。

1970年リリース

【収録曲】
1. アイ・ルックト・アウェイ
2. ベル・ボトム・ブルース
3. キープ・オン・グロウイング
4. だれも知らない
5. アイ・アム・ユアーズ
6. エニーデイ
7. ハイウェイへの関門
8. テル・ザ・トゥルース
9. 恋は悲しきもの
10. 愛の経験
11. 小さな羽根
12. イッツ・トゥー・レイト
13. いとしのレイラ
14. 庭の木

いとしのレイラ

本作の特筆すべき点は、オールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン・オールマンがゲストとして14曲中11曲でリード及びスライドギターを演奏していることでしょう。
デュアン・オールマンのスライドギターは、エリック・クラプトンと対等の存在感を示しています。
このアルバムにおいて、もう一人の主役は間違いなくデュアン・オールマンだといえます。

デレク・アンド・ザ・ドミノスが正式には本作しか発表していないことを考えるとデュアン・オールマンはバンドメンバーといってもよいかもしれません。少なくともそれだけの働きをしています。

出生名:Howard Duane Allman
別名:スカイドッグ(Skydog)
生誕:1946年11月20日
出身地:アメリカ、テネシー州ナッシュビル
死没:1971年10月29日(満24歳没)

デュアン・オールマン

アルバムのハイライトでもある名曲「いとしのレイラ」は、良く知られるようにエリック・クラプトンの親友であるジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドへの思いを歌ったものです。

アルバム・ジャケットにはエミール・セオドア・フランセン・ド・ショーンバーグの「La Fille au Bouquet(花束を持つ少女)」という絵が使われています。
1970年8月にデレク・アンド・ザ・ドミノスが南フランスのジョルジオ・ゴメルスキーの家に宿泊した際にエリック・クラプトンがこの絵を見て、描かれているブロンドの女性とパティ・ボイドを重ね合わせジャケットに使ったとのことです。

確かに雰囲気が似ていますね。名盤にふさわしい素晴らしいアートワークです。

パティ・ボイド

関連する投稿


秋の夜長にはアコースティックが似合う。だったら、やっぱりMTVアンプラグドですよね。

秋の夜長にはアコースティックが似合う。だったら、やっぱりMTVアンプラグドですよね。

MTVアンプラグドのレギュラー放送は、1989年から1999年まで行われました。番組から主だったミュージシャンをピックアップして、今の季節にピッタリの名曲、名演を紹介します。


無料の電子書籍版音楽雑誌「ERIS」でエリック・クラプトンの凄さを徹底解析!フランス・ギャルの名盤も追悼特集!

無料の電子書籍版音楽雑誌「ERIS」でエリック・クラプトンの凄さを徹底解析!フランス・ギャルの名盤も追悼特集!

いままでにないフリー(無料)の電子書籍版音楽雑誌「ERIS/エリス」第23号が6月7日発行。同号では大物すぎて誰もが知った気になっているミュージシャン、エリック・クラプトンの凄さを徹底解析。さらに1月亡くなったフランス・ギャルの最後のソロ・アルバム『ババカール』も特集。


日本最高のビートバンドと言っていいでしょう!ザ・プライベーツ。彼等の栄光の80年代をまとめました!

日本最高のビートバンドと言っていいでしょう!ザ・プライベーツ。彼等の栄光の80年代をまとめました!

商業的にみてミリオンセールスをあげているわけではありませんし、評論家からも正当な評価を受けているとは言い難いザ・プライベーツ。だとしても彼らが日本で最高のビートバンドであることには変わりはありません。


ジミヘンからスプリングスティーンまでがカバーした日本ではあまり知られていないボブ・ディランの名曲「見張塔からずっと」の聴き比べ

ジミヘンからスプリングスティーンまでがカバーした日本ではあまり知られていないボブ・ディランの名曲「見張塔からずっと」の聴き比べ

サイケの時代にもグラムの時代にも、AORの時代にもパンクの時代にも、グランジの時代にさえもその第一人者からカバーされ続けるボブ・ディランの名曲「見張塔からずっと」。日本では余り知られていないこの曲は、2004年にイギリスの音楽評論家が「デイリー・テレグラフ」で行った「ベスト・カヴァー・ソングTOP50」で堂々の第1位となっているんです。


ジョン・レノン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ等で結成されたザ・ダーティー・マックを聴けるのはロックンロール・サーカスだけだ!

ジョン・レノン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ等で結成されたザ・ダーティー・マックを聴けるのはロックンロール・サーカスだけだ!

30年近くも封印されていたロック史上最も有名な映像作品「ロックンロール・サーカス」。主役はローリング・ストーンズで他にも豪華なゲストが参加していますが、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズにミッチ・ミッチェルからなるスーパーグループ、ザ・ダーティー・マックを観れるのはここだけですよ。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。